夜の帷もゴーヤ

 夜の帷も下り、月の光が室内にこぼれ落ちてきていた。貴ゴーヤ チャンプルー重な蝋燭をいくつも燃やし室内は煌々と光って亜鉛の効果いる。寝室のベッドであぐらをかき、酒の入ったグラスを傾けながらレオンハルトは、
 超絶不機嫌だった。
(どうしようかなぁ)
 すぐに空になったガラスに酒を注ぎながらミモザは無言で困る。こうなった原因については、話を昼頃にまでさかのぼる必要があった。

「少サプリメント マカしお時間をよろしいでしょうか」
「かまいませんよ。俺になんの用事でしょうか?」
 そう声をかけたジェーンという女性に、レオンハルトは周囲をちらりと目線だけで流し見るとすぐに笑顔を作って鷹揚に頷いた。
(猫かぶりモードだ)
 随分と久しぶりに見た気がする。周りを見渡すとなるほど、通行人や近くのカフェにいる人などがこちらを見ていた。ついでにあれは記者だろうかゴーヤ、こちらに隠れているつもりなのかさりげなくメモ帳にペンを走らせている人もいる。レオンハルトは背も高く非常に目立つ人のため、衆目に晒される場所ではあまり素っ気ないこともできないらしい。
「私は試練の塔被害者遺族の会の者です。最近娘を亡くしまして入会致しました。エリザ、いえ、貴方にはわからない話なのでそのあたりは割愛させていただきますね」
「いえ、わかりますよ。3ヶ月前に亡くなられたエリザ嬢のお母様ですね」
 レオンハルトの返しに彼女は目を見張った。まさか前日に未発売のはずのコラムを読んで予習をしていたなどとは予想だにしないだろう。
 彼女は思わぬ切亜鉛 サプリ おすすめり返しにしばし逡巡した後「では、どういった用件かはわかっていただけると思いますが」と前置きをして深々と頭を下げた。
「どうか、貴方様から教皇聖下に試練の塔閉鎖についてご進言いただけないでしょうか」
 それはかろうじて疑問形を取っているが、明らかな脅しであった。
(まずいなぁ)
 この状況が、である。大勢の人前で切々と訴え頭を下げる女性。要求は塔の閉鎖、盾に取られているのはレオンハルトの評判だ。これで突っぱねるような真似をすればレオンハルトが悪者である。この状況を見ると記者らしき男は実は仕込みではないかと勘ぐりたくもなる。
(レオン様に泥を被らせるわけにはいかない)
 幸いなことにミモザは公的な立場を持たない人間、しかも子どもである。ミモザの監督責任をマカ と は問われることはあるかも知れないが、それでもレオンハルト自身を追求されるよりは遥かにマシだろう。
 ミモザは一歩前に出ようとして、ぐっとレオンハルトに押し留められた。思わず彼の顔を見ると余計なことはするなと言わんばかりに睨まれる。
 大人しく一歩下がる。それを確認するとレオンハルトはその場に膝まづき、女性の手をうやうやしく取った。
「ご心痛、お察し致します」
「それじゃあ」
 要望が通ったのかと顔をあげた女性に、レオンハルトは痛ましげな表情でゆっくりと首を横に振った。
「本当に、なんとお詫び申し上げればいいか。俺が助けに行ければ……、すべてこのレオンハルトの不得の致すところです」
「えっと……」
 戸惑う女性の手を一際強くぐっと握りしめ、彼は女性の顔を真摯に見つめた。
「俺はできる限りすべての人を助けたいと思っています。しかしこうして力の及ばないことが未だにある。きっと今後もゼロにはならないのでしょう。しかし必ず!精進を重dhaね、このような不幸な事故を減らしてみせるとお約束致します!」
 その演説に周囲からは「おおっ!」と歓声が上がる。
(うわぁ)
 稀代の詐欺師である。目には目を歯に歯を。レオンハルトはあっさりと話題をすり替え、それどころか周囲の民衆を使ってあっという間にその場の空気を変えてしまった。
 この空気では「自分のせいで助けることが出来なかった」と自分を責めるレオンハルトに下手に言い募れば、悪役になるのは今度は女性の方だろう。
「ええっと、その、私は……」
 このような切り返しは想定していなかったのだろう、女性は言い淀む。それにレオンハルトは何かを察したように頷いてみせた。
 何を察したのかはきっと誰にもわからない。
「ジェーン様、どうか俺に挽回のチャンスをください」
「えっと」
 戸惑ったジェーンはわずかに身体を揺らした。それを勝手に頷いたと受け取って、レオンハルトは「ありがとうございます!」と感極まった声を出し彼女を抱きしめる。
「必ず!貴方のその慈悲に報いてみせます!必ず!」
 そこで身を離すと彼女を真っ直ぐに見つめる。
「次は救ってみせます」
 その言葉に周囲から拍手と歓声が起こる。レオンハルトのdha epa dha真摯さを讃えるその場所で、ジェーンはその空気に呑まれたように「き、期待しているわ」と口にすると逃れるように足早に立ち去ってしまった。

 そして現在に至る。昼間に感動的な大演説を繰り広げた当人は、だらしなく布団の上に酒とつまみを持ち込んでヤケ酒をあおっていた。ちなみにこれは今日が特別行儀が悪いわけではなくいつもの晩酌のスタイルである。平民出身でそれなりに貧困層であったレオンハルトは椅子ではなく地べたに座っているのが落ち着く傾向があるらしい。地べたでなくベッドであるのがきっと彼なりの精一杯の配慮だ。
「昼間は機転の効いた切り返しでしたね」
 とりあえず褒めてみた。
「ああいう場合は下手に空気を読まないほうがいいんだ。君も覚えておけ」
「はぁ」
 ミモザには覚えていたところで到底実行できそうもない手段だ。そしてレオンハルトの機嫌は悪いままだ。
(どうしようかなぁ)
 こういう時はジェイドは当てにならない。基本的には有能で困った時に頼るとなんでも解決してしまう彼だが、使用人という立場ゆえなのかレオンハルトに対してはだいぶ及び腰である。まぁ気持ちはわからなくはない。ミモザも最初の頃はレオンハルトの機嫌が悪いとひたすらに怯えていたものだ。
(こういう時は仕方がない)
 うん、と一つ頷くとミモザは……、黙っておくことにした。
 こういう際にミモザにできることマカ サプリはあまりない。ひたすら給餌に徹し、レオンハルトが話し出したらその話を傾聴するのみである。
 時間はかかるが結局それが一番良い解決策である。
「まったく理解できん」
 しばらく無心でお酌をしていると、ぽつりとレオンハルトはそう溢した。
「なぜ試練の塔を閉鎖したがるのか。そんなことをしたところで亡くなった娘は帰ってこない。ましてや彼女の娘は第5の塔に挑むほどの胆力と技量のある人だぞ。そんな女性が試練の塔の閉鎖を喜ぶとはとても思えん。娘の望まぬことを貫こうと努力するなど……、理解に苦しむな」
 通常試練の塔は番号が小さいほど容易く、大きくなるにつれて危険度が増す。そしてその1番の境目が第4の塔からだと言われている。
 つまりある程度腕に自信のある者しか第4以降の塔には挑まないものなのだ。大抵の人は第3までで止めるため、第4の塔を修めたといえばそれだけで尊敬される。エリザという女性はまさしく第4の塔を修め、第5の塔に挑み帰らぬ人となったのだ。
「僕は少し、……わかる気がします」
 レオンハルトの嘆きに、しかしミモザは素直に頷けなかった。
「なに?」
 彼の眉間に皺がよる。それに苦笑を返してミモザは空になったグラスに再び酒を注いだ。
「これは想像でしかありませんし、ジェーンさんには口が裂けても言えませんが、ちょっとわかる気がします。もしも僕の大切な人が亡くなってしまったら、きっと僕は助けられなかった自分を悔いて、そして今からでも何かできるマカ サプリことはないかと模索すると思うんです」
 レオンハルトが死んだら。ミモザは思う。このままゲームのストーリー通りに進めば彼は死ぬ。そうなったら、知っていたのに防げなかったとしたら。
「死者にしてやれることなどない」
 弾かれたように顔を上げる。見るとレオンハルトは真剣な表情でミモザを見下ろしていた。ミモザは微笑む。
「それでも、貴方が亡くなってしまったら、僕は貴方のために何かできないかときっと必死になってしまう」
 レオンハルトが息を飲む。そこでミモザは自分が不謹慎なことを口にしたと気づいて慌てた。
「す、すみません!不吉なことを……」
「いや、いい……」
 何かを噛み締めるように、思いを馳せるようにレオンハルトは言う。
「続けろ」
「えーと、つまりですね。きっと亡くなったことが受け入れられないんです。だから貴方のために、何かしようだなんて不毛なことを考える」
 ミモザは半ばやけくそで言葉を続けた。彼は黙って聞いている。ミモザは観念した気持ちになって全部吐き出すことにした。
「だって、貴方のためにって頑張っている間は貴方の死と向き合わなくて済みますもん。目を逸らしていられる。だって僕は貴方のために頑張っているから」
 でも、と目を伏せる。
「目的を達成しても、残るのは貴方がいないという事実とそれを認められない自分だけです。だからきっと彼女も目的を果たしても、あまり報われないんじゃないでしょうか。少なくともやったーとは思わないんじゃないですかね」
「なるほど」
 レオンハルトは酒をあおった。先ほどまでよりもそのペースは落ち着いてきている。
「あの、本当に僕の気持ちでしかないので、彼女もそうかどうかはわかりませんよ」
「いや、クロムの効能しかしその理屈ならわからなくもない。ただこれ以上犠牲を出さないため、と言われるよりも納得がいく。参考になる」
 それで?と彼は尋ねた。
「どうしたら死を受け入れられる?参考までに聞かせてみろ」
 うっ、とミモザはつまる。そこまで具体的に考えてはいなかった。
「えー、えーと、お墓参り、とかですかね……」
「なるほど?」
 ミモザのしどろもどろの言葉に、彼は眉をひょいとあげて見せた。
亜鉛 の サプリマカ と は亜鉛 サプリ おすすめサプリメント マカ

