宿屋のベッドにポリ ペプチド

 宿屋のベッドに腰掛けて、ア亜鉛 の サプリdhaベルは待っていた。
 先日の強制捜査の後、二人はさらに郊外の宿屋へと場所を移していた。昨夜チェックインした部屋に、朝起きたらアベル一人しかいなかったのだ。ステラがどこに行ったのかはわからないが、闇亜鉛 サプリ おすすめ雲に探し回ってすれ違う事態は避けたかった。
 階段を登ってくる足音がする。それに弾かれたように彼は立ち上がった。
「アベル!」
 扉が開くと共にアベルの待ち人は彼を呼んだ。そしてそのまま捲し立てるように話し出す。
「おかしいわ。前回はこんなことなかったの。あの飴が取り締まられるだなんて……」
「ステラ!」クロム
 アベルは険しい顔でその発言を遮った。そのまま部屋に入ってきた少女ーーステラの両肩を掴む。
「約束してくれ、ああいう怪しい薬には今後手を出さないと」
「え?」
 きょとん、と彼女はそのサファイアの瞳をまんまるくした。そのわかっていない様子にアベルは眉間に皺を寄せ、訴えかけるように説明する。
「今回はギリギリだった。下手したら捕まってたんだ」
「ありがとう。アベルのおかげで助かったわ」
 アベルはミモザに会った際にステラが検挙される危険性を感じ取っていた。そのため強制捜査の直前にアベルは飴クロムの効能を持ち出すと粉々に砕き、地面に埋めていたのだ。
 捜査官が来る前に始末できたのはただ単に運が良かっただけだ。あとほんの数刻アベルの行動が遅ければ今頃ステラは逮捕されていたことだろう。
 その重大さがわかっていない様子の少女の態度に、アベルは苛立たしげに首を振った。
「俺も万能じゃない。常にかばってやれるわけじゃないんだ」
「ミモザのせいよ」
 ステラは迷いなく言う。
「前はこんなことなかったもの。あの飴を使ってたって警察が押しかけてくることなんてなかった。今確かめてきたけど、売っていたお兄さんも捕まっちゃったんですって。ただ販売していただけなのに……」
「ステラ!」
 アベルは首を振る。
「それは犯罪行為だからだ。あれは使用を禁マカ サプリじられている魔薬で……」
「でも前回は大丈夫だったのよ?」
 何も伝わっていない様子で可愛らしく小首を傾げるステラに、
「前回なんて知らねぇよ!!」
 アベルはとうとう我慢できずに怒鳴ってしまった。アベルの顔が泣きそうに歪む。どうしたら伝わるのかがわからない。
「頼むから今を見てくれ! ステラ!!」
 ステラが黙り込む。はぁはぁと肩で息をするアベルの呼吸だけが室内に響いた。
「……どうしてわかってくれないの」
「ステラ……?」
 アベルの手を振り払って、ステラは彼を睨んだ。
 サファイアの瞳が怒りに輝く。
「前回はわたしのやる事は正しいって、そうあるべきだって、言ってくれたのに……っ」
「ステラ……」
 アベルは払われた手を見る。それをもう一度彼女に伸ばそうとして、躊躇した。
「それは誰なんだ? ステラ……」
「え?」
 アベルはステラの目を見る。ステラもアベルの目を見た。彼の金色の瞳に涙の滴が溜まって落ちる。
「今の俺の話を聞いてくれよマカ と は……」
「………っ」
 ステラは踵を返して扉へと向かう。
「ステラっ!」
「来ないで……っ!!」
 強い拒絶の言葉に、アベルはその背中を追うことができなかった。

(どうして? どうしてよ!)
 ステラは走る。
(前回も今回も、どっちもアベルはアベルでしょ!?)
 理解できない。理解してもらえない。
(なのにどうしてあんなことを言うの……っ!!)
 息が苦しくなって、ステラは足を止めた。息を整えながら立ち尽くす。
 あたりはもうすっかり夜の闇に覆われていた。
 幸いにも祝福のおかげで周囲は問題なく見通すことができた。王都のはずれの方まで走ってきてしまったらしい。道の舗装は甘く、この先は森に続いているのか店もなく閑散としている。
「ミモザさん?」
 ふいに声が響いた。今一番聞きたくなかった名前で呼ばれて勢いよく振り返る。そこには、
「ジーンくん……」
 彼はそれがミモザではなくステラであることに気づいて、声をかけてしまったことを後悔するように顔を歪めた。
「ステラさんでしたか。これは失礼を」
 そう言って彼が足早に立ち去ろうとするのを、
「待って!」
 ステラは亜鉛 サプリ呼び止めた。
「ジーンくん! ジーンくんはわかってくれるわよね? わたしのこと可愛いって、好きだって言ってくれたもんね?」
 ステラのそのすがるような呼びかけにジーンは答えない。その背中にステラはなおも話しかけ続ける。
「これ、買ってくれたネックレスつけてるの! ねぇ、ジーンくん……」
「僕は、貴方のお人形ではありませんよ」
 そこでやっと諦めたようにジーンは振り向いた。その表情は、険しい。
「……え?」
「他の人もそうです。貴方の望む答えを返すだけの人形じゃない。みんなそれぞれ考えがあって、大切なものがある。それを無理やり薬で歪めるような行為は最低です」
 黒い黒曜石の瞳が糾弾するようにステラのことをねめつける。その強さにステラはたじろいだ。
「ど、どうして……」
「どうして? わかるでしょう。貴方は騙し打ちで薬を盛られて許せるのですか?」
「それは、間違いを直そうと……」
「間違い? なんですかそれは?」
 ステラは必死に説得しようと言葉を紡いだ。
「前回と違ったから、同じにしようと思ったのよ。だって前回はそれで全部うまくいったの。みんな幸せそうで……」
 そう、幸せだった。みんなステラのことを認めてくれて、好いてくれて、否定したりしなかった。思い出して思わず笑みが溢れる。それは蜜のように甘美なゴーヤ記憶だった。
「その『前回』というのが僕にはわかりませんが……」
 その回想を引き裂くように、ジーンはふぅ、とため息をつく。
「その『前回』とやらも、貴方が思っているほど良いものではなかったのではないですか?」
「……え?」
 見ると彼は冷めた目をしてステラを睨んでいた。
「『前回』も、貴方の独りよがりだったのではないですかね? 僕にはわかりませんが、しかし貴方のような自分の気持ちに固執される方が、誰かを幸せにできるとは僕には思えない」
「………っ!!」
 ステラは息を呑んだ。目の前が真っ赤に染まる。
 許せなかった。
 ステラの思いを、大切な思い出を汚された。怒りに頭が熱くなる。
「ニィー」
 ティアラが鳴く。
「そうね、ティアラ」
 ステラは頷いてティアラをレイピアへと変えた。
 ティアラは「思い通りにいかない奴は殺してしまおう」と言った。
 黒い塵がぶわりと吹き上がる。ステラとティアラの周囲がどす黒く染まる。
「ステラさん、貴方は……っ!」
 ジーンは引き攣った顔で守護精霊を剣に変えて構えた。
「わたしは間違ってないの」
 その瞳は、紅く紅く染まっていた。
「間違っているのは、この世界の方よ」
 氷の破片を次々と放つ。ジーンはそれを土の壁で防いだ。しかし無駄だ。
 そうしている間に、光の弾のチャージが終わる。
 光線銃の光の帯が、土の壁を消し飛ばした。すかさずステラは氷を放つ。
「………くっ!」
「わたしが直すわ!」
 地面が盛り上がりステラに襲いかかる。しかしそれをステラはすべて凍らせたマカ と は。ジーンが驚いたように目を見開く。
(何を驚いているのかしら?)
 それにステラは首を傾げる。彼女は一度受けた攻撃を忘れたりしない。二度も同じ手に引っかかるほど馬鹿でも間抜けでもない。
 光のチャージが終わる。
「しま……っ!」
 驚いて、隙を見せたのがジーンの敗因だ。
 光の帯はジーンの剣を弾き飛ばした。その衝撃で彼自身の身体も吹き飛ばされ、地面にもんどりうつ。
「…………」
 ステラはレイピアを握ったまま、ゆっくりとジーンへと近づいた。どうやら気絶しているようだ。
 彼に触ろうとして、ふと、彼女は何かに気づいた。
 少しの間の後、その唇が笑みに吊り上がる。
「……ふ、ふふ、ふふふふふふ」
 それは天啓だった。自らに宿った新たな力に、ステラは歓喜する。
「ほらやっぱり、わたしは間違ってなかった」
 レイピアの姿のまま、ティアラはそれに同意した。
亜鉛 サプリ おすすめアントシアニンの効果クロムの効能亜鉛の効果