「酷い目にあいマカ サプリ

「酷い目にあいましたね」
 ミモザの足の怪我を見て、ジーンは言った。
 ミモザの視界を茶マカ と は色い亀がのそのそと横切っていく。
 ここは軍警察の医務室である。騎クロム士はもう帰ってしまい、手当てをしてくれた兵士も「聴取は終わったから帰って良いよ」と声をかけて立ち去ってしまった。
 目の前でうぞうぞと動く亀の頭をミモザはこつん、とこづいた。彼はびくり、と身を震わせて甲羅の中へとこもる。
「ち亜鉛ょっと」
 それにジーンは抗議の声をあげて亀を大事そうに回収した。
「人の守護精霊にいたずらしないでくださいよ」
「すみません、つい」
 目の前であまりに必死に歩いているので親近感が湧いてしまったのだ。
 ジーンは「まったく」と不機嫌に亀を懐へとしまった。
 それを見て通りでジーンの守護精霊の姿を見たことがなかったはずだとミモザは納得する。
 彼はいつもジーンの懐にdha epa dhaいたのだ。
「被害届、出さなかったんですね」
「あれはただの試合です」
「違いますよ、ただの脅迫です。試合はリングの中で審判に見守られてやるものですよ」
「条件は平等でした」
 そう、ミモザは正々堂々と一対一で戦って、
「負けました」
 そう言ってうつむくミモザに、はぁ、とジーンはため息をつく。
「まぁ、ミモザさんの戦い方は野良精霊はともかく対人戦では不利ですからね」
「それは言い訳でしょう」
 ミモザにミスはなかった。全力で、今出せる能力をすべて出して負けたのだ。
「……ミモザさん」
「ミモザ」
 ジーンが何か言いかけたのをアントシアニンさえぎって、扉ががらりと開いた。それと同時に名前を呼んだ声の主にミモザはあんぐりと口を開ける。
「……レオン様」
「大丈夫か? 怪我の具合は」
 彼の動きに合わせて豊かな藍色の髪がさらりと流れる。いつも険しい顔をいっそうしかめ面にして彼はその金色の目をミモザの負傷した足にこらした。
 怪我の具合を一通り確認して、そこでやっと目元を安心したように緩ませる。
「綺麗に治療してもらったな。この分なら後遺症もなさそうだ」
「はい。えっと、どうしてここに……」
 その質問にレオンハルトは呆れたように「君が王都に滞在する間の身元引受人が誰だと思ってる」と言う。
「……あ」
「君に何かあれば俺に連絡が入る。特に騎士団が関係していれば隠蔽は無理だと思クロムえ」
 さきほど事情聴取に対応してくれた騎士。確かに彼はミモザのことを知っているふうであった。もしかしたら彼が連絡をしたのかも知れない。
「では、僕はこれで失礼しますね」
 保護者の登場に長居は無用と悟ったのか、ジーンはそう言って軽くレオンハルトへ向けて頭を下げた。そのまま立ち去ろうとするのに「ジーン様!」と慌ててミモザは声をかける。
「ありがとうございました。助かりました」
「たいしたことはありませんよ。女の子を助けるのは男の甲斐性ですから」
 では、と爽やかに微笑むと、ジーンは今度こそ部屋を出て行った。
「…………」
 ジーンに礼を伝えるために浮かしかけた腰をミモザはベッドへと下ろす。自分も早くここから立ち上がって帰らなければと思うのに、ベッドに根が生えたかのように体が持ち上がらない。
「ミモザ」
 そんな弟子の様子にレオンハルトは目の前に跪いてその手を取ると「どうした?」と問いかけた。
「だいたいクロムの効能の事情は聞いている。君の行動は適切だった。何も悔いる必要などはない」
「…………負けました」
 そのレオンハルトの顔を見ていることができなくてミモザは顔をそらす。申し訳なさすぎて顔向けができなかった。
「貴方にいろいろと教えてもらって、訓練してもらって、それなのに……、負けました」
「ミモザ」
 レオンハルトの声にびくりと身を震わせる。彼はそれを宥めるように手を握るのとは反対の手でミモザの背中をなでた。
「一度負けたからといって、それがなんだと言うんだ」
「才能が、ないんです」
 ぽろりと弱音が落ちる。それは普段は奥底にしまい込んで見ないようにしている本音だった。
「どんなに頑張っても、魔力は少ないし、魔法もしょぼいのしか使えないし、祝福は全部銅だし……、それを得るためにどれだけの時間を僕が費やしたか……。それなのにお姉ちゃんはその半分の時間も労力もかけずに僕よりも良いものを得るんです」
 レオンハルトの手を強く握る。そうしないとみっともなく泣き出してしまいそうだった。
「才能か……、便利な言葉だな」
 その姿を冷静に見つめながら彼は静かに言った。その言葉にミモザは自分が亜鉛恥ずかしくなる。それを労るように彼はミモザの手を握り返しながら言葉を続ける。
「いやなに、その考えを否定するつもりはないよ。俺も才能があるとよく言われる。確かに、才のあるなしというものは存在するのだろう」
 そうだろう、とミモザは言葉には出さずに内心で頷く。レオンハルトは天才だ。これで才能なんて幻想だ、都合のいい言い訳だなどと言われたら、ミモザはもうどうしたら良いかわからない。
「しかし俺にとって最も重要なのはそこではない」
 その強く言い聞かせるような言葉にミモザははっと彼の方を向いた。レオンハルトと目が合う。彼はその黄金の瞳をはちみつのようにとろりと緩ませて微笑んだ。
「配られたカードを精一杯有効活用できているか。そちらの方が重要だとは思わないか? ミモザ、君は最大限に与えられたものを活かせていると俺は思う。それは誇るべきことで、君のたゆまぬ努力の賜物だ」
「でも、その結果……」
 勝てなかったではないか、という言葉は、「それがどうした」という力強い言葉に打ち消された。
「たったの一度だろう、ミモザ。たったの一度負けたくらいでなんだ。次に勝てばいい!」
 まだ納得のいかなそうなミモザに苦笑して、「君にならそれができると俺は信じているよ」と彼は付け足した。
「できるでしょうか」
「できるさ」
「勝てるでしょうか」
「勝てるとも」
 彼の言葉は不思議だ。ミモザは自分の能力は信じきれない亜鉛が、彼の言葉ならば本当にそうなのではと信じてしまう。
「………勝ちたいです」
「勝て、ミモザ」
 ぐっ、と勇気づけるように彼は手を握る。それを先ほどとは違う強さでミモザも握り返した。
「勝ちます。次は必ず」
「その意気だ」
 レオンハルトは破顔した。その滅多にない明るい表情に、ミモザもつられて口元が緩む。
「レオン様、……本当にそう思ってますか?」
「どうかな」
 しかしその表情はすぐに意地の悪いいつもの笑みへと変わった。
「俺は不公平な人間だからな。大切に思っている人を優先させるためならどんな嘘でも理屈でもこねるさ」
 そこまで言って、わずかに戸惑うようにぼそりと付け足す。
「だが、大切に思っているという感情は本物だよ」
 そのらしくない言葉にくすり、とミモザは笑う。レオンハルトも一度は眉をむすりとしかめたが、すぐに諦めたように微笑んだ。
 そのまま握っているミモザの手を揺らす。
「他にどんな言葉が聞きたい? いくらでも話してあげよう」
「もう充分です。お腹いっぱいです」
 ミモザはうつむいた。自分が今どんな表情をしているのかわからなかった。
亜鉛 サプリdha epa dhaクロムの効能クロムの効能

 晴れて不登校児とサプリメント マカ

 晴れて不登校児となったミモザの朝はーー遅い。
マカ 太アントシアニン陽がほぼ頂点付近へと昇った昼頃にごそごそと起き出し、まずは姉がもう学校に行って家にいないことを確認することから一日が始まる。
 不登校生活の恩マカ と は恵はいじめがなくなったことだけではなく、生活サイクルがずれたことにより姉と顔を合わす機会が減ったということももたらしてくれていた。
 母も仕事に出かけており不在のため、一人でのんびりと遅い朝食をとる。母も忙しいためご飯の準備はしなくてもいいと伝えてあり、毎朝パンを軽くトースターで焼いて食べていた。
 鼻歌を歌いながらパンをできdha epa dhaる限り薄く切り、トースターにセットする。
「……?」
 スイッチを押しても動かないことに首を傾げトースターをためすがめす眺めていると、魔導石が黒くなっていることに気がついた。
「あー……」
 うめきながらリビングへと戻り、棚から白い魔導石を取り出すとトースターの中の黒いものと交換する。問題なくトースターが動き始めたことを確認してからミモザは黒くなった魔導石を魔導石用のゴミ箱へと捨てた。
 魔導石というのはこの世界における電池のようなもので、これによりすdha epa dhaべての機械は動いている。色は透明なほど純度が高く、内に含むエネルギー量も一度に出力できるエネルギー量も多いらしいが、まぁ一般家庭にある魔導石など白く濁ったものが普通である。エネルギーが切れると黒くなるため黒くなったら取り替え時だ。
(……電池?)
 ふと疑問を覚える。それはこの世界にはない概念だ。
 前世の記憶を思い出した時は色々と朧げでゲームのことしかわからないと思っていたが、どうやらエピソードが欠落しているだけで知識は覚えているようだ。無意識に変な言葉を口走らないように気をつけなければ、とミモザは脳内に注意事項としてメモをした。
 そうこうしている間にチン、と軽い音と共に焼き上がったトーストを手にテーブゴーヤルへと向かい、これまた薄くキイチゴのジャムを塗る。
 ちなみにミモザ達に父はいない。いわゆる母子家庭である。ゲーム内では特に父親の存在に言及していなかったが、ミモザ達がまだ5歳くらいの時に亡くなったようだ。
 そのためそこそこに貧乏な家庭である。それでも一般家庭とあまり変わらぬ水準で生活できている理由はここが田舎の村であり、食べ物は家庭菜園や森からの採取、近所の方からのおすそ分けで賄えているからだろう。
 食事の後は庭に出て家庭菜園の手入れをする。草をむしり水をやるとそれぞれの野菜の育ち具合を見てうむうむと満足げに頷き、食べられそうなものでめぼしいものを収穫していく。きゅうりとキャベツが食べ頃だったため昼食用に採取する。
(今日はキャベツとベーコンのパスタときゅうりの和物だな)
 ふー、と満足げに額の汗をぬぐう。汗がきらりと陽の光に反射した。
 学校に通わなくなったミモザの生活は実に充実していた。
「チゥー」
 胸ポケッゴーヤ チャンプルートに入っていたチロが不満そうに『最強の精霊騎士はどうした?』と聞いてきた。
 それにミモザはサムズアップで応える。
「大丈夫!ばっちり考えてあるから!」
「チー……」
 本当かなぁ、とチロは不信げにつぶやいた。

 部屋の窓は閉め切られていた。暗い色のカーテンがしっかりと外からの光を遮断し、室内は真っ暗で淀んだ空気がただよっている。
 中央には蝋燭が3本ほど据えられ、そこを中心として不思議な図形を組み合わせた陣のようなものが描かれた布が敷かれている。
 のっそりと部屋の隅の暗闇から、シーツをまるでローブのように身にまとった人物が現れた。
 ミモザだ。
 その手にも燭台が一つ握られており彼女の動きに合わせてゆらりゆらりと光の波紋が部屋中に広がっていった。
 普段は白い肌は蝋燭の灯りで橙色に染まり、ハニーブロンドの髪がきらきらと光を放つ。伏せられたまつ毛にもその光が反射し、神秘的な煌めきをその身に纏っていた。
 彼女は陣の縁へとひざまずくと手に持った燭台をゆっくりと掲げる。
 そのまま緩慢な動作でその手を左右へと振った。
「はdha epaぁーー、我に力をーー」
 そのまま低く作った声で唱え始める。
「力をーー与えたまえーー」
 ぶんぶんと上半身を左右に揺する。その姿はまるで深海で揺れるチンアナゴだ。
 チロはもはや呆れて何も言わず背後からそんな相棒の姿を眺めるだけである。
 止める人間のいないミモザはどんどんヒートアップしていく。
「はぁーー、我に力をーー…」
 ぐるんぐるんと頭を揺らしながら調子に乗っていると、その時背後でかちゃり、と小さな音がした。
 チロが振り返り目を見開く。
 慌ててミモザへと駆け寄るとその足に齧り付いた。
「いたたたっ!もう何、チロ。今いいところ……」
 言って振り返った先でーー、
 真っ青な顔をしてドアの隙間からこちらを見ている母親の姿を見た。
 真っ青な顔をしてミモザも固まる。
 しばしその場に沈黙が落ちた。
 先に動いたのは母、ミレイの方だった。彼女は手に持っていた荷物を取り落とすと両手で顔をおおった。
「ごめんね、ママ、ミモザは少しずつ元気になってきてると思ってたんだけどちょっと楽観的すぎたね」
「ち、違うよ、ママ!これはね!」
「無理しなくていいのよ、ミモザ。ママに相談しづらいようだったら他の人でも……、カウンセラーとかに行きたかったらママが探してあげるからね」
「違うんだって!これはおまじないなの!僕が強くなるためにね!お祈りをしてたの!」
「そう、おまじない……dha epa dha
「そう!おまじない!」
 二人はしばし無言で見つめ合った。
 そしてミレイは何かを飲み込むように一つ頷くと、聖母のような微笑を浮かべた。
「そうなのね、ミモザ。それが貴方に必要なことならママは受け入れるわ」
 なんだかすごく誤解されている気がする。
 しかしそれ以上なにも弁明する言葉が思いつかず、ミモザは「ありがとう、ママ」と冷や汗をかきながら言うのが精一杯だった。
サプリメント マカアントシアニンアントシアニンの効果

 朝、ステラが陽のdha epa dha

 朝、ステラが陽の光に目を覚ますと小鳥が囀っていた。隣で寝ていたティアラが気づき、ゴーヤその鳥へと飛び掛かる。
「おはよう、ティア亜鉛 サプリラ」
 鳥を仕留めたティアラは可愛らしい顔でなーん、と鳴いた。

 母がパンを薄く切ってトースターへセットするのを眺めながら、ステラはミルクを飲んでいた。以前だったらここに妹もいたはずなのに、今はいない。
(理不尽よね)
 ステラは思う。今頃ミゴーヤモザは王都で優雅に暮らしているのだ。
(いじめられたのがわたしだったら良かったのに)
 そうしたらレオンハルトが気にかけるのはステラで、王都にいるのもステラだったはずだ。アベルの行為は最低だが、受けた被害以上のものをミモザは享受しているように思う。
「どうしたの?ステラ」
 ぼんやりしているステラにミレイは訊ねる。それに明るく笑い返してステラは「ううん、なんでもないの。ただちょゴーヤ チャンプルーっと、ミモザがいなくて寂しいなって思って」と返した。
 それに母は同意するように頷いた。
「そうよね、ミモザとこんなに離れるなんてママも初めてで寂しいわ」
 渡されたトーストにジャムをたっぷりと塗る。ミモザも母も何故かいつも薄く塗りたがるが、ステラには理解できない趣味だった。
 ミモザの身につけていたリボンを思い出す。レオンハルトにもらったと言っていたあのリボン。ステラが聞いた時にはわざとはぐらかして答えなかった。
(教えてくれれば良かったのに)
 そうしたらミモザがレオンハルトに会う時に同行できた。そうしたらきっアントシアニンとレオンハルトもステラを気にかけてくれたに違いない。
(ミモザは意地悪だわ)
 でもわたしはお姉ちゃんだから許してあげないとね、とステラは憂鬱にため息をついた。

 彼を見かけたのは偶然だが必然でもあった。秋休みは収穫の手伝いで忙しい。近所付き合いで他所の畑も手伝うため、家が近いアベルと会うのは予想できたことではあった。
「……よぉ」
 アベルは気まずそうに手を挙げる。
「おはよう、アベル」
 それにステラは明るく笑いかけた。彼がほっと息を吐くのがわかる。
 ステラはアベルのことが好きだ。藍色の髪に切長の金色の瞳、彼はこの村で一番格好いい男の子だ。
(けれど、レオンハルト様には劣るわ)
 今思い出してもうっとりしてしまう。堀の深い顔立ちに鍛えられた体躯、そして穏やかで洗練された立ち振る舞い。どれを取ってもステラが今まで見てきた人達の中で、彼サプリメント マカに敵う人はいなかった。
 アベルは「その、ごめんな、嘘ついて」とぼそぼそと告げる。先日のことを言っているのだろう。
 本当はステラは嘘が嫌いだ。自分に嘘をつくだなんて軽んじられているようで不愉快である。しかし今この村で彼はミモザをいじめたことで非常に苦しい立場であった。
(ここで責めるのは可哀想ね)
 可哀想な人には優しくしてあげなくてはならない。だからステラは「いいのよ、反省してくれたんでしょ」と優しく微笑んだ。
 彼はステラの微笑みに見惚れるように頬を染める。その反応に気を良くして「今日はお手伝い?偉いわね」と会話を続ける。
 アベルは頭をかきながら「お前もだろ」と言った。
「ミモザは?」
「あら、知らないの?ミモザは王都よ。レオンハルト様と一緒にいるの」
「は?なんで!?」
 アベルが驚きに目を見開く。その驚きにはステラも心の底から同意した。
「びっくりよね。レオンハルト様はアベルがやったことを気にしているみたい。ミモザもクロム気を使って断ればいいのにご厚意に甘えて……。本当にしょうがない子なんだから」
 ため息を吐く。アベルはものすごく複雑な顔をして「兄貴……」と呟いた。
「きっと今頃王都で遊んでるんじゃないかしら?」
 本当に羨ましい。ステラはこんな所で畑仕事をしているというのに。
(早く学校を卒業してわたしも王都に行きたいわ)
 田舎生まれのステラにとって王都は憧れだ。ステラだけじゃない。みんな若者は王都に行きたがる。けれどそれは生半可なことではなかった。王都に行ったはいいものの、夢破れて出戻ってくるなどざらにある話だ。しかしステラには失敗のビジョンなどは見えない。だってステラはすべてにおいて人より生まれつき優れていた。いつだってステラは特別で何かを諦めたことなどなかった。だからきっと多少の時間はかかるがステラは王都に行くし、レオンハルトはステラに振り向いてくれるはずだ。
 アベルはとても苦しそうに「ミモザにも、悪かったと思ってるよ」と言った。
「あれから母さんとたくさん話し合って、隣町のカウンセラーの先生のところにも行って話を聞いてもらって、悪かったのは俺だったと思ってる。先生に言われたんだ、俺は物事の受け取り方を間違ってたんだっマカて」
「そう……」
 可哀想に、とステラは思う。アベルは間違ってしまったのか。けれど劣っている人にも優しくしてあげなくては、とステラは考える。
 ミモザもそうだ。あの子は1人じゃ何もできない。何も正しく決められない。だからステラが導いてあげなくてはならない。
(だってあの子はわたしの可愛い妹だもの)
「誰にでも考え方の癖ってのがあって、皆違うらしいんだ。俺はそれが悪い方悪い方に受け取る癖があって、でもそれはものすごく異常ってわけじゃなくて誰にでも起こりうることだって。人に迷惑をかけない、自分を苦しめない考え方に少しずつずらしていければいいんだって」
「そうなの」
 ステラは慈悲深く微笑んだ。
「頑張ってるのね、アベル」
「……っ!ああ!そうなんだ!」
 アベルは意気込んだ。
「俺、俺さ!ダメな奴だけど、間違っちまったけど、でも頑張るからさ!頑張って、お前に相応しい男になるからさ!」
 そこでぐっと押し黙る。ステラは黙って続きを待った。
「応援、してくれるか」
「もちろんよ、アベル。頑張って」
 アベルは顔を喜色に染めると「おう!」とガッツポーズを決めた。