 それはチャイアントシアニン

 それはチャイムが鳴クロムの効能って1時間目の授業が終dha epa dhaわった時のことだった。次の授業の準備のための短い休憩時間にがらりと音をたてて唐突に教室のドアが開いた。
 開けたのはミモザである。
 ショートカットのハニーブロンドには天使の輪がかかり、憂鬱そうに伏せられた瞳は冬の亜鉛 サプリ おすすめ湖面のように深い青色に澄んでいて美しかった。雪のように真っ白な肌は透き通っているが血の気が引いたような白さで、その外見の美しさも相まってまるでよくできた人形のようだ。これで服装がもっと華美であればますます人形のように見えたのだろうが、彼女はいつも暗い色のシンプルなシャツと半ズボン、そして黒いタイツといった少年のような格好をしていた。その亜鉛 の サプリ容姿と服装の奇妙なアンバランスさは彼女に不思議な近寄りがたい雰囲気を与えていた。
(戻ってきたのか)
 アベルは意外な気持ちで彼女が静かに自身の席へと戻るのを眺めた。
 変な言葉を叫んで飛び出していったから今日はもう家に帰るのかと思っていたのだ。しかし戻ってきたということはそうはできなかったのだろう。
(そりゃそうか)
 普段より早く家に帰れば理由を聞かれるだろう。これまでミモザが親に一度も学校での出来事を話していないのは当然知っている。
(ステラにはチクったみたいだが…)
 ち、と軽く舌打ちをする亜鉛 サプリ おすすめ。幸いにもステラは素直でお人好しな少女だ。アベルが誤解だと誤魔化すとそれを信じたようだった。
 ステラ。あの美しい少女を思い浮かべるとアベルは幸せな気持ちになる。双子なのに根暗で生意気なミモザとは似ても似つかない。
 アベルだって最初からミモザを蔑ろにしていたわけではない。学校に通い始めた当初、近所に住んでいて元々仲の良かったステラに「妹のことをお願いね」と頼まれて最初のうちは仲良くやっていたのだ。
 しかし入学してから初めて知り合ったステラの妹はどうにも生意気な奴だった。ステラの話題を出すと「僕じゃなくてステラと話しなよ」と突き放すようなことを言い、春の感謝祭で一緒にダンスを踊りたいからステラを誘ってほしいと頼んでも「自分で誘いなよ。僕は関係ないよね」とケチなこと亜鉛 サプリを言う。
 出来ないから頼んでいるというのにだ。
 ステラは人気だ。ミモザと違い明るく誰に対しても分け隔てなく優しいステラはみんなに好かれていた。「お前も同じようにしろよ」と忠告をしたこともあったがミモザはその言葉に嫌そうに顔をしかめるだけだった。「せっかく仲良くしてやってるのに!」と言うと「別に頼んでない」などと恩知らずなことを言うので仲良くするのをやめたのだ。
 アベルは近くで喋っていた特に仲のいい3人を目線で呼ぶと、連れ立って席を立った。目指すのはミモザの席だ。
「おい」
 次の授業の準備をしているのか机の引き出しをいじっているミモザの顔を上げさせるために机を軽く蹴りつける。彼女はわずかに身を震わせるとうかがうようにこちらを見上げた。
 その怯えた態度に自尊心が満たされる。
 自分の肩にとまった相棒の鷲の守護精霊も喜ぶように翼を一度広げてみせた。
「よう。どこいってたんだ?」
 にやにやと笑って問いかけるとミモザは怯えたようにこちらをクロム見て、しかしすぐに無言のまま視線を逸らした。その手は再び準備のために筆記用具や教科書を机の上に並べ始める。
 無視だ。
 その事実に苛立って改めて机をがんっと少し強めに蹴り上げる。
 彼女は助けを求めるようにわずかに視線を彷徨わせたが教室にいる誰も彼女と目を合わせようとしなかった。
 担任の教師もだ。
 まだ新任の若い男教師は周囲からの評価を気にしてアベル達のこの行為を容認していた。クラスの他の生徒達もだ。アベルはこの学校の生徒達の中で誰よりも立場が高い。
 アベルには腹違いの兄がいる。その兄はこの国で最強の精霊騎士に与えられる称号である聖騎士を賜るレオンハルトである。
 残念ながら母親が違うため同じ家で育ってはいないが、レオンハルトはいつもアベルのことを気にかけてくれて忙しい仕事の隙間を縫ってはアベルに会いに来てくれていた。この田舎の村ではそれは間違いなくステータスであり、アベルは同年代の子どもの中では尊敬を集めていた。
「助けなんてこねぇよ」
 ふん、と鼻で笑ってやる。このクラスはアベルの小さな王国だった。
「それよりお前、ステラにちくったろ」
 ミモザが顔をしかめアントシアニンの効果る。その様子に気をよくしつつ、アベルはばんっ、と勢いよく机に手を振り下ろす。
その音にミモザの肩が揺れた。
「ちゃんとイジメなんかしてねぇって伝えといたからな。お前がどうしようもないバカで間抜けだから手伝ってやってるだけだって。もしかしたらイライラしてきつくなったことはあったかも知れねぇって言ったら納得してたよ。お前も帰ったらバカなこと言わねぇで自分が悪かったんだって言えよ!」
 ふん、と鼻息荒く告げる。
(これでいいだろう)
 臆病なミモザのことだ。これだけ脅してやればもう逆らおうという気など起きないに違いないと、アベルは満足して身を翻そうとして、
「馬鹿じゃないの」という小さな声に動きを止めた。
「なんだと?」
 声の主はミモザだ。彼女は身を震わせながらもゆっくりと顔をあげた。
 その目は強くはっきりとした交戦の意思を宿している。
「どこの世界にいじめられるのを自分のせいだと家族に言う奴がいるの。僕がいじめられてるのはお前達加害者のせいであって僕は何一つ悪くない」
 頭にカッと血が上る。逆らえるはずのない相手からの反抗がアベルには許せなかった。
「……いっ!」
「てめぇ!調子に乗りやがって!!」
 強い力でミモザの髪を引っ張る。ちょうど机を挟んで対峙していたためミモザは机の上に乗り上げるような形になった。彼女の髪がぶdha epaちぶちと音をたてて引きちぎられる。
 言葉もなくうめくミモザにアベルは笑う。どんなに言葉で賢しいことを言おうとこんなものだ。結局ミモザはアベルに敵わないのだ。
 そろそろ休憩時間が終わりそうだ。許してやるかと髪から手を離そうとした瞬間ーーミモザと目が合った。
 苦痛に歪んだ顔でけれどその口元がわずかに笑みの形に歪む。
「なん……っ」
 だ、と言いきる時間はなかった。
 そのままミモザは勢いよく机を掴むと乗り上げた身体ごとアベルのいる方へと机をひっくり返す。
 ぎょっとしてアベルは手を離して後退った。
 派手な音が響いて机とともにミモザが床へと倒れ伏す。
 床の上へはあらゆるものが散乱していた。ミモザへの悪口で埋まる真っ赤な紙、ガラスの破片、無数の刃物、引きちぎられた金糸の髪、そしてその上へ倒れ込んだせいで傷ついたミモザの血痕。
 その上に大の字で寝そべる彼女は美しく、凄絶に笑った。
「誰か助けて!!」
 そのまま大声で叫ぶ。
 ぎょっとしたように教室の中の空気は止まり誰も動けない中で
「一体何事だ!?」
 隣のクラスの担任教師が慌ててかけつけてドアを開いた。
 彼はそこに広がる光景を見て数秒絶句し、けれど数秒だけだった。
 すぐに彼の怒号が響いた。
アントシアニンの効果クロムサプリメント マカ亜鉛 サプリ おすすめ

「じゃあ、そろそろ亜鉛 の サプリ

「じゃあ、そろそろ塔の最上階へと行きましょうか……」
 なんとか立ち直dha epaったジーンは力無くそう言っマカた。まだその顔色は青白い。
「ジーン様はもう鍵を見つけられたのですか?」
「え?ええ、先ほど拾いました」
 そう言って彼は、銀の鍵を取り出してみせた。
「……………dha epa dha
「まぁさすがに金は見つかりませんよ。でも思ったよりすぐに見つかって良かったです」
「すぐに」
「ええ、入り口の近くに落ちてまして……」
 にこにこと悪気なく笑うジーン。ミモザは無言で自分のハンカチを取り出すとそこに包んでいた大量の銅の鍵をザーっと地面へとばら撒いた。
「えっ、ミモザさん、随分と大量に……」
 言いかポリ ペプチドけて気づいたのか彼はそこで言葉を止めた。
「えっと」
「すぐに見つかったんですか」
「え、えーと、どうだったかな」
「入り口の近くで」
「もしかしたら結構込み入ったところにあったかも」
 誤魔化すジーンに、ミモザはにこりと笑いかけた。
「ジーン様、いつ塔にいらしたんですか?」
「えっと、10分、いや15分前かな」
「そうですか、僕は朝の5時頃からいます」
「…………」
「今、何時でしたっけね……」
「え、えーと」
 気まずそうにジーンは言った。
「そろそろ昼食時ですね……」
「ふっ」
 ふdha epa dhaっふっふっ、とミモザは笑う。声は笑っているがその表情は半泣きだ。
「ミモザさん……」
 痛ましいものを見る目でジーンはそっと、ミモザの背中に手を添えた。
「大丈夫です。現実をしっかり受け止めましょう。怖くないですよ」
「うわーん!!」
 ミモザは再び地に伏した。ジーンは先ほどのミモザのように無言でその背中を慰めるように撫でた。

「行きましょうか……」
「はい……」
 2人してしょんぼりと肩を落として歩く。階段を登ってすぐにその扉はあった。
 鍵をさす。回す。
 かちゃり、と小さな音を立ててその扉は開いた。本来なら初めての塔の攻略に感慨深くなるのかもしれないイベントを2人は無感情に淡々とこなした。
 感動するには2人とも心が疲弊しすぎていた。
 アントシアニン扉の向こうには暗闇が広がり、そこには一つだけ光が浮かんでいた。それはゆっくりとこちらへ近づくと右手の甲へと吸い込まれるように消えた。そこには花のような紋様が現れ、その花弁の内の一枚が銅色に染まった。それ以外の残り6枚の花弁は肌色のままである。
「塔の攻略の証ですね」
 そう言うジーンの手の甲には銀色の花弁が輝いていた。
 それを見てミモザはちっ、と舌打ちをする。
(そうだ、試しに……)
 第一の塔で得られる祝福、『観察』を使用してみる。使うことを意識してジーンのことを見てみると、そこにはゲーム画面で見るような表示が現れた。
『Lv強い MP多い HPまぁまぁ』
「………クソゲーめ」
 ミモザ、ハードモード確定の瞬間であった。