 休憩のための水筒とお弁当をミレイは木陰へと並べていた。遠くでステラとアベルが話しているのが見える。アベルに対して複雑な気持ちはあるが、それを問答無用で咎めるような馬鹿な真似はしたくなかった。
「おやミレイさdhaん、精が出るねぇ」
 今収穫をしている畑の持ち主の老人が話しかけてきた。ミレイは「いえいえ」と微笑む。彼はミレイが先ほどまで見ていた方向を見て「ステラちゃんとアベル君かい」と納得したように頷いた。
「大変だったみたいだねぇ」
「ええ……」
「でもあんまり責めちゃいけないよ。まだあの子は子どもだ。それに変に関わって周りに妙な噂をたてられるのも嫌だろう」
「まぁ」
 彼が心配して言ってくれているのはわかるがミレイの顔は曇った。田舎の村だ。すぐに噂は巡る。アベルだけでなくきっとミモザも色々と言われているのだろうと思うと悔しくてならない。
「まぁ、また同じようなことがないようにワシも見とくからね。あまり気負わんようにね。そういえばミモザちゃんはどうしたんだい?」
「ミモザは王都に行ってるんですよ。親切な方の家に下宿させてもらってお勉強をしに行ってるんです」
 老人の質問にミレイは極力曖昧に答える。彼は「それはいい」と頷いた。
「ミモザちゃんも今はこの村に居づらいだろう。息抜きするとええ」
 ミレイは警戒した自分を少し恥じる。彼は本当に他意なく純粋にミレイ達を心配してくれているだけだったらしい。
「でもじゃあ、手伝いが今年は少なくて大変じゃないかい?」
「まぁでも、ミモザも遊びに行っているわけじゃないですから」
 ミレイは苦笑する。
「下宿先でお仕事もしているみたいで、この間お金を送ってきてくれたんですよ。迷惑かけてるからって。そんなことしなくていいのに」
「いい子だねぇ。ミレイさんが優しいお母さんだからポリ ペプチドミモザちゃんもステラちゃんもいい子に育ったんだねぇ」
「そんな……、ありがとうございます」
 ミレイは泣きそうになって俯いた。ミモザのいじめに気づかなかった自分がそんなことを言われていいはずもないが、とても嬉しい言葉だった。
アントシアニンゴーヤ チャンプルー亜鉛 サプリ おすすめ

 レオンハdha

 レオンハルトとの出会いから3ヶ月後、ミモザは、
「ふんふんふんふん!クロムの効能
 腕立て伏せ100回も軽くこなせる細マッチョへと華麗なるマカ と は変身を遂げていた。
「ふんふんふんふん!」
 腹筋もなんのそのである。お腹にはうっすらと線が入り夢のシックスパックである。
「ふんふんふんふんふん!」
 ダンベルなんて高価なものはないので森から調達した岩を上げ下げする。最初はマカ と は手のひらサイズの岩でぜいぜいと息を切らせていたが、今は自分の上半身くらいの大きさの岩も軽々とはいかないが持ち上げることができる。
「ふんふんふんふんふんふん!」
 ランニングもなんのそのだ。村の外周10周くらいは朝飯前だ。
「ふんーっ!!」
 ブシャァアア!
 ミモザはりんごを両手で握り、気合を入れて握りつぶした。コップの中へとばらばらと落ちdha epaていくのを見守り、コップを掴むとそのまま豪快に天然100%りんごジュースをごくごくと飲み干す。
「ぷはぁっ!最高の気分だ!」
 実に清々しい。
 筋肉を身につけてからのミモザは内面が明るくなるのを感じていた。自信がついたのだ。
「力こそパワー!筋肉は裏切らない!!」
 きゃっきゃっとはしゃぎながらミモザは森へと繰り出した。
 ちなみにこの3ヶ月間、レオンハルトの来訪は一度もない。

 どうしてこうなったのだろう。
 だらだらと脂汗を垂らしながら、数時間前の浮かれていた自分のことをミモザは嘆いた。
 ミモザの目の前には今、マカ
「ウルルルルゥ!」
 低い唸り声を上げ、両腕を挙げて威嚇する熊型の野良精霊がいた。

 途中まではいつも通り順調だったのだ。
 森の浅瀬でここ最近ですっかり慣れ親しんだうさぎ型の野良精霊と戯れ、一月前あたりから攻略を開始した森の半ば周辺で犬型の野良精霊を狩る。
 12匹ほど狩り、のんびりと魔導石の採取をしていたところで異変は訪れた。
 まだミモザが足を踏み入れたことのない森の奥の方から大量の野良精霊が現れたのである。
「は?」
 驚きつつも身構えるミモザのことを、しかし彼らは無視して通り過ぎていった。
 まさに台風一過、土埃を巻き上げて彼らは去って行った。
「一体なんだったんだ?」
 その勢いに気押され走り去る姿をすっかり見送ってから、ミモザは呑気に彼らゴーヤが走って来た方角を振り返りーー、
 そこに3つの紅い目を光らせどす黒いオーラを身にまとい、仁王立ちをしている巨大な熊の野良精霊の姿を見た。
「………え?」
 そして今、話は先ほどの場面へと戻る。
 突然現れた大物に、ミモザはメイス姿のチロを握りしめて立ち尽くしているのであった。
 
(というかこいつ、ゲームのイベントで登場する中ボスでは?)
 その明らかに狂化個体である熊を見て思う。確かステラ達が最初の試練の塔に向かう途中に現れる序盤の中ボスだ。
 さて、ステラ達は一体どうやって倒していたんだったかと考えている間に、
「グアアラァ!!」
 その熊の野良精霊は挙げていた両腕をミモザに向かって振り下ろしてきた。
「………っ!」
 慌てて後ろに飛び退き避ける。
「このっ!」
 ちょうどミモザが避けたせいで熊は両腕を地面につくような姿勢になり隙ができた。それを見逃さずミモザはメイスを横殴りにその顔面へと叩亜鉛の効果きつける。
「……っ!?かったい!」
 しかしそれは骨に当たる鈍い音を立てただけで終わった。熊の頭は確かに殴ったはずなのに向きを変えることもなく、紅い目がぎょろりと動いてミモザを睨む。
 そのまま頭を一瞬低く下げると下からすくい上げるようにしてミモザのことを頭突きでメイスごと吹っ飛ばした。
 身体が宙に浮く。熊は飛んだミモザがどこに落ちるのか確認するようにこちらを眺めていた。
 このままでは川から跳ね上げられた魚のように美味しくいただかれてしまう。
「このやろう」
 ミモザは悪態をつくとメイスを振りかぶり棘を伸ばして少し離れた木へと刺す。そのまま棘を縮めると刺さった木に吸い寄せられるようにして枝の上へと着地した。
「ウルルルルルルルッ」
 大人しく落ちて来なかったことに怒ったのか、唸りながら熊はミモザの着地した木の幹へと突進した。何度も頭を打ちつけてくるたびに幹は悲鳴を上げ折れるのも時間の問題だろう。
(うへぇ、どうしようかな)
 とうとうバキィと小気味良い音を立てて木は真っ二つに折れた。
 熊はこちらを目掛け大きな口を開けて歓喜の咆哮を上げる。
 ミモザはというポリ ペプチドとメイスを足場にするように自身の身体より下へと向けるとそのまま棘を伸ばし、落下速度と全体重をかけてその棘を熊の口の中へと突き刺した。
 さすがに口腔内はそこまでの強度がなかったらしい。熊は直立したような姿勢で串刺しとなり、しばし蠢いたのち絶命した。
「うわー、えぐー」
 足元に広がる光景に自分でやっておきながらミモザはちょっと引いた。
 地面へと飛び降りるとチロをメイスから鼠へと戻す。
「これ、やっぱりイベントの奴だよなぁ、なんだってこんなタイミングで。フライングなんてレベルじゃ……」
 言いかけてハッとミモザはあることに気がついた。
(これ、倒して良かったのか?)
 本来なら姉が3年後に倒すべき相手である。
(ストーリーになにか影響があったら……)
 ミモザは元々のストーリーを頼りに対策を打っているのである。もしチロの狂化のように今回の件で何かが早まってしまうとそれだけでミモザの修行が間に合わなくなってしまう可能性がある。
「ど、どうし…」
 よう、と言いかけて、ミモザの言葉は途切れた。
 何故ならがさがさと草むらが不穏な音を立て始めたからである。
 ミモザはその草むらの動向を見守った。
 がさり、と一際大きな音を立てると何かがでてくる。
 それは先ほど倒したのと同じ、紅dha epa dhaい目が3つあるどす黒いオーラを放った熊だった。
 全部で10匹くらい居た。
マカ サプリ亜鉛クロム

 大人の登場にクロム

 大人の登場にその場に緊張が走った。
「一体誰亜鉛 の サプリだ?お前ら全員か?あん?」
 よりにもよってガラの悪い人の家だった。亜鉛 サプリ
 しかし状況が変わったのは確かだ。ミモザは助けを求めようと家主の男に話しかけようとしてーー
「こいつだ!!」
「……え?」
 アベルが指さしていた。ミモザのことを。
「こいつが割ったんだ!俺たちはdha epa関係ない!!」
「……っ!!」
 確かにガラスを割ったのはミモザだ。しかしそれはアベル達に追われていたからだという言い訳は、家主の男には関係ない話だろう。
(どうしよう)
 どうしたらいいか頭がまったく回らず汗が全身から噴き出す。ここで窓ガラスを割ったのがミモザだと素直に認めたらどうなるだろうか。男には怒られるがアベル達からは逃れられる?しかしまた同じ目にあわないとはとdhaても言えない。可能であればここでアベル達はもう一度咎められてほしい。バレなければいじめて構わないという成功体験を積み重ねさせるのは悪手だ。しかしどうしたらいいかがわからない。
 ミモザにはどうしたらいいかがわからない。
「お前……」
 ミモザはその声に身をすくめた。
 家主の男は険しい顔でミモザのことを見つめ、手をーー、
「待ちなさい」
 鋭い声と共にその手は制止された。
「俺はすべてを見ていたぞ」
 そう言って現れたのは
「レオン様……」
 レオンハルトだった。
「言うべきことがあるのではないか?マカ
 風になびく波打つ藍色の長髪、金色に輝く左目。
 長身の美丈夫が皆を睥睨するように腕組みをして言った。

「兄貴!!」
 アベルは思わぬ加勢に目を輝かせる。ミモザは反対に顔を俯かせた。
 すべてを見ていたぞ、とレオンハルトは言った。
 ミモザが窓ガラスを割っているのを見たからそのように言ったのだろう。まして相手はレオンハルトの弟である。
(終わった……)
 いかにミモザがレオンハルトの弟子とは言えど、せいぜい半年の付き合いである。レオンハルトが弟のことを可愛がりこの村に訪れているのは有名な話だった。
 どちらの肩を持つかなど火を見るよりも明らかだ。
「なぁ、兄貴!わかるだろ!窓ガラスを割ったのはこいつだ!俺はマカ サプリ悪くねぇ!」
 喜色満面でアベルは兄に近づきその腕に触ろうとしてーー、その手を振り払われた。
「……え?」
 見上げたレオンハルトの顔は、険しい。
「嘘をつくな」
 誰もが耳を疑うような言葉を、彼は重々しく告げた。
「俺はすべてを見ていたと言ったはずだ。誤ちは自身で認めなさい」
「あ、兄貴?見てたならわかるだろ?俺は本当に……」
「嘘をつくなと言っているだろう!」
 けして怒鳴っているわけではないのに怒鳴りつけられたような迫力をもって彼は告げる。
「お前達4人はその子を追いかけ回して石を投げつけていたな」
「……えっと」
 予想外の展開にミモザはぽかんと間抜けに彼を見上げてしまう。
「その投げたうちの一つがこの窓ガラスに当たったんだ」
「ち、違う!」
「何が違う?」
 ゆっくりとレオンハルトはミモザへと近づくと、ミモザの顔を見て眉をひそめた。そっと割アントシアニンの効果れ物にでも触るように手を伸ばすと傷口へと触れる。
「……っ」
「痛むだろう。すまなかった。駆けつけるのが遅くなった」
 そして今度は立ち上がると窓ガラスを割られた家主へと深々と頭を下げる。
「俺の愚弟が大変な失礼を致しました。こちらの窓ガラスは弁償させていただきます。大変申し訳ありませんでした」
「あ、ああ、まぁ、弁償してくれんなら俺はいいけどよ」
「後日修理にかかった金額を伝えてくだされば払いますので」
 もう一度丁寧に「誠に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げる。
「違う!なんで兄貴が頭を下げんだよ!!」
 それに不満を唱えたのはアベルだ。しかしそんな弟のことをぎろりと睨むと「お前が頭を下げないからだろう」とレオンハルトは言った。
「お前もきちんと謝罪しなさい」
「違う!俺は悪くない!!」
「ではきちんと説明しなさい」
 アベルの喚き声はぴしゃりと跳ね除けられる。
「お前は確かにその子に石を投げつけて追いかけ回していた。俺は確かにそれを見た。それを間違いだというのならきちんと筋を通して説明しろ。できない亜鉛の効果だろう」
「た、確かに投げたよ、投げた!でもそれはそいつに向かってであって、窓ガラスは割ってない!割ったのはこいつなんだよ!」
 アベルの主張にレオンハルトはため息をつく。
「なぜこの子が窓ガラスを割る必要があるんだ」
「……そ、それは」
「逃げていたその子が窓ガラスを割ったと考えるより、石を投げていたお前らが割ったと考えるほうが自然だ。そうだろう?お前の言葉にはなんの説得力もない」
「でも本当に、本当なんだ。割ったのはこいつなんだ」
「よしんば窓ガラスを割ったのがその子だったとして、この子によってたかって石を投げつけていたのは事実なのだろう?」
 アベルが見上げた先には氷のように冷たい目をした兄がいた。
「軽蔑されるには充分な行いだとは思わないのか?」
「……っ、お、俺は」
「なんだ?正当な理由があるなら言ってみろ。一体どんな理由があったら女の子1人に4人でよってたかって石を投げつける正当性があるのか俺には皆目検討がつかないが」
「………っ!!」
 アベルは悔しそうに唇を噛みしめる。レオンハルトの言葉に反論できないのだろう。
 しかし窓ガラスを割っていないという彼の主張は正しいのだ。このまま黙っていろという自分と、レオンハルトを欺くつもりなのかといゴーヤう自分。両者がせめぎあって、ミモザは「あ、あの」と重い口を開いた。
「あの、あの窓ガラス……」
 しかし皆まで言うことは叶わなかった。即座にレオンハルトの手が伸び、周りに見えないようにミモザの傷を確認するふりをしながら口を塞がれたからだ。目を白黒させるミモザに、彼は全て了解しているというようににやりと笑った。
 その表情に、何も言われていないのに黙っていろと言われたように感じてミモザは口をつぐんだ。
「ああ、本当にすまなかった。痛むだろう。弟に代わって謝罪する」
 ミモザはその言葉に無言でこくこくと頷くのがせいいっぱいだ。レオンハルトはそれに苦笑すると地面に転がったままだったランチボックスを手にして土を払い、ミモザへと差し出した。
「本当にすまなかった。彼らは俺が責任持って親の元へと連れて行き反省させよう。君にも謝罪をさせる」
 そしてミモザの耳元へと口を寄せると周りには聞こえないように「ヘマをしたな」と囁いた。
「窓を割る必要はなかった。君は逃げるだけで良かったんだ。俺以外目撃者がいなくて良かった。次からはもっとうまくやりなさい」
 悪戯に成功した子どものように笑うレオンハルトに、ミモザは「お手数をおかけしました」と自分でもちょっとズレてるなと思う返答しかできなかった。
 レオンハルトの目がおもしろそうに瞬いた。
dha epaポリ ペプチドクロムの効能亜鉛の効果