「では、僕はこれで」
 塔から出たところでジーンはそう言って小さく手を振って見せた。
「王都はこっちですよ?」
 来た道を指差して見せるがジーン亜鉛は首を横に振る。
「先生に念のため塔の周辺を見て回るように言われているんです。野良精霊の異常が塔の周辺で起きると大変ですからね」
 ジーンは明言しなかったがおそらくその『大変』の中には塔の試練を受けに来て被害者が出ると被害者遺族の会との関係がまた悪化しかねないことも含まれているのだろう。
 そういうことならとミモザも同行しようか迷ったが、ステラと鉢合わせしてしまう危険性を考えるとそれははばかられて結局見送ることにした。
 ただでさえ銀の鍵が見つからなかったせいで予定が押しているのだ。当初の予定通りにいっていればとっくに帰っている時間である。
 ジーンが塔の奥にある森へ立ち去っていくのを見送って、ミモザもさて帰るかと振り返ろうとしたところで、
「あら、ミモザ?」
 嫌な声がした。見たくはなかったが見ないわけにもいかないのでゆっくりと振り返る。
 風に靡くハニーブロンドの髪、星を孕んだサファイアの瞳、透き通った肌に淡いピンクの艶やかな唇。
 にこりと笑って、彼女は言った。
「奇遇ねぇ、こんなところで会うなんて」
「おアントシアニン姉ちゃん……」
 そばにはアベルを伴って、ステラがそこには立っていた。
「あら?」
 何かに気づいたようにステラは目を見張り、そしてそれを見てふふっ、と嬉しそうに笑う。
「ミモザ、もう塔に行ったのね」
 ミモザの右手を見たのだろう。そこにある紋様は塔を攻略した証だ。
「銅だったの?残念だったわね。でも大丈夫よ、ミモザ」
 彼女は微笑んで、慰めるように続ける。
「次の塔ではきっと銀が取れるわ」
「……うん。そうだといいね」
 ゲームではミモザは銅しか取れない定めであった。次も銅の可能性が高い。
 対してステラはあえてハードモードを選択しなければ銀以上は確実だろう。
(不公平だなぁ)
 はぁ、とため息をつく。
 卒業試合以降ステラときちんと顔を合わせたのはこれで2回目だ。1回目は試合後の夕食だ。その時はさすがにステラも無言で非常に気まずかったが、今の様子を見るにどうやら立ち直ったらしい。
 まぁたった一度の負けでへこたれる人間ではないだろうとは思っていたが、それにしてもご機嫌である。
「……何かいいことあったの?」
「わかる?」
 うふふ、とステラは笑うと「ジャーン」と可愛らしいお花柄の巾着袋を取り出して見せた。
「これなーんだ!」
 そう言いながら巾着袋を開けてその中身を手のひらに広げて見せた。
 じ亜鉛 の サプリゃらじゃらと流れ出てきたそれは大量の魔導石であった。
亜鉛の効果ゴーヤ亜鉛 サプリ

 若い娘が楽マカ と は

 若い娘が楽しそうにはしゃぐきゃっきゃっと明るい声が響く。
 そこは王都のメイマカンストリートに面した雑貨屋だったマカ。生活や冒険に必要な物資やそれとは別に装飾品や化粧品なども売っていたりする店だ。店は若い娘も入りやすいような清潔でおしゃれな内装をdha epa dhaしていた。
「ねぇ、見て! これ可愛い!」
 ステラは黄色い石のついたネックレスを手に取る。
「これ、こんなに可愛いのに魔道具なんですって。えっと、幻術を見せる魔道具……?」
 ネックレスにつけられたタグの内容を読んだ後、彼女は自分の胸元にそれを当ててみせた。
 にっこりと花のように微笑む。
「どうかしら?」
「よく似合って亜鉛 サプリるよ」
 言ったのはマシューだ。彼は微笑ましいものを見るように目を細めている。
 その時スッと一人の青年が前に進み出てそのネックレスを奪うとお会計のレジへと無言で持っていった。
「ジーンくん!」
 驚くステラに、彼は振り返ると照れくさそうに笑った。
「よければプレゼントしますよ」
「えっと、でもそんなの悪いわ」
 遠慮するステラに彼は微笑むとたった今購入したネックレスをステラの首へと持っていった。
「どうか受け取ってください。僕のためだと思って」
 ゴーヤそうしてネックレスをつけてあげようとして、
「あ、あれ……?」
 金具の外し方がわからず四苦八苦する。
 それにステラはくすりと笑うと「貸して」とネックレスを受け取って金具を外した。
「え、えーと、すみません、慣れてなくて……」
「ねぇ、ジーンくん、つけてくれる?」
 ここの金具をこうするのよ、と実際に実演してみせてからステラはネックレスをジーンに渡した。
「ね、お願い」
 そして、ん、と首を差し出す。
「……では」
 それにジーンは多少照れたように頬を紅潮させながらも真剣な顔を作って今度こそネックレスをつけた。
「ありがとう」
 ステラが微笑む。
 サファイアの瞳が喜びにうるんで美しかった。
亜鉛 の サプリ…………」
 アベルはその様子を少し離れた位置で眺めていた。その表情は場所にそぐわず険しい。
「アベル!」
 そんな彼の様子に気がついたのか、ステラは駆け寄るとネックレスを見せる。
「どう?似合ってる?」
「……ああ、おまえはなんでも似合うよ」
 その気のない声にステラは頬を膨らます。
「もう、アベルったら変よ」
「……そうかもな」
「あ、そうだ!」
 ステラは何かを思いついたように自身のバックを漁ると何かを取り出して差し出す。
「元気のないアベルには美味しいものをあげるわ! ほら、あーん」
 そう言って彼の口もとに押し付けられたのは、飴だった。可愛らしいピンク色の、ハートの形をした飴だ。
 彼はその飴を見てわずかに躊躇したが、結局は口を開く。
「美味しい?」
「………ああ」
 アベルは忌々しげにその飴をがりっと口内で噛み砕いた。

 ミモザはのん亜鉛 サプリ おすすめびりと夕方の王都を散策していた。『黒い密売人』との交戦が決まってしまったため、どのように戦おうかと作戦を練っていたのである。
 はっきり言って本物の犯罪者と戦うのは保護研究会のロランという老人以来となる。しかもあの時はレオンハルトが駆けつけるのが前提の上、ジーンもいるという状況だった。その上ロランはそこまで好戦意欲の高い人物ではなく、かなりの時間を戦わずに潰すことが出来たが、今回はそうはいかないだろう。
(遭遇した時点で戦闘になるかな)
 まだ相手がミモザのことをステラと誤認している状況のうちに不意打ちで倒せればいいが、それをしくじった場合の対処も考えておかねばならない。
 レオンハルトはああ言ったが、信号灯を灯した時点で相手は逃げる可能性は高いし、今回仕留め損なえば次はミモザの前には姿を現さないだろう。
(一回しか騙されてくれないだろうしなぁ)
 さすがに二回もステラとミモザを間違えさせるのは無理だろう。なんなら合言葉なりなんなりの対策を取られてより姿を捕捉しづらくなるかも知れない。
(一回でけりをつけたいよ亜鉛 サプリなぁ……)
 ふぅ、と息を吐く。相手はミモザよりも対人戦闘に慣れている可能性が高い。準備はし過ぎるほどにしたほうが良かった。
(………ん?)
 視線を感じる。
 王都はミモザ達の故郷より遥かに人が多い。しかしそれに比例するように人の動向に無関心でもあった。このように見つめられるのはレオンハルトと共に行動している時以外では初めてだ。
 その視線の主が背後から近づいてくる気配を察して、ミモザは警戒しつつゆっくりと振り向いた。
「………よぉ」
「……アベル?」
 そこにはアベルが立っていた。
 藍色の髪に金色の瞳。歳を経るごとにレオンハルトに近づきつつあるその外見は、もしかしたら父親似なのかも知れなかった。
 ミモザは彼のことを疑うようにじーと見る。
「なんだよ」
 その視線にアベルは居心地悪そうにミモザのことを睨んだ。
「いや、脳みそパーになってないかなって」
「なってねぇよ」
 その返答にミモザはあれ? と目を見張る。
「なんで?」
「俺が聞きてぇよ」
 そこまで聞いてミモザは思う。この会話は意味不明だ。やり取りとして成立していない。
 大前提として『あの飴』の存在を知らなければ。
「ラブドロップ」
 ミモザは切り込んだ。
「食べてないの?」
「食ったよ」
「ーーなら、」
「だから知らねぇよ!」
 アントシアニン憤懣やるかたないという様子でアベルは怒鳴る。彼の精神はもうギリギリだったのかも知れない。その様子はふちのふちまで表面張力ぎりぎりで水を注がれたコップのように、感情が決壊して流れ出したようだった。
「俺が、元からステラに惚れてるからじゃねぇの? 惚れ薬飲んでもなんにもかわらねぇってことはよ」
 悔しげに、苦しげに彼は声を絞り出した。
「いっそのこと、脳みそパーになりたかったよ、俺だって」
 二人の間に沈黙が落ちた。ここでするような会話じゃないなとミモザは思ったが、だからと言ってじゃあどこなら相応しいのかもわからない。
 こんなどうしようもなくやるせない話をするのに相応しい場所など、もしかしたらこの世には存在しないのかも知れなかった。
「なぁ、ミモザ、お前もあの飴のこと知ってんのな」
「まぁ……」
「ーーってことは兄貴も知ってるよな、はは……」
「………」
「お前言ったよな、ステラの敵だって」
「うん」
「……っ! なんでそんなに割り切れんだよ……っ!!」
 耐えきれないというようにアベルは顔を歪めて叫ぶ。
「確かにあいつは間違ってる。悪いことをした。あいつおかしいよ、言ってもわからねぇんだ、わかってくれねぇんだよ、俺じゃ、あいつを止められねぇんだ」
 そして力無く俯く。拳を握っても振り上げることも出来ず、アベルは首を振る。
「けどさ、だからといってすぐに嫌いになんてなれねぇんだよ。今までのこと全部なかったことに出来ねぇんだよ。ずっとガキの頃から亜鉛 サプリ おすすめ一緒にいるんだ。あいつは優しかった、優秀だった、格好良かった、それも全部本当なんだよ! なかったことにはならねぇんだよ!」
 そこまで言って、アベルは興奮に激しくなった呼吸を整えるように黙り込んだ。そして言う。
「なんでそんなに割り切れんだよ……」
 それは疑問ではなく批難の言葉だ。自分一人だけ楽な場所にいるミモザを責める言葉だ。
「……割り切れないよ」
 ミモザにはどうしようもない。アベルの苦しみはアベルが自らの意思で選び取った結果だからだ。
 そして同時にミモザの良心の呵責もまた、ミモザが選び取った結果だ。
「でも、割り切るって決めたんだよ。……僕が、僕であるために」
 のろのろとアベルは顔を上げた。その顔は先ほどまで興奮していたはずなのに血の気が引いて真っ白だ。
「そうかよ……」
「アベル、どうするつもり?」
 ミモザはアベルが嫌いだ。けれどもしもステラの罪を告発して保護を求めるならどこかその辺の騎士に口聞きをしてやっても構わない。
 そうすることで、きっとステラは色々なことを思い留まるかも知れない。
「……俺はあいつを見捨てられねぇ」
 しかしアベルは首を振った。
「どんな罪を犯しても、最低でも、最悪でも、あいつが悲しんだり酷い目にあったり、一人っきりで泣かせる気にはなれねぇんだ」
 ミモザのことを睨む。その目には先ほどにはなかった強い意志が宿っていた。
 痛みを覚悟した意志だ。
「説得は続ける。けど、あいつが犯した罪を、あいつ一人に背負わせることは俺にはできねぇ。……ミモザ、俺は」
 アベルはしっかりと自分の両足で立ち、姿勢を正した。金色の瞳に炎が灯る。
「どこまでもステラの味方だ。そう決めた」
亜鉛 サプリ おすすめ「……そう」
 ミモザにはそれを止めることは出来ないだろう。それだけは理解できた。
亜鉛 の サプリ亜鉛の効果ゴーヤ チャンプルーdha

「じゃあ、亜鉛の効果

「じゃあ、そろそろ塔の最上階へと行きましょうか…dha…」
 なんとか立ち直ったジーンは力無くそう言った。まだその顔色は青ゴーヤ白い。
「ジーン様はもう鍵を見つけられたのですか?」
「え?ええ、先ほど拾いました」
 そう言って彼は、銀の鍵を取り出してみせた。
「……………」
「まぁさすがに金は見つかりませアントシアニンんよ。でも思ったよりすぐに見つかって良かったです」
「すぐに」
「ええ、入り口の近くに落ちてまして……」
 にこにこと悪気なく笑うジーン。ミモザは無言で自分のハンカチを取り出すとそこに包んでいた大量の銅の鍵をザーっと地面へとばら撒いた。
「えっ、ミモザさん、随分と大量に……」
 言いかけて気づいたのか彼はそこで言葉を止めた。
「えっと」
「すぐに見つかったんですか」
「え、亜鉛 サプリ おすすめえーと、どうだったかな」
「入り口の近くで」
「もしかしたら結構込み入ったところにあったかも」
 誤魔化すジーンに、ミモザはにこりと笑いかけた。
「ジーン様、いつ塔にいらしたんですか?」
「えっと、10分、いや15分前かな」
「そうですか、僕は朝の5時頃からいます」
「…………」
「今、何時でしたっけね……」
「え、えーと」
 気まずそうにジーンは言った。
「そろそろ昼食時ですね……」
「ふっ」
 ふっふっふっ、とミモザは笑う。声は笑っているがその表情は半泣きだ。
「ミモザさん……」
マカ サプリ 痛ましいものを見る目でジーンはそっと、ミモザの背中に手を添えた。
「大丈夫です。現実をしっかり受け止めましょう。怖くないですよ」
「うわーん!!」
 ミモザは再び地に伏した。ジーンは先ほどのミモザのように無言でその背中を慰めるように撫でた。

「行きましょうか……」
「はい……」
 2人してしょんぼりと肩を落として歩く。階段を登ってすぐにその扉はあった。
 鍵をさす。回す。
 かちゃり、と小さな音を立ててその扉は開いた。本来なら初めての塔の攻略に感慨深くなるのかもしれないイベントを2人は無感情に淡々とこなした。
 感動するには2人とも心が疲弊しすぎていた。
 扉の向こうには暗闇が広がり、そこには一つだけ光が浮かんでいた。それはゆっくりとこちらマカ サプリへ近づくと右手の甲へと吸い込まれるように消えた。そこには花のような紋様が現れ、その花弁の内の一枚が銅色に染まった。それ以外の残り6枚の花弁は肌色のままである。
「塔の攻略の証ですね」
 そう言うジーンの手の甲には銀色の花弁が輝いていた。
 それを見てミモザはちっ、と舌打ちをする。
(そうだ、試しに……)
 第一の塔で得られる祝福、『観察』を使用してみる。使うことを意識してジーンのことを見てみると、そこにはゲーム画面で見るような表示が現れた。
『Lv強い MP多い HPまぁまぁ』
「………クソゲーめ」
 ミモザ、ハードモード確定の瞬間であった。

「では、僕はこれで」
 塔から出たところでジーンはそう言って小さく手を振って見せた。
「王都はこっちですよ?」
 来た道を指差して見せるがジーンは首を横に振る。
「先生に念のため塔の周辺を見て回るように言われているんですクロムの効能。野良精霊の異常が塔の周辺で起きると大変ですからね」
 ジーンは明言しなかったがおそらくその『大変』の中には塔の試練を受けに来て被害者が出ると被害者遺族の会との関係がまた悪化しかねないことも含まれているのだろう。
 そういうことならとミモザも同行しようか迷ったが、ステラと鉢合わせしてしまう危険性を考えるとそれははばかられて結局見送ることにした。
 ただでさえ銀の鍵が見つからなかったせいで予定が押しているのだ。当初の予定通りにいっていればとっくに帰っている時間である。
 ジーンが塔の奥にある森へ立ち去っていくのを見送って、ミモザもさて帰るかと振り返ろうとしたところで、
「あら、ミモザ?」
 嫌な声がした。見たくはなかったが見ないわけにもいかないのでゆっくりと振り返る。
 風に靡くハニーブロンドの髪、星を孕んだサファイアの瞳、透き通った肌に淡いピンクの艶やかな唇。
 にこりと笑って、彼女は言った。
「奇遇ねぇ、こんなところで会うなんて」
「お姉ちゃん……」
 そばにはアベルを伴って、ステラがそこには立っていた。
「あら?」
 何かに気づいたようにステラは目を見サプリメント マカ張り、そしてそれを見てふふっ、と嬉しそうに笑う。
「ミモザ、もう塔に行ったのね」
 ミモザの右手を見たのだろう。そこにある紋様は塔を攻略した証だ。
「銅だったの?残念だったわね。でも大丈夫よ、ミモザ」
 彼女は微笑んで、慰めるように続ける。
「次の塔ではきっと銀が取れるわ」
「……うん。そうだといいね」
 ゲームではミモザは銅しか取れない定めであった。次も銅の可能性が高い。
 対してステラはあえてハードモードを選択しなければ銀以上は確実だろう。
(不公平だなぁ)
 はぁ、とため息をつく。
 卒業試合以降ステラときちんと顔を合わせたのはこれで2回目だ。1回目は試合後の夕食だ。その時はさすがにステラも無言で非常に気まずかったが、今の様子を見るにどうやら立ち直ったらしい。
 まぁたった一度の負けでへこたれる人間ではないだろうとは思っていたが、それにしてもご機嫌である。
「……何かいいことあったの?」
「わかる?」
 うふふ、とステラは笑うと「ジャーン」と可愛らしいお花柄の巾着袋を取り出して見せた。
「これなーんだ!」
 そう言いながら巾着袋を開けてその中身を手のひらに広げて見せた。
 じゃらじゃらと流れ出てきたそれは大量の魔導石であった。
亜鉛 サプリ おすすめポリ ペプチド亜鉛 サプリマカ サプリ