 ミモザがそのマカ と は

 ミモザがその話を聞いたのは教会の中庭亜鉛 サプリ おすすめであった。
「マシュー様の様子がおかしい?」
「ええ、そうなの」
ポリ ペプチド 首をひねるミモザにジェーンは深刻そうに頷いた。
 時刻は午後のティータイムに差し掛かろうとしている頃のことだ。レオンハルトにオルタンシアへの届け物を頼まれたミモザは教会を訪れ、そして何やら慰霊碑に向かって真剣に祈ってアントシアニンの効果いるジェーンと会ったのだ。
 彼女はミモザに気づくとすぐに早足で駆け寄ってきて、先刻の発言をしたのである。
 しかしそうは言われたところでミモザは、
「僕はマシュー様とあまりお会いしていませんので、なんとも……」
 といった感じである。
 どうして自分に言ってくるのかと困惑するミモザに、彼女はその瞳を真っ直ぐにこちらに向けると
「ある人物に傾倒しているようなの」
と告げた。
「はぁ……」
「それがね、貴方にそクロムの効能っくりな方なのよ」
 その言葉にミモザはぴたりと動きを止める。そのまままじまじとジェーンのことを見返した。
「そっくり……?」
「ええ、私は遠目からしか見ていないのだけど、髪の長い貴方に見えたわ。でもその様子だと本当に貴方じゃないのね」
 ふぅ、と困ったようにため息をつく。
「なんだかあの方に傾倒するようになってから、マシューの言うことが極端になってしまって……、こういう言い方はあれだけど、昔の私達のようなのよ。まだ貴方に出会う前、仲間うちだけで鬱屈としていた頃のようだわ」
「…………」
 ミモザは思わず黙り込む。ミモザにそっくりな人物はどう考亜鉛 サプリえてもステラだろう。しかしステラにマシューが傾倒するとはーー
(攻略、されたのか……?)
 マシューは攻略対象だ。なくはない話だった。
 正直これまでアベル以外の攻略対象者はあまりステラに好意的な様子を見せていなかったのですっかり失念していたが、彼らが攻略される可能性というのは常にあるのだ。
(レオン様やジーンや第一王子殿下もステラに……?)
 想像もつかないし想像したくもない。
 しかし『昔のマシューに戻る』、『極端な考えになる』というのはそれとどう関係すると言うのだろう?
「…………、おそらくですが、僕とそっくりな人物というのは僕の双子の姉だと思います」
「……まぁ」
 驚いたようにジェーンは声を上げる。
「お姉様がいらっしゃったのね。何かお話を聞いていないかしら?」
「残念ながらアントシアニン……、僕と姉は不仲なのです」
「そう……、そうなの……」
 困ったようにうつむくジェーンに、ミモザは「ええと」と口を開く。
「もしお会いする機会があればそれとなく探ってみますね」
「……ねぇ、不躾で申し訳ないのだけれど、差し支えなければお姉様と不仲な理由を聞いてもいいかしら?」
「なぜ?」
 目を見張るミモザに彼女は意を決したように言った。
「個人的なことに踏み込んでごめんなさいね。でも、なんだかとても異様なのよ。まるで操られているか、そうね、洗脳でもされているかのような変わりようなの。だから、もしかしたらそういう理由があってお姉様と仲が悪いのかと思ったのよ。だって……」
 ジェーンはミモザを見る。ミモザもその瞳を見た。
「お母様を大切になさっている貴方が、何の理由もなくご家族と不仲になるとは思えなかったの」
 ミモザは何も言えなかった。

「ジーンの様子が変なのです」
 数分後、届け物を持ってきたオルタンシア教皇の執務室にてミモザはまったく似たゴーヤような話を聞いていた。
「変というのは?」
「どうやら、ある人物に酷く依存しているらしく……」
 オルタンシアの質問に戸惑ったように、フレイヤはその美しい銀の瞳を細めて言った。
「わたくしの言うことも耳に入らない様子なのです」

 その日、警察署は非常に暇だった。
「おかしいんです! うちの主人は浮気なんてするような人じゃないのにっ!!」
「はいはい奥さん、信じたくない気持ちはよーくわかりますよ。でもねぇ、事実見てしまったんでしょう?」
 だから窓口の担当だったウェルディがそれにいい加減といえど相手をしていたのはそのせいだ。忙しい時ならこんな民事の内容に相槌など打ったりはしない。
「だからおかしいんじゃないですか! それも相手は主人のストーカーなんですよ!?」
 実は愛人だったのを誤魔化すためにその旦那はストーカーだと言い張っていたんだろうなぁ、と彼は思ったが、優しいのでそのままは言わず「そうですねぇ」と言葉を探す。
「何度も接触しているうちに親密になったのかも知れませんよ。まぁ、うちでは刑事事件しか扱えませんのでね」
「だから! 事件だって言ってるじゃないですか!! これは洗脳ですよ!亜鉛 サプリ あるいは呪術かも!」
「呪術ってそんな……」
 オカルトの見過ぎだと、呆れて言おうとした時に
「あのぅ」と扉を開けて入ってきた若い女性がいた。
「あ、どうも。すみませんね、次のご相談の方がいらしてるんで、いったん横に避けてもらって」
「ちょっと! 真面目に聞いてったら!」
「はいはい、それで? どうされました?」
 入ってきた若い女性は少し迷うように、困ったようにその重い口を開いた。
「その、人の気持ちを変えてしまうような事件って、あったりします?」
「………は?」
 今のウェルディは知らなかった。この後数日に渡って似たような訴えを受けるはめになることを。
アントシアニンアントシアニン亜鉛 の サプリ

 試練の塔、第ゴーヤ

 試練の塔、第1の塔はチュートリアルの塔である。
 敵は一切出現しない。dhaただマップの見方や試練の塔のマカ と は説明のためにあるような塔である。そのためその試練の内容は至極簡単で子どもでもできるお使いのようなものだ。あちらこちらに隠されているはずの鍵を探して塔の最上部にある扉に挿す、ただそれだけである亜鉛 サプリ。ただし鍵は3種類ある。そう、金銀銅の3種類だ。そのうちのどの鍵を見つけられるかにより、祝福の精度が変わるのである。そして今、ミモザはーー
「銅しか見つからない……」
 大量の銅の鍵を抱えて途方に暮れていた。
 もはや疲れ果てて天を見上げる。そこにはやはり塔の中にも関わらず綺麗な青空が広がっていた。
「クソゲーめ……」
「チポリ ペプチドー…」
 チロが慰めるようにミモザの頬を撫でる。ミモザはその優しさに「うっ」と泣き崩れた。
 あたり一面には色とりどりの花畑が広がっていた。蝶々や蜂がぶんぶんと飛び交っている。その中で1人地面にへばりつくミモザ。
(悲しい……)
 いや、わかってはいたのだ。そうなるかも知れないと予測はしていた。
 しかし予測していたのと実際に起こるのとではやはり重みが違うのだ。
 通常確かに銅より銀の方が見つかりにくい。金など見つけられる人間は稀である。しかし銀はdha epa一般的に見つかる部類のはずなのだ。
 周囲を見渡せば銀の祝福を持っている人は普通にいる。特に騎士を目指すわけではない人でも普通に持っている。
 故にゲームのノーマルモードは銀で、ハードモードは銅なのだ。
「あの…、大丈夫ですか?どこかお怪我でも……」
「いやちょっと世界に絶望してただけなので大丈夫です」
「それは大丈夫なんでしょうか……」
 親切に声をかけてくれた人物はそこまで言って、「あれ?」と声を上げた。
「ミモザさん?」
「はい?」
 名前を呼ばれて顔を上げる。
「……何やってるんですか?本当に」
「僕の中の金髪美少女は地べたにへばりついたりしないんだけどな」と神妙な顔で呟くのは王国騎士団団長の弟子、ジーンであった。