「な、なんで」 マカ サプリ

「な、なんで」
 ミモザは思わポリ ペプチドず後退る。
「なんでもよ!」
「ステゴーヤラ、いいから……」
 アベルが止めようとステラの肩に手をかける。
(そうだ!止めろ!お前の責任で止めろ!)
 ミモザは心でエールを送った。しかし、
「ミモザ!」
 ステラはその手を払いのけた。そのままミモマカ サプリザに詰め寄る。
「このままなんていけないわ。許されないまま、許さないままなんて絶対によくない」
(いや、それ決めるのお姉ちゃんじゃないし)
 と、内心で思いつつ姉の迫力に負けて言い出せないミモザである。
 結局ミモザが言えたのは「い、い、いやだ」という弱々しい言葉だけだった。
「ミモザ」
「いやだ」
「ねぇ、お願いよ」
「いやだぁ」
「ミモザだってお友達が減っちゃうのは嫌でしょ?」
「いやだぁ」
 あ、しまった、と思ったdha epa dha時にはもう遅かった。恐る恐る姉を見ると、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
「そうよね!わかってくれるわよね!ミモザ!」
「いや、ちがっ、そうじゃなくて!」
「約束よ!わたしが勝ったら仲直り!」
 そう言ってミモザの両手を取りステラはぶんぶんと振り回すと、教師から集合の合図がかかったことに気づいてそちらへと行ってしまった。
「い、いやだぁ…」
 ぽつんと1人たたずんで、ミモザはぽつりとつぶやいた。
 そしてちょっと泣いた。
 ミモザにとって別の意味で負けられない戦いが始まった瞬間だった。

 学校生活がうんぬdha epaん、これからの人生がかんぬん。
 校長が何か長い話をしている。それをぼんやりと眺めていると、やっと話が終わったのか壇上から降りていった。
「生徒代表」
 アナウンスに答えて「はい!」と元気よく返事をしたのは、当たり前のようにステラだった。
「宣誓!」
 そのまま選手宣誓を始めるのをぼんやりと眺める。これから始めるのはそれなりに暴力的な行為のはずなのに、それは随分と牧歌的な光景であった。
 定型文のそれはすぐに終わる。ステラの美しいハニーブロンドが青空によく映えた。くるりと身を翻して壇上から降りるその姿はすらりと背筋を伸ばし、自信に満ち溢れている。
 ぶるり、とミモザは身震いをした。
 段々と、ゲームの本編が始まったのだという事実に実感がともなってきたのだ。
 ステラの姿、選手宣誓の言葉、あらマカ と はゆるところに既視感が溢れている。
 どきどきと心臓が脈打つ音が聞こえる。じっとりと汗が滲み出てきていた。教師の指示に従い、試合のための場所へと移動する。
 田舎の村の生徒の数などたかが知れていた。そのため試合のためのコートは2つしかない。ただ校庭に長方形に縄で印がつけられただけの場所だ。
 そのうちの一つへと案内されて立った。目の前に対峙するのは当然、ステラだ。
 彼女の美しいサファイアの瞳が、情熱に燃えて凛とこちらを見据えていた。
「用意を」
 審判役の教師に促され、お互いに守護精霊を武器の姿へと変える。
 ミモザのチロはメイスへと。
 そしてステラのティアラは美しいレイピアへと姿を変えた。
 ぞくぞくと、身が震える。ゲームの姿通りの彼女が目の前にいる。
 ステラの目に不安はない。いつだってそうだった。彼女は自信に溢れ、自身の存在価値を疑わない。
(僕なんかに負けないって思ってるんでしょ)
 ステラがレイピアを正面に構える。ミモザもメイスをゴーヤ構えた。
(だからあんな賭けを持ち出したんでしょ?)
 勝つと信じているから、軽々しく『賭け』を持ち出せる。
(そういえば……)
 ミモザが勝った時の対価を決めていなかったな、と思う。ミモザもだが、それくらい自然に彼女は自分の勝ちを確信しているのだ。
「お姉ちゃん、僕が勝ったら何をしてくれるの?」
 そう尋ねると、彼女は驚いた顔をした。
「あら、そういえばそうね。……うーん、じゃあ、わたしにできることならなんでも」
 本当に軽々しいな、とミモザは思う。しかし別にそれでいい。今は、
(せいぜい油断すればいい)
「その言葉、忘れないでね」
「もちろんよ、ミモザ」
 彼女は余裕の表情で微笑んだ。
「両者、準備はいいか?」
 2人は同時に頷く。その姿は鏡写しのように瓜二つなのにその表情は正反対だ。
 1人は微笑んで、
 そしてもう1人は無表情だった。
「試合時間は20分。決着がつかなかった場合は仕切り直しとする。それでは、用意……、始め!」
 戦いの火蓋は切られた。
 その言葉と同時に、まず動いたのはステラだった。彼女がレイピアをまるでステッキのように振ると、そこから氷の破片亜鉛が次々と放たれた。それをミモザは走って避ける。
(学校の履修程度でこの威力かよ!)
 地面に突き刺さった破片はそのまま周囲を凍らせる。あっという間にコートの1/3は氷に包まれてしまった。あまり放っておくと足を取られる可能性が高いため、できる限りでメイスを振るい氷を破壊する。
 レベルは3年間修練を積んだミモザのほうが高いはずだ。しかし現時点でMP量も魔法の威力もステラの方が上回っている。
 ステラの弾幕のように放たれ続ける氷を避けながら、ミモザは棘を伸ばして反撃を仕掛けた。しかしそれはあっさりとかわされる。当たり前だ。ミモザの棘は直線でしか攻撃できないため、長距離を取られると軌道が読みやすい。その上コート上では遮蔽物も何もないのだ。複数の棘を伸ばしたところでその数はたかが知れているし、起点が同じ以上あまり数の利点はない。
 そして今回は試合なので時間制限がある。消耗戦は狙えない。
 本当に不公平だと思う。ステラのその才能の半分でもあれば、ミモザはきっと救われたのだろう。
 だってステラはまだ、持っている属性攻撃のうち一つしか出していないのだ。
 ステラの持つ属性は二つ。それは最初から目覚めている。一つは氷、そしてもう一つはーー、
「ミモザ」
 その時ステラが口を開いた。その唇は褒めるように慈悲深い微笑みをたたえている。
亜鉛 サプリ戦うのがとっても上手になったのね。お姉ちゃんは嬉しいわ」
「何をーー」
「だからね、ミモザ」
 彼女は慈悲深い微笑みのまま、レイピアを天高くに掲げてみせた。
「わたしのとっておき、見せてあげるね」
 その手が振り下ろされる。それはミモザには首を切るギロチンを想像させた。
 彼女のもう一つの属性攻撃、光だ。
アントシアニンの効果dha epa dhaアントシアニンの効果

 第4の塔の中身dha epa

 第4の塔の中身は見渡す限りの草原ゴーヤだっゴーヤた。ところどころに沼地があるものの遮蔽物が何もないだだっ広い空間の真ん中で、彼らは身を寄せ合って座っていた。それぞれめいめいに『試練の塔閉鎖!』や『これ以上の犠牲者を増やすな!』と書かれた看板やのぼりを手に掲げている。
(どうしたものか)
アントシアニンの効果 その集団の中にあって、マシューは頭を悩ませていた。このような事態はまるっきり彼の想定にはなかったからだ。
 彼の若草色の髪が風に流れる。深い森のような緑の瞳は冷静に周囲を見回した。そばかすと丸顔のせいで若く見られるがマシューは15歳の成人済みの青年である。この中では若造の部類に入るが事情もよくわからず連れてこられた子ども達よりは大人だ。こうなってしまった以上、マシューには子ども達を守る責任がある。
亜鉛 サプリ塔の開放はんたーい!安全のために閉鎖しろー!」
 その時1人の老人が声を張り上げた。何が楽しいのかその顔には満面の笑みを浮かべている。
 思わず舌打ちをする。
(あいつさえいなければ……)
 あの男、ロランが今回の立てこもりの首謀者だ。マシューは反対したが、先日の失策のせいで聞き入れられなかった。だとしてもこのような強行策をみんなが支持するとは、マシューが思っているよりも改革がうまくいかないフラストレーションが溜まっていたらしい。
 マシューの推測ではあの老人はおそらく保護研究会の過激派だ。そうでなければ今回の行動を推し進める説明がつかない。この立てこもり行為dha epa dhaはあまりにも割が合わなさすぎる。利益を出すためには、そう、例えばここで人が死ねば人々の非難は教会に向くかも知れなかった。彼はマシュー達被害者遺族の会を捨て駒にするつもりなのだ。
(くそっ、どうしたら)
 しかし今それを仲間に伝えたところで通じないだろう。そもそもこの作戦の無益さはとうに訴えた後である。マシューには先導者やリーダーとしての才がない。あくまで裏方で策を練るのみで人の上に立つことが難しいのだ。
(だからこそ、彼女に)
 ちらり、と人の輪の中心部を見る。そこにはジェーンが背筋を伸ばして座っていた。
(彼女には人を惹きつける力がある)
 マシューにはないものだ。マシューはジェーンにリーダーになって欲しかった。
 マシューは自身の守護精霊である白い毛をしゴーヤた子猿、キースを見た。
(いざとなったら俺が盾になる。みんなを生きて返す)
できることならそんな事態は考えたくもなかった。
 