「ミモクロムの効能ザさん、まだ塔の攻略されてなかったんですね」
「そういうジーン様もですか?」
「ええ、僕は学園を先日やっと卒業しましたので」
「なるほど」
 やっと地面にへばりつくのをやめてその場に座るとミモザは頷いた。それは実によくある話だ。
 塔の攻略は13歳以上ならば可能だが、本当に13歳を迎えてすぐに攻略に向かうのはだいたいが学校にもあまり通えないような貧困層である。なぜなら塔の攻略いかんによって就職先や給料が大きく左右されるからだ。
 一応この国ではどこに住んでいても学校に通い、基礎教育を受けられるように整備が進んできているが、無料というわけではない。国から補助金が出ているため安価ではあるが、それでも少しのお金でも切り詰めたい場合や子どもに働いてもらいたい状況の場合は通えない者も多い。レオンハルトなどはこの例である。
 対してミモザやジーンなど学校に通えている者は学校卒業後、つまり15歳に塔の攻略を始めることになる。これは当然、学校マカを卒業していた方が卒業していない場合よりもその後の進路に幅が広がるためである。
(学園に通ってたならなおさらだろうな)
 学園といった場合に指し示すものは王都にある国立中央学園のことである。これは貴族の子息、子女が通う学校でミモザが通っていた学校など比較にもならないくらいのエリート校であり、そして国立にも関わらず非常に高い学費の必要な学校である。一応最近は特待生制度などができ、平民や貧しい人も優秀であれば通えるようになってきたらしいがまだまだ貴族のエリートが通う学校としての印象が強い。ここを卒業すれば国立中央学院という更なる叡智を学べる研究機関への道が開かれるのだ。当然、いつでも誰でも挑める塔の攻略などより学園の卒業のほうが優先されるだろう。王国騎士団団長の弟子な時点でエリートだとは思っていたが、彼はミモザの想像以上の超エリートだったようだ。
「僕も先日学校を卒業したので今日から攻略開始です」
「へぇ」
 ジーンは意外そうに相槌を打った。おおかたレオンハルトの弟子なので学校に行っていないと思われていたのだろう。
(まぁ、間違いではない)
 厳密には通っていない。不登校マカ サプリなので。
「そういえば……、先ほどミモザさんにそっくりの金髪美少女に出会ったのですが、お知り合いでしょうか?」
「えっ」
 のんびりと続けられた言葉にぎょっとする。ミモザにそっくりな人間などこの世に1人しかいない。
「確か名前はステラさんとおっしゃっていました」
「ど、どこで会ったんですか!?」
「え?ええと、王都の大通りで……、お買い物をされていたようで」
 その言葉にほっと胸を撫で下ろす。どうやらまだ塔に来ているわけではないらしい。なるべく鉢合わせたくないのだ。
「ええと、彼女は……」
「あ、僕の姉です。双子で」
「ああ、通りで。あんまりにそっくりなのでミモザさんかと思って間違えて声をかけてしまったのです」
 続けられた言葉にミモザは「ん?」と首を傾げる。どこかで聞いたことのあるような話だ。
 王都、知り合いと間違えて声をかける、エリート。
「攻略対象……?」
「はい?」
 思わず行儀悪く指差したミモザに、ジーンは不思議そうな顔をする。その顔をまじまじと見つめるが、正直まったく思い出せない。
 清潔に切り揃えられたサラサラの黒い髪に優しげな黒い瞳。爽やかな笑顔で立つその姿は、
(まぁ、イケメンといえばイケメン)
 攻略対象であっても不思議ではない。
 ゲームの攻略対象はレオンハルトとゴーヤ チャンプルー王子の隠しキャラ2人を除くと全部で5人。全員所属する組織が違うのが特徴である。幼馴染のアベル、被害者遺族の会のマシュー、そしてあと出てきていないのは保護研究会と学園のエリート、大人枠の学院の教師である。
 特徴としてはジーンは十分に当てはまっている。ここまで共通項があれば彼が攻略対象とみて間違いないだろう。
(全く思い出せないけど!)
 まぁ、全ての記憶があるわけではないから気がつかなくてもしょうがない、と誰ともなしに心の中で言い訳していると、ジーンははぁ、と残念そうにため息をついた。
「ミモザさんって金髪美少女なのに、らしからぬ性格をしてますよね」
「最初に会った時も思ってましたがジーン様のその金髪美少女に対する歪んだ価値観は一体なんなんでしょう?」
 こてん、と首を傾げるミモザにジーンがむっ、と眉を寄せる。
「歪んでませんよ」
「歪んでますよ」
「美少女は巨乳なんて言わないし地べたに這いつくばらないんですよ、普通は」
「誰だって巨乳って言っていいし地べたに這いつくばる権利くらいありますよ?」
 そのまましばらく2人は見つめ合った。ややして「ああ」とミモザは納得したように頷く。
「もしかしてジーン様、あまり女性と接したことがないんでしょうか」
「は、はぁーっ!?」
 明らかに動揺したようにジーンは目を剥いて声を上げる。
「あ、ありますよ!先生は女性じゃないですか!」
「じゃあ同年代の女子と接した経験は?」
 彼はそっぽを向いてうつむいた。
「く、クラスメイトと」
「クラスメイトと?」
「あ、dha挨拶くらいしたことあるし?」
「つまりそれ以外はないんですね」
「うぐぐっ」
 うめくジーンにミモザはさらに首をひねる。
「普通貴族って婚約者とかいるものなんじゃないんですか?」
「みそっかすの三男にそんなものはそうそういませんよ」
 むすり、と彼は不機嫌そうにそう告げた。
「親には好きにしろって言われてそれだけです」
「自由でいいじゃないですか」
「よくないですよ!三男なんてね!どっかいいとこに頑張って就職するか婿入りしない限り穀潰し扱いで家族に冷たい目で見られるんですよ!長男のスペアですらないから家に居場所がないんです!!」
 なかなか複雑な立場らしい。彼はぶつぶつと「女の子が欲しいから産んだのに男の子が産まれちゃった結果の僕ですよ」とぼやいた。
「だから僕は頑張ってるんですよ。真面目に勉強して学園で優秀な成績をおさめ、先生に弟子入りして、エリート街道を走って決して無能だなんて思われないように……」
「その結果女の子との接触が無さすぎてこじらせちゃったんですか?」
「こじらせてません!」
 ジーンは拳を振り上げて力説した。
「女の子はお花と砂糖菓子となにか素敵なものでできてるんですよ!」
「女の子の構成要素は血と肉と骨ですよ」
「うそだー!!」
 しかしすぐに打ちのめされて耳を塞いで叫ぶ。本人も多少夢を見過ぎている自覚があるのだろう。しかし認め難いのか弱々しくあらがった。
「お、女の子はなんかいい匂いがして、髪の毛サラサラで、下品なことは言わないんだ」
「何もつけなきゃ普通に汗の匂いですし、髪の毛ぼざぼさの人もいるし、下ネタも言いますよ」
「イヤー!!」
 しかしすぐに返り討ちにあってうずくまる。
「うっうっ、僕の理想の女の子像が汚された」
 ミモザはその背サプリメント マカ中に優しくそっと手を添える。そうして穏やかに諭した。
「よかったですね、早くに目覚められて」
「最悪だ……」
 幽鬼のようにうめくジーンの背中をさすってあげながら、少しやりすぎたか、と反省する。
 まぁ言ったことはすべて事実である。
dhaゴーヤ チャンプルークロムの効能ゴーヤ チャンプルー

 ミモザは亜鉛 サプリ

 ミモザはあたりを見渡した。馬型の精霊達は血に興奮したのか臨戦態勢だ。
「ミモザさん!クロムの効能助太刀を…マカ サプリ…っ!」
 ジーンがそう叫び剣で精霊を切り捨てようとするのを、阻止するようにチロの棘が刺し貫いた。
「……っ!」
 棘は正確に馬の目を刺し貫いている。そのままミモザがメイスを振ると、迫ってきていた精霊達10体ほどはすべて中身を撒き散らして絶命したdha epa dha
「ミモザさん……」
「余計なことはしないでください」
 不満そうなジーンに、ミモザも不満げに口を尖らせる。
「貴方の仕事は連絡役です。それ以上は越権行為だってオルタンシア様もおっしゃっていたじゃないですか。もしも何かをしたいというなら彼らに必要な物資がないかの聴取をお願いします」
「このような状況で越権行為もなにも……」
「このような状況だからマカです」
 じろり、と睨む。
「僕はレオン様に迷惑をかけるわけにはいかない。状況につけ込んで事を有利に進められては困ります。貴方は僕たちと敵対したいのですか?ジーン様」
 ジーンはしばらく睨んでいたが、その不毛さに気づいたのだろう。諦めたようにため息をついた。
「貴方がそんなに職務に忠実だとは……、おみそれしましたよ」
「貴方は職務にだらしがないんですか?」
「嫌味ですよ!そんなこと誰も言ってないでしょ!!」
 文句を言いながらもそれ以上争うつもりはないらしい。彼は素直に被害者遺族の会のメンバーへと近づき、何か話しかけているようだった。
亜鉛 サプリ おすすめ ミモザも気を取り直してメイスを握り直す。
(さて……)
 ちらりと背後にかばったジェーンを見る。彼女の顔は青ざめているが毅然としていて、なにかを覚悟したかのように見えた。
「……動かないでくださいね」
「え?」
 戸惑ったように顔を上げたジェーンを一瞥し、ミモザはメイスを地面に打ちつける。とたんに棘が恐ろしい速さで伸び、精霊達の目を一瞬で刺し貫いた。悲鳴のような甲高い鳴き声をあげて彼らは地に倒れ伏す。気がつけばミモザ達の周りには遺体が散乱し、生きている野良精霊は1匹もいなくなっていた。
「すげー……」
 マシューが思わずと言ったように言葉をこぼす。
「さぁ、一応片付けはしましたが、またすぐに集まってきてしまうでしょう。今のうちに避難をしましょう」
 そしてミモザはどさくさに紛れて当たり前マカ と はのような顔で避難を促し、
「それはできないわ」
 あっさりと拒絶された。
(まぁ、そりゃそうだ)
 そう簡単に流されてくれるようならレオンハルト達も苦労はしていないのだ。やっぱりレオンハルトが駆けつけるまで待つしかないか、と考えていると「でも、そうね」とジェーンが再び口を開いた。
「私以外のみんなは帰ってちょうだい」
 ざわり、とざわめきが起こる。それをゆっくりと見回してジェーンは告げた。
「先ほどマシューさんが言ってくれたように、成果は充分です。私たちの本気は伝わったはず。私は当然これ以上の犠牲を望みません。ですから、皆さんは一度撤退を」
「でしたらジェーンさん、貴方も」
 言いかけるマシューに彼女は首を横に振った。
「今は話し合いの場を設ける好機です。だってこうして向こうから出向いてくださったんですもの」
 そう言って彼女はミモザを手で示して見せた。
(僕……?)
 思わず自分を指さして確認すると、dha epa dhaいかにもと言わんばかりにジェーンは頷いた。
「あなたは私が聖騎士様にお声をかけさせていただいた際に彼と共にいらした方ですね。よろしければお名前を伺っても?」
 またざわりと周囲はざわついて、ミモザに視線が集中した。それに気まずい気持ちになりつつミモザは手を胸に当てて騎士の礼をとる。
「僕はレオンハルト様の弟子の、ミモザと申します」
 その言葉にざわめきが大きくなる。
(うう……)
 針のむしろとはこのことだろうか。逃げ出したい気持ちをなんとか抑えてミモザは踏みとどまった。
「まあ、お弟子さんがいらっしゃったのですね」
「不肖の弟子ですが」
「聖騎士様はいらっしゃらないの?」
 当然の疑問に、ミモザは嘆息した。
「今現在、王都周辺では野良精霊の大量発生が起こっております。王国、教会の両騎士団、そしてレオンハルト様はその解決のために奔走されております」
 またざわめく。今度は収まるまでに時間がかかった。
「そのため、今はこちらに訪れることが難しいのです。どうか一度塔から出て、時期を調整してはいただけませんか。すべてが落ち着いた後で話し合いをし亜鉛の効果ましょう」
 ミモザの提案に、けれどジェーンは首を横に振る。
「ここを出てからでは話し合いの席を設けてはいただけないでしょう。よしんば話し合いを行なったとて、対等に意見を交わしていただけるとは思えませんわ」
 図星を突かれてミモザはうっ、と言葉に詰まる。
 おそらく話し合いの場を設けたとして、それは結論ありきのものになるだろう。被害者遺族の会の話を聞く機会は設けましたよ、と体裁を整えて終了だ。
「ですので、私がここに残ります。皆がここに残る必要はないでしょう」
 口々にどうするかと話し合う声が聞こえる。皆行動を決めかねているようだ。
(とりあえず人数減らすか)
 死傷者が出るのを防ぐことがミモザの第一目標だ。そのためには塔の内部にいる人間はできるだけ少ない方がいい。
「ではその左端の背の高い貴方!貴方から順番にジーンさんに着いて外に出てください!」
「余計な事するなって言ったわりには人使い荒いなぁ、まぁ避難には僕も賛成だけどさ」
 ぶちぶちと文句を言いながらもジーンは動き始める。
 戸惑いながらも指示に従って動き出す人々にミモザはほくそ笑んだ。
(これぞ必殺…)
 『名指しされると従ってしまう奴』である。
 よく緊急の現場では単純に「救急車に電話してください」というよりも「そこの赤い服の亜鉛 サプリ おすすめ方、救急車に電話してください」と具体的に指名した方が人は動くという通説がある。それをしてみただけである。
 しかし効果はあったようだ。ミモザは満足そうに頷いた。
「いかん!いかんいかんいかんいかん!!」
 その時甲高い喚き声が響いた。見ると1人の老人が地団駄を踏みながら喚いている。
「お前ら!お前らの家族に対する思いはその程度か!これ以上犠牲を出したくないという気持ちは!所詮その程度だったんだな!えぇ?」
「ロランさん」
 冷静な声が彼を呼ぶ。ジェーンだ。
「私たちの思いは本物です。その程度などではありません。教会側は使者を出してくださった。その成果が得られたのでもう全員がこの場に残る意味がないという判断をしたまでです。それに私はこの場に残るのです。それで充分でしょう?」
 見透かすようなその言葉に、ロランはしばし押し黙るとにやりと笑った。
「ではわしも残るとしよう。お主だけに任せるわけにはいかん」
「俺も残ります!」
 手を挙げたのはマシューだ。その新緑の髪と緑の瞳に見覚えがある気がしてミモザは首を傾げる。
(……あ?)
 緑、そばかす、童顔、そして被害者遺族の会
(思い出した)
 彼は攻略対象だ。確か姉とはどこかの塔で出会うはずだ。ゲームはシステム上親密度の高い攻略対象複数人とパーティを組むことになるのだが、彼は回復役担当で恋愛対象としてはともかく、パーティメンバーとしては人気が高かった。
 確かステラが「出世した暁には教会側と被害者遺族の会との間をつ亜鉛なぐのに尽力する」と約束するシーンがあったように思う。
「……では、私たち3人で残りましょうか」
 ジェーンがそう取り仕切って、結局この場にはその3人が残ることとなった。
ゴーヤ チャンプルーポリ ペプチドマカ と は