 一体何時間が経っただろう。あらかじめ用意していた水筒の水は尽きてしまった。それまでは何もいなかった草原にはちらほらと馬型の野良精霊の姿が見え始めていた。彼らはまだこちらの様子を伺っているが、襲って来るのは時間の問題だろう。最初は威勢の良かった仲間達も、その数が20を超えたあたりで恐怖のほうが勝ってきてしまっている。
「お、お兄ちゃんっ」
「大丈夫。大丈夫だからな。俺のそばを離れるなよ」
 子ども達がしがみついてくるのを抱き返す。
「なーにをびびっとる!これはぁ!我々の家族のため!これ以上の犠牲者を出さないための勇気ある行動である!!」
 元気なのはロランだけだ。
「おい、大声を出すなっ、下手に刺激をしたら……」
 襲って来るぞ、と言い切る前に、馬のいななく声がした。
「き、キース!」
 マシューの声に反応してキースは防御形態の盾となりその突進アントシアニンの効果を防ぐ。しかし相手は一頭だけではないのだ。次々と襲いくる野良精霊に、キースは防戦一方だ。
「み、みんな!早く!今のうちに避難を!!もういいだろう!」
「で、でも……」
 迷うように、けれど挑むこともできずに立ちすくむ仲間に、マシューは怒鳴る。
「もう充分に抗議の姿勢は見せた!これで俺たちが本気だと教会にも国にも伝わっただろう!成果はあげた!撤退だ!」
 その必死の叫びにはっとした顔になり移動を始めたところで、
「ならぬ!!」
 ロランが立ち塞がった。白髪を振り乱し、手には槍を持っている。
「我らが同胞よ!まさか臆病風に吹かれて逃げる気ではあるまいな!そんなことでどうする!家族は!大切な家族を二度も見捨てる気か!!」
 その一喝に立ちすくむ。ロランはここから先は一歩も通さんという態度で仁王立ちをしていた。
「……っ!逃げろ!」
 その時キースの盾をすり抜けた1匹がジェーンの下へと向かった。彼女は驚いたように身を引き、しかしそれ以上は動けずに、
「ジェーンさん!」
「これは大いなる一歩である!!」
 マシューの叫びとロランの高笑が重なった。
 ーーと、がこん、と妙な鈍い音がした。
 呆然と見つめるマシューの目亜鉛 の サプリの前で、その馬の首は跳ね飛ばされた。
 血飛沫が舞う。そんな悪夢のような光景の中で、場違いに美しい少女が立っていた。
「どうやら間に合ったみたいですね」
 涼やかな声がする。金色の髪が風になびき、その深海のような瞳がマシューのことを見た。
「すみません、遅くなりました」
 まるで待ち合わせに遅れた報告のように、呼ばれていないはずの彼女はそう言った。
 そこで初めてマシューは彼女の持つ巨大なメイスが馬の首をへし折ったのだと理解した。
クロムの効能クロムマカ と は

「試練の塔被害者亜鉛 の サプリ

「試練の塔被害者遺族の会?」
 マカその単語にクロムの効能ミモザは首をひねった。
「ええ、聞いたことない?」
「えっと、確か、言葉の通り試練の塔でご家族をなくした方々の集いですよね?」
 新聞などで見たこ亜鉛 の サプリとのあるなけなしの知識をなんとか引っ張り出す。それにレオンハルトは顔をしかめた。
「言葉の通りではない」
「え?」
「被害者などは存在しない。試練の塔への挑戦は本人の意思であり自己責任だ。挑んだ結果命を落としたとしても彼らは決して被害者などではない。自身の力を試し未来を切り開くために挑んだ者をしくじったからと言って『被害者』などと呼ぶのは彼らに対する冒涜だ」
「けどまぁ、残されたご家族としてはそれじゃゴーヤあ納得できないのよねぇ」
 フレイヤは困ったようなポーズを取った。
「彼らはこれ以上犠牲者を出さないために試練の塔は閉鎖するべきだと主張しているの。国としては優秀な精霊騎士を輩出する機関として試練の塔の運用は必要だと考えているし、国民達もそこにいる聖騎士様の人気のおかげでその意見に賛同する人はまずいない。保護研究会を除いてね」
「ええと…」
 新たに追加された名前にミモザは戸惑う。そんな弟子のていたらくにレオンハルトは盛大なため息をついた。
「保護研究会は試練の塔の保存を目的としている集団だ。学術的な観点での保存をしたい人間や単純に女dha epa神の作った物を踏み荒らす行為は認められないと言う人間などが所属している組織だ。まぁ、こっちは過激派以外は放っておいて構わない」
「過激派」
「主張を通すためにテロを行う奴もいる」
 なんともぞっとしない話だ。
「どうして放っておいてもいいんですか?」
 テロ行為を行わないにしても試練の塔に人が入らないようにしたいと思っている団体なのだ。ミモザには騎士団とは敵対しているように思える。
「影響力が少ないからだ。だいたいの人間にとって彼らの主張はメリットがないし関わりのない主張だ。つまり共感できない」
 確かに研究のために保護したいとか、信仰上の理由で保護したいと言われてもいまいちピンとこない。なんというか極端なことを言うものだと思ってしまう。
「けど被害者遺族の会は厄介なのよ」
「厄介?」亜鉛 サプリ おすすめ
 フレイヤは頷いた。
「ご身内が亡くなられたから他の被害者が出ないように立ち入りを禁止したいって言われたら、大抵の人は反論が難しいんじゃないかしら?」
「まぁ、要するに心情に訴えてくるんだな。同情する人間も多い」
 ガブリエルが続きを引き取った。フレイヤはそれが不愉快なのかガブリエルを睨む。
 なるほど、とミモザは頷いた。確かにそれは厄介だ。
「彼らの主張はあまりにも極端過ぎる。試練に挑んだ者が亡くなったから試練の塔を封鎖するというのは、自らの意志で騎士になった者が殉職したからといって騎士団そのものを廃止しようと言うのと変わらない。こちらだって無駄死にさせたいわけじゃない。だから試練の塔にはセーフティとして年齢制限やレベルの制限を設けて資格のないものは入れないように規制しているんだ」
 憤懣やるかたないといった様子でレオンハルトは話す。
「そもそも試練の塔は国防に携わる人間の育成に貢献している。ポリ ペプチドそのおかげで才能のある人間が貴賤を問わず出世できるシステムが実現しているんだ。それに観光資源にもなっているし塔への入場料を利用して保全や管理を行っている。塔への出入りを禁止すれば莫大な資金源の喪失と経済活動の停滞、失業者と収入格差を生むことになる」
 それこそ貧困状態から試練の塔を利用し聖騎士まで登りつめた実例の男はそこまで言って嘆息した。
 彼がここまで饒舌なのは珍しい。
「百害あって一利なしってことですか」
「その通りだ」
「でも理屈じゃなく感情でそれが受け入れられないのもまた人間ってね」 
 ガブリエルは手をひらひらと振る。
「で?そんな今更な話をしにきたわけじゃないんだろ?」
「もちろん」
 フレイヤは懐から紙を取り出した。
「最近彼らの勢いがすごいのは知ってると思うんだけどこういうコラムがこれから出る予定でね」
 彼女達はオルタンシア、ガブリエル、レオンハルトそれぞれにその紙を渡した。3人ともその内容に目を通して難しい顔を作る。
「これは……」
「知り合いの記者に写しをもらったの。これが世に出るのは明後日」
「差し止めは、難しいだろうなぁ」
「ええ、書いた本人が希望するならともかく、わたくクロムし達には無理でしょう」
 ミモザがレオンハルトの袖をちょいちょいと引くと彼はその紙を見せてくれた。
 そこに書かれた内容は1人の娘を失った母親の悲痛な叫びだ。その文章はとても洗練されていて感情が伝わりやすく、ミモザですら読んでいて涙が滲み出そうだった。
「勢いが加速するかも知れないわ」
 フレイヤは言った。
「ただの杞憂ならば良いのだけど、念のため対応を統一しておきたいのよ。手元にあるのはこれだけなんだけど、連続企画のようなのよね。これの仕掛け人はとても教養があって裕福な方みたい。やり方によっては嵐が起こせるわ」
「なるほど、お話はよくわかりました」
 オルタンシアは細い目をさらに細めて頷いた。
「正直できることは微々たることですが、彼らの心情を思うとこれ以上傷ついて欲しくはありません。誠意ある対応をしていきましょう」
 この言葉を意訳するならば「被害者遺族の会を刺激しないように、うまいことうやむやにできる対応を考えましょう」と言ったところだろうか。
 フレイヤは「さすがはオルタンシア様、話が早くて助かります」とにっこり笑った。