 ゴードンは新クロム

 ゴードンは新米兵士である。
 一応精霊使いと名乗れる程度の素養はあるが、塔を5ポリ ペプチドつ目で挫折したため精霊騎士ではない。亜鉛の効果それでも5つ目の塔まで攻略した実績を評価され、王国騎士団の下っ端として拾ってもらえたのだ。エリートコースを歩むためには精霊騎士になることが必須であるが、田舎の出身で王都で暮らすことを夢見ていたゴード亜鉛ンにとっては食っていける職にありつけただけで上々の人生である。
「壮観だなあ」
 そんな新米で小市民なゴードンにとって、今回のは初めての大規模な任務であった。実に数千人規模の両騎士団を動員した、戦争でも始めるのではといった事件だからだ。
 ゴードンの前方には整然と先輩兵士が並び、そのさらに前にはエリートの精霊騎士達、そしてそのさらに前、先頭にはー
(あれが『三勇』)
 我らが王国騎士団団長フアントシアニンの効果レイヤ、教会騎士団団長ガブリエル、そして聖騎士レオンハルトの姿があった。
 ちなみに三勇とは『三人の勇士』の略である。かつては『二将、一勇』や『三英傑』など色々と呼び方を模索したらしいが、一番語呂がよく呼びやすい『三勇』に落ち着いたらしい。やはり語呂は大事だ。
 ゴードンのような下っ端ではレオンハルトはおろか、フレイヤですらお目にかかる機会は滅多にない。
 それが3人揃い踏みなのには当然理由がある。王都周辺で野良精霊の大量発生という異常事態が起こったからだ。それも複数箇所同時にである。
 それなのに何故ここにこんなに戦力dhaが集中しているのか?
 単純に考えれば分隊を大量に分け、各地に派遣すべきと考えるだろう。そして実際に別働隊は存在している。しかし彼らの仕事は精霊の駆除ではなく、住民の避難と精霊の追い込みである。
 今回あまりにも精霊の量が多く、また倒しにくい相手であった。熊型が大量発生したのだ。
 そのため一箇所一箇所殲滅して回るには時間がかかり過ぎた。そこで考えられた案が追い込み漁である。
 幸いなことに大量発生している場所は王都周辺と限られていた。そのため大量発生が起こった一番外側を円の端にしてぐるりと騎士達で囲み、そのまま精霊達をこの何もないだだっぴろい荒野へと追い込み、そこで待ち受けて一網打尽にしようということになったのである。亜鉛の効果ちなみにこの作戦の発案者はガブリエルである。ゴードンは今まで知らなかったが、彼は知将として国内外で有名らしい。
 その時、上空からひらひらと何かが舞い降りてきた。それは2匹の守護精霊だ。
 1匹は黒い羽に銀色の模様の映える美しい蝶。そしてもう1匹は黒く艶やかな装甲をして鋭いツノをもつノコギリクワガタだった。
 その二匹は諜報にでも出されていたのか前方の三勇の元へと飛んで行く。
「お、三勇様の守護精霊だな」
 その時前に並んでいた先輩がつぶやいた。
「確か、団長様のでしたっけ?」
 それにゴードンは声をかける。先輩は目線だけで振り返ると「当たりだ」と笑った。
 ゴードンは当たったことが嬉しくてへへっと笑う。噂で両騎士団団長はお互いが同じ虫型の守護精霊であることが気に食わなくて仲が悪いのだと聞いたことがあったのだ。
「両団長様のだな。おそらく追い込みの調子を確認していたんだろう」
dha epa dha 先輩の言葉を肯定するように、仕入れてきた情報を主へ伝えようと精霊達はそれぞれの騎士団長へと近付いて行った。
 蝶はガブリエルの方へと進み、その姿を美しい鉄扇へと変えた。
 クワガタはフレイヤの方へと進み、その姿をいかついチェーンソーへと変えた。
「ぎゃっ」
 逆だろ!と叫びかけてすんでのところで堪える。しかし、
「いや、逆だろ!!」
 口を手で押さえるゴードンの背後から声が聞こえた。振り返るとそこには指差して叫んでしまったと思しき同僚の姿があった。彼は先輩に頭を引っ叩かれ、逆にゴードンはこらえたことを褒めるように先輩に頭を撫でられた。
(あとであいつに声かけに行こ)
 友達になれる気がする。
「ぼさっとするな、来るぞ」
 他の先輩が促す。それとほぼ同時に地響きのようなものが始まり、そして姿を現した。
 大量の熊型の野良精霊である。
 そのあまりの多さに、みんなわずかに怯んだようだった。しかし、
 ごうっ、と風の燃える音がした。
 レオンハルトだ。
 彼が巨大な剣を一振りすると、そこから炎を纏った斬撃が放たれ、それは徐々に範囲を広げながら熊達をdha焼き切った。あまりの高温ゆえに、おそらく斬撃に触れた場所が蒸発したのだ。
 胸から上を失った熊達が無惨に倒れ伏す。
(すげぇ……)
 なんと彼はその一振りでたどり着いた第一陣をすべて焼き払ってしまった。
 まさに一騎当千。
(これが、聖騎士)
 これが最強の精霊騎士か、と感嘆すると同時に畏怖の念が湧く。
 味方ならこんなにも心強いが、もしも敵対することがあればと思うと冷や水を浴びせられたように体が一気に冷たくなり震える。
「聞け」
 その時声が響いた。ゴードンは弾かれたように顔を上げる。
「これは皆のための戦いである。家族や友、そして愛すべき国民を危機に晒してはいけない」
 けして叫んでいるわけでないのに、大きくよく通るレオンハルトの声が響く。
 その言葉にゴードンははっ、と我に返る思いがした。そうだ、守りに来たのだ。自分の想像に怯えている場合ではない。
「皆の者、俺に続け。必ず勝利を掴み取るぞ」
 オオオォォォッ!と雄叫びが上がった。ゴードンはもう、畏怖にとらわれてはいなかった。
 陽の光に照らされて、英雄の藍色の髪がきらりとひらめく。その横顔は凛々しく、金色の瞳は未来を見据えている。
 勝利という未来を。
 そう信じるには充分過ぎて、ゴードンは胸を熱dha epa dhaくした。
 そう、ゴードン達はこの手で必ず国民を守るのだ。
クロムの効能ゴーヤアントシアニンの効果