 ミモザにとっては苦痛な小難しい話が終わりぐったりと部屋から回廊へと出る。
(疲れた……)
 ミモザは会議に参加せず話を聞いていただけだがそれでも精神力がごりごりと削られるやりとりであクロムの効能った。
 さっさと立ち去るレオンハルトの背についていこうと足を踏み出したところで
「ミモザさん」
 呼び止められて振り向く。声の主は爽やか少年ことジーンであった。
 彼はミモザの不思議そうな視線ににっこりと笑うことで答える。
「今日はありがとうございました。貴方のような美しい方に出会えてとても貴重な時間を過ごすことができました」
「はぁ……」
 彼が一体何を言いたいかがわからずミモザは戸惑う。それに彼は苦笑した。
「まいったなぁ、慣れないことはするもんじゃないですね。一応これ、口説いてるんですけど」
 うん?のミモザは首をひねる。『口説く』という単語の意味がミモザの中で急に行方不明になった。彼は少し困ったように頭をかく。
「そうですね、貴方にはこう言った方がいいかな。また今度時間があるときにでも、よければ手合わせを」
「……えーと、嫌です」
 視線を泳がせてミモザなんとかそれだけを返す。非常に気まずい沈黙がその場に落ちた。
「な、なんでですか?」
「ええと、たぶん僕、勝てないので」
「やって見ないとわからないじゃないですか!」
「うーん、だって、手合わせって試合ってことですよね」
 ミモザは考え考え言葉を話す。
「え、は、はぁ」
 彼は戸惑っている。ミモザは困ったように続けた。
「殺し合いじゃないと、勝機がないです」
「………」
「どーいう教育してんだ、お前」
 2人の会話に見かねたガブリエルがレオンハルトをこづく。それにレオンハルトは鼻を鳴らした。
「非常に適切な教育をしているとも」
 そのまま褒めるようにミモザの頭を撫でるクロムの効能
「勝ち目のない戦はするなと教えている」
「試合は勝てねえのに殺し合いは勝てるって?」
「少しでも勝率を上げるのに有効なのは相手を自分の得意な土俵に引き摺り込むことだ。公正なルールのある試合では、それは難しいと判断したんだろう。とても適切な判断だ」
「ねぇ貴方、やっぱりわたくしの弟子にならない?この際この男以外ならそこにいるおじさんでもいいと思うの」
「えーと」
 真剣な表情で親身に諭されて、ミモザは我が身の境遇がそんなにヤバいのかとちょっと悩んだ。
亜鉛 の サプリ亜鉛クロム亜鉛 サプリ おすすめ

 さて、第アントシアニンの効果

 さて、第一王子アズレン・アルタイル・アゼリアはステラの攻略対象のうちの1人である。
dha epa dha ただし、『バッドエンドの扱いの』という注釈がつく。
 こゴーヤ チャンプルーれには三つ理由がある。
 一つ目はこのアズレン王子が『誰も攻略できなかった際に救済措置』として結ばれる相手だからである。実はこのアズレン王子、ゲーム中に仲を深めるようなイベントは存在せず、お話の中亜鉛 サプリにちょこちょこ登場する脇キャラである。通常の乙女ゲームでは条件を満たせず誰も攻略できなかった場合は誰とも結ばれないエンドが存在したりするが、このゲームではその際にお情けとしてこのアズレン王子と結ばれるのだ。つまり何もせずにだらだらしていると結ばれるお相手ということである。
 二つ目はこのアズレン王子、婚約者がいてそのお相手が正妃に内定している。ゴーヤつまりステラは側妃として迎えられるのである。これは両思いを目指すプレイヤーとしては気に入らないだろう。
 そして三つ目、これはーー
 音楽とともに2人の人物が入場してきた。1人は細身の女性である。紫がかった銀髪を緩やかに結い上げ深い翡翠色の垂れ目をした、たおやかな女性である。彼女は群青色の美しいドレスを身に纏い、物静かな風情で立っていた。
 そしてその隣には金髪碧眼のマッチョがいた。
「ふんっ!」
 おもむろにそのマッチョがマッスルポーズを取ると胸元のボタンがブチィッと音を立てて弾け飛ぶ。見事な大胸アントシアニン筋が露出した。
 健康的に日焼けした肌は何かのオイルを塗っているのかテカテカしている。
「皆の衆、本日はよくぞ集まってくれた!」
 マッチョは別のマッスルポーズへと姿勢を変えた。
「今日ここで!私はエスメラルダを婚約者とすることを皆に誓おう!!」
 その満面の笑みを浮かべる口で、白い歯がきらりと光る。
 しばらく会場のみんなは沈黙した。その後我に返ると自分達の役割を思い出し、盛大な拍手をした。
「ありがとう、ありがとう」
 にこにことマッチョこと、アズレン王子が手を振る。
 ーーこれが三つ目の理由。王子は筋肉キャラだった。
 今日って王子の婚約披露宴だったのか、とミモザはやっと状況を理解した。

 ホールには穏やかな音楽が流れていた。皆それぞれ歓談したり、食事亜鉛 サプリ おすすめや飲み物を口に運んだりとその場の空気を楽しんでいる。
 王子達へと挨拶は一組ずつ呼ばれて行うらしく、ガブリエルは「呼ばれたから行くわ」とオルタンシア教皇が呼ばれたタイミングでいなくなってしまった。
 ぼんやりと眺めているとこちらに駆け寄ってきた若い使用人が「次です」と囁いて王子の元へと先導するように歩き始めた。
 当たり前のようにレオンハルトが腕を差し出すので若干「僕も行くのか……」と内心思いつつその腕に手を添えてミモザも歩いて着いていく。
 隣を歩くその顔を横目でちらりと見上げると、一応その表情は穏やかな笑みを浮かべていたが、目が死んでいた。
(……苦手なんだろうなぁ)
 その表情を見て悟る。基本的にはローテンションな人だ。あのようにハイテンションな人は不得手なのだろう。ちなみにミモザは人付き合い全体が不得手だが、ハイテンションな人は嫌いではない。
 というよりはあの立派な筋肉が気になる。
(どうやってあそこまで育てたんだろう……)
 ぜひ教えても亜鉛らいたいものだ、と思うがそんな不敬は許されないだろう。
「おお!よく来たな!レオンハルト!!」
 あれこれと考えていると、まだその目前まで辿り着いていないのに馬鹿でかい声が鼓膜を叩いた。
「お前の顔が見れて私は嬉しいぞ!!」
「……俺もです。殿下」
 距離にして5mはありそうな遠くから叫ばれてレオンハルトは一瞬嫌そうにしながらもすぐに笑みを取り繕い、足早にその目の前へと馳せ参じる。
 そのまま騎士の礼を取るのに、ミモザも慌てて真似しようとして思いとどまった。
(危ないっ)
 今はドレスを着ているのだと思い出し、すんでのところで淑女らしくカーテシーをして見せた。
 レオンハルトの付けてくれた教師は淑女としての作法も色々と教えてくれたが、所詮は付け焼き刃、油断するとうっかり忘れてしまう。
 こっそり冷や汗をかいていると「おお!」と頭上から歓声が聞こえた。
「それが噂の弟子か!!くるしゅうない!面をあげよ!!」
「はっ」
 レオンハルトが顔を上げるのに合わせてミモザも上げる。目の前で見る筋肉の塊はなかなかに迫力があった。身長こそレオンハルトの方が高いものの、筋骨隆々と盛り上がったその体躯はその肉感ゆえに圧迫感がす亜鉛 サプリ おすすめごい。心なしか彼の周辺だけ温度が2、3度高い気もする。
 思わずまじまじと見つめてしまうミモザに、彼はその無礼を咎めることなくにこりと笑った。
「私に何か気になるところがあるか?」
「筋肉が……」
「うん?」
「とても美しいと思いまして」
 彼はぽかんとした後、弾けるように笑い声を上げた。
「そうか!!そういった感想はなかなか稀だ!」
「殿下、笑いすぎです」
 側で控えていたスキンヘッドにサンタひげをした男性が静かに首を横に振って言う。彼は宰相のオーティスだと先ほどガブリエルが教えてくれていた。その淡い水色の瞳は呆れている。
「名は何と言う」
 宰相を無視して続けられた言葉にミモザは慌てる。そういえば名乗るのもまだであった。
「失礼致しました。レオンハルト様の弟子のミモザと申します」
「うむ!ミモザか!!先ほどはなかなかの余興であった!!」
「は?余興……?」
 溌剌とよくわからないことを褒めるアズレンに、レオンハルトは渋い表情で「やはりあれは殿下の差し金でしたか」と告げた。
「あれ?」
「先ほど君のことを睨んでいる女性がいただろう」
 レオンハルトの言葉にああ、と思い出す。確かに2人ほど目についた。彼女達がアイリーンとセレーナという名の伯爵令嬢なのだと、やはりガブリエルが教えてくれたのは記憶に新しい。
「あの2人亜鉛 サプリ おすすめは犬猿の仲で有名でな。余程のことがない限りは2人そろって同じパーティーに呼ばれることはない。わざと呼んだんだ、ここにいるアズレン殿下が」
 思わずアズレン殿下の顔を見ると彼はにやりと笑った。
「あの2人はレオンハルトを取り合っていつも派手な喧嘩を繰り広げているのだ」
 その言葉にミモザはレオンハルトの顔を見る。彼は眉間に皺を寄せたまま黙っている。
「悪趣味ですよ、殿下」
 代わりに宰相がぼそりと苦言を呈した。
「いやぁ、見事な流れであった!2人の喧嘩からのミモザ嬢の登場!!まるでよく出来た喜劇だ!いやいやあそこまで真に迫った表情は劇場では見られんな!」
「殿下」
 咎める宰相に王子は「いいではないか!」と呵呵と笑った。
「我々王族は国民を守るための防衛システムのようなものだが、多少臣下をからかうくらいは許してもらわねばな!政務をする気もなくなるというものだ!!」
「不謹慎です」
 宰相は渋面だ。
「いやしかしミモザ嬢。貴方もなかなか良い筋肉だ。普段はどのようなトレーニングを?」
 気まぐれな気性の持ち主なのか、彼は唐突に話題を変えた。見事なマッスルボディの持ち主にふいに筋肉を褒められて、ミモザは思わずぱっと頬に朱を散らす。
「え、えっと、殿下のトレーニングには敵わないかと思われますが、一応筋トレは一通り……」
 もじもじと告げる。
「なるほど、いやしかし実用的な筋肉だ。トレーニングだけではあるまい」
「えっと、そのう、鈍器を少々振り回す程度でしょうか」
「鈍器!素晴らしい!私はよくバトルアックスを振り回しマカ サプリているぞ!!」
「素敵です」
 ミモザは大真面目に頷いた。2人の間には筋肉をとおして通じ合う、信頼に似たなんらかの感情が生まれつつあった。
「のう」
 しかし思わず握手をしかけた2人の間にずずい、と割り込む声がする。そちらを見ると婚約者であるエスメラルダがミモザをじっとりと睨んでいた。
「のう、そち、今のは聞き間違いかの」
 彼女はゆっくりと数歩前に出ると威圧するようにミモザに顔を近づける。
「わらわの勘違いでなければ、今そなたはわらわの将来の夫をたぶらかしたかの?」
 氷のような視線である。ミモザは震え上がった。
「め、めっそうもないです!」
「ほう?ではどういうつもりじゃ」
「そ、その、素晴らしい筋肉の持ち主なので、憧れと申しますか……」
 その返答に彼女はその整った眉根を寄せた。
「むぅ、まさかこのような変態筋肉だるまに興味のあるおなごがおるとは……、盲点じゃった」
「今変態筋肉だるまって言いました?」
 宰相が尋ねるがそれは無視された。
「まさかそなた、我が将来の夫が好みだなどと申すまいな」
 ミモザはぶんぶんと首を横に振る。しかし彼女は納得できないらしい。そのままぐいぐいとミモザに詰め寄る。
「では、どのようなおのこが好みじゃ。もうしてみぃ!」
「え、えーと、」
 ぐるぐると思考が空転する。結果、一番最初にに思い浮かんだ相手は、
「れ、レオン様です!」
 だった。
 エスメラルダはむぅ、と唸ると「我が将来の夫とはまるで違うようじゃな」と頷いた。
「ではまぁ、許してやろう」
「あ、ありがとうございます」
「しかしゆめゆめ忘れるでないぞ。我が将来の夫に手を出してみよ」
 彼女は夫の隣へとゆっくり戻るとミモザを見下ろして胸を張った。
「そなたのことは、ほっぺたポリ ペプチドをぐりぐりする刑に処す」
「は、はぁ」
 思ったより可愛らしい刑だ。
「焼けた鉄での」
「絶対に手を出しません!!」
 前言撤回、えげつない刑だった。
「はっはっはっ!すまんな、ミモザ嬢。我が将来の妻は少々嫉妬深いのだ!!」
 すすす、と彼女は殿下に近づくとそのまま彼の肩へとしなだれかかった。
「そなたがわらわにつれないのが悪いのではないか」
 その顔は恋する乙女そのものだ。
「よしよし!可愛いやつめ!はっはっはっ!」
 快活にそう言い放った後、アズレンは面白がるようにミモザとレオンハルトを見てにやりと笑った。
「しかしまぁ、おかげでめずらしい奴の面白い顔が見れた。感謝するぞ、ミモザ嬢」
「面白い顔?」
 首を傾げるミモザの横で、最初に話して以降はずっと無言で佇んでいたレオンハルトは誤魔化すように咳払いをした。
亜鉛 の サプリゴーヤゴーヤdha epa

「打ち合わせ亜鉛

「打ち合わせをしよう」と彼は言った。
「打ち合わせ」
「君の母親にとって俺は憎いいじゴーヤめっ子の義兄、つまりは敵だ」
「なるほど」
 つまり話がスムーズに進dha epaむように作戦を練ろうということだ。ミモザとしてもレオンハルトが責を負うのは本意ではないため頷いた。
「まずはレオン様が敵ではないということを説明するところからですね」
「そうだな。あともう一つ、実は提案があってね。そっアントシアニンの効果ちの方も一緒に許可を得たい」
「提案?」
 首を傾げるミモザのことを真っ直ぐに見下ろして、レオンハルトは尋ねた。
「君、王都に来ないか?」
 ミモザはぱかん、と口を開けた。

「この度は、誠に申し訳ありませんでした」
 レオンハルトは深々と頭を下げた。ミレイはそれを険しい顔で見下ろしている。
 場所は家の玄関だった。突然の訪問に驚いたミレイは、すぐにミモザの顔の傷に気づいて顔をし亜鉛の効果かめた。そしてレオンハルトの説明を聞くにつれどんどんとその表情は固くなり、それはレオンハルトの謝罪を聞いてもやわらぐことはない。
 英雄の登場に最初は喜んで近づいて来ようとしたステラも、事情が事情だけにミレイに下がっていろと言われて家の中で大人しくしている。しかし好奇心が抑えられないのか少し離れた位置からこちらをちらりちらりと覗いて聞き耳を立てているようだった。
「レオンハルトさん」
 ミレイは重い口を開く。
「アベルくんは直接謝罪には来ないんですか?」
「もっともな疑問です。しかし今アベルは謝罪に来れる状態ではありませんので代わりに俺が…」
「どういうことでマカ と はす?」
「反省していません」 
 そのあっさりと告げられた言葉に息を呑むと、ミレイは一層表情を厳しくした。
「それはどういうことですか!」
「ま、ママ!」
 慌ててミモザは仲裁に入る。
「レオン様は悪くないよ。そんなに責めないで。僕のことをアベル達から助けてくれたんだよ」
 ミモザの言葉にミレイの肩からほんの少しだが力が抜けた。それを見てミモザは畳みかける。
「元々レオン様は僕と時々遊んでくれてて、勉強とかも教えてもらってたんだ。このリボンをくれたのもレオン様」
 ミモザは首に結んだリボンを示す。ミレイが驚きに目を見張るのに、レオンハルトは「申し訳ありません」と再度頭を下げた。
「お嬢さんと勝手に関わりをもってしまって……、本当ならdhaきちんとご挨拶に伺うべきだったのですが」
「レオン様は忙しいから、ママとタイミングが合わなくて」
「どうして教えてくれなかったの?」
「信じてくれないと思って」
 何せ相手は英雄だ。その言葉には信憑性があったのかミレイは納得したようだった。
「アベルは結局謝ってくれなかったの。それをカーラさんとレオン様は重く見て、今のままうちに連れてきても上べだけの謝罪になっちゃうからって。ちゃんと反省させてから謝罪させるって言ってくれたんだよ」
「そんなこと……、どうやって」
「カウンセリングを考えています」
 レオンハルトは下げていた頭を上げて静かに告げた。
「アベルの暴力行為は素人でどうこうできるものではないと考えています。なので然るべき機関に相談をして対応しようかと。とりあえずは通院させる予定ですが、それでも治らないようなら入院させます」
 入院と聞いて、ミレイも少し怯む。しばし黙って考え込んだ後「信じていいですか」と問いかけた。
「信じていいですか。私マカ サプリたちは一度裏切られました。もう一度同じようなことは起こらないと信じていいですか」
「約束します」
 レオンハルトはしっかりと頷く。金色の瞳には誠実そうな光が瞬いていた。
「このようなことが起きないようにきちんと手を打ちますし、もし万が一があればすぐに入院させます。その件で一つご相談があるのですが」
「相談?」
「本当は、このような形で切り出すつもりはなかったのですが……」
 そこで彼は少し言いづらそうに逡巡し、そして何かを決心したかのように口を開いた。
「ミモザくんのことを、俺に預からせてもらえませんか」
「え?」
「彼女を俺の弟子として、秋休みの間王都で預かりたいのです」
「……どうして」
 ミレイの当然の疑問に同意するように一つ頷く。
「理由はいくつかあります。一つは今回の件。アベルのカウンセリングが進むまで、そしてミモザくんの気持ちが落ち着くまで、決して顔を合わせることがないようにしたいのです」
「それなら、」
 言わなくてもわかっている、というようにレオンハルトは手のひらを突き出し言葉を制する。
「弟のアベルを王都に、と思われるかも知マカ と はれませんが、アベルに反省を促すためには母であるカーラさんと共に居させた方が良いと思うのです。カーラさんはアベルに言いました。もしもミモザくんと同じ目にアベルが合わせられたらその相手のことを憎むと。アベルはその言葉を聞いて多少、自分の行いの非道さを認識した様子でした」
 その言葉にミレイはハッとしたような表情をした後考え込む。ミレイもカーラの人柄は知っているのだ。前回のいじめ騒動の時もとても誠実に対応してくれたことも。
「そして二つ目は、単純にミモザくんには精霊騎士としての才能があるからです。このまま不登校のせいで実践の指導が受けられないというのは彼女にとって損失です。しかし学校に行くのは辛いでしょう。俺の下でならアベルと会うことなく、実践的な訓練ができます」
「……。ミモザ、あなたはどうしたいの?」
「できればレオン様のところで修行したい」
 葛藤するような母の言葉に、しかしミモザは縋り付くようにそう訴えた。
 その娘のいつにない強い主張にミレイは息を呑む。苦しげに目を伏せ、「……わかりました」とか細く告げた。
 はっとミモザは顔をあげる。その期待のこもった眼差しにミレイはため息をついた。
「ただし、手紙を書くように。秋休みが終わったらうちに帰してください」
「ありがとうございます」
 レオンハルトは深々と頭を下げ、
「あサプリメント マカりがとう!ママ!」
 ミモザは手を合わせて喜んだ。
ゴーヤアントシアニンの効果ゴーヤ チャンプルー