「仕事だ、ついクロムの効能

「仕事だ、ついて来い」とマカ と は亜鉛 の サプリ簡潔に言われてほいほいついて行った先が王宮だった。
 おかしいとは思ったのだ。えらい身綺麗にされて化粧をほどこされドレスを着せられたから。
「え、なん、なんですか亜鉛の効果?」と若干怯えて尋ねるミモザにレオンハルトは真顔で言った。
「害虫退治だ」
「それってゴ……」
「その名は口にするな」
 実はゴから始まる4文字の虫が大の苦手なレオンハルトである。あれはいつのことだっただろうか。いつものようにミモザが王都に滞在した夜、屋敷に出現した例の虫の姿を見つけて、ミモザは初めて亜鉛の効果自分の師匠が逃げ出す姿を見た。ちなみにその時はミモザが退治した。
 レオンハルトはごほん、と一つ咳払いをすると、
「その虫じゃない方だ。まぁ、行けばわかる」
「はぁ」
 まぁ虫なら得意だから別にいいか、と安易に考えたのがつい先ほどの話である。

 現在ミモザは王都のレオンハルト邸で厄介になっている。これは何もミモザに限ったことではなく、塔の試練に挑むほとんどの者が王都に滞在することになるのだ。なぜかというと7つの塔は王都を取り囲むようにして存dha epa在しているため、王都に滞在するのが攻略に効率的だからだ。
 王都には塔の試練に挑む者限定の宿屋まで存在するほどである。試練に挑むことを推奨する国が支援金を出しているため、他の宿屋よりも安く泊まれたりする。もちろんいつまでも試練に挑んでいるのだといって居座られては困るため、割引は一年間のみという制限はある。ミモザも宿屋に泊まろうか迷ったのだが、レオンハルトに頼みたい仕事もあるからと誘われたのでご厚意に甘えさせてもらうことになった。
 そしてその滞在初日の仕事がこれである。
(ちょっとよくわからない)
 きょろきょろするとレオンハルトに行儀が悪いと叱られるので必死に平静を装う。しかし内心はいまだに混乱中だ。
「ええと、レオン様、虫はマカ……?」
「今追い払われたから問題ない。そのまま虫除けをしていろ」
「はぁ……」
 しれっと返された言葉は相変わらず要領を得ない。意味がわかっていないミモザに、レオンハルトは意地の悪い笑みを浮かべた。
「君の外見はいいな。虫除けにぴったりだ」
「あー……」
 そこまで言われてやっとミモザも察する。周囲をちらりと見ると若い女性陣はひそひそと何事かを話し合っているが近づいては来なかった。
「かえって余計な刺激をしてしまうのでは?」
 その中に鬼の形相でこちらを睨む女性を2人ほど見つけ、訊ねるミモザを彼は鼻で笑った。
「君の容姿を見て挑む度胸のある女性は稀だ。よほど自分の容姿やそれ以外に自信がなくてはそんな真似できないだろう」
 まぁ確かに、とミモザは頷く。自分の容姿が優れている自覚はあった。何せ主人公と瓜二つの顔である。良くないわけがない。
 こればかりは感謝せざるを得ない。これで容姿まで正反対でミモザマカだけ不細工であったら本気で立ち直れる気がしない。製作者からの温情か、キャラデザをサボっただけかはわからないが、なにはともあれありがたい話である。
「まぁつっかかって来そうなのもいるが、死にはしないさ」
「死なない程度の目には合うんですか?」
 ミモザの質問にレオンハルトは答えず肩をすくめた。
「たいした派手なご登場だなぁ」
 その時、聞いたことのある声に話しかけられた。振り向くとそこに立っていたのはガブリエルであった。
 彼も今日は制服ではない正装をしており、ブラウンの髪を後ろに撫で付けて伊達男っぷりに磨きがかかっている。黒のスーツの胸元には赤い薔薇が飾られていた。
「オルタンシア様は?」
「あっち」
 彼はレオンハルトの問いに簡潔に答える。そこには誰かと談笑しているオルタンシア教皇の姿があった。彼はさすがにいつもの法衣を身にまとっている。
 あたりを落ち着いて見回すとフレイヤとジーンの姿もあった。彼女達もいつもの制服ではなくパーティー仕様で、フレイヤは真っ赤なドレスに身を包んでいる亜鉛の効果
(今頃お姉ちゃん達は宿屋だろうか)
 きらびやかな世界を眺めながらぼんやりと思う。若干自分は今何をしているのだろうと疑問には思うが、ゲームのストーリー通りに進んでいるのなら今日は特にすることはないはずだ。
 今日はゲームで言うと旅立ちの日だ。ショートカットして道なき道をきたミモザとは違い、ステラは街道を進んで王都まで来たはずである。つまり倍以上の時間をかけて今頃王都についたのではないだろうか。まぁ、ヒッチハイクや乗り合い馬車に乗るなどをすれば14時間よりは短い時間で王都には辿り着けるだろう。確かチュートリアルボスとの戦闘もその途中にあったはずだ。まだ仲間として選択できるのはアベルだけのはずなのでアベルと2人で行動しているのだろう。
(確か次の攻略対象との遭遇は王都での買い物中だったか)
 ゲームのシステムは午前と午後の行動を大雑把に選択できるというもので、買い物にいけばそれだけで午前中は潰れる。そして最初はチュートリアルとして装備を整えるために午前中に買い物に行かされるはずだ。つまり明日の午前中にその攻略対象と出会うはずである。あまりどういった人物だったか思い出せないが、確か『知り合いと間違えて声をかけてしまった』というベタな出会い方だった気がする。 
(つまり明日の午前中に僕は第1亜鉛の塔に行けば鉢合わせずに済む)
 明日は朝早くに家を出よう、と考えていると、その思考を引き裂くように荘厳な演奏が始まった。
 ぎょっとして顔を上げる。
「本日のメインのご登場だな」
 ガブリエルが囁いた。
「メイン?」
「決まってるだろ?第一王子殿下さ」
 彼は陽気にウインクをして見せた。
亜鉛亜鉛 の サプリゴーヤ

 レオンハル亜鉛

 レオンハルトから見て弟子であるミモザはバカであサプリメント マカる。
 いや、決して頭が悪いわけではない。ないのだが、ゴーヤ チャンプルーなんというか行動がバカだ。
(何をやっているんだ、一体)
 窓からは爽やかな早朝の光が差し込んでいた。小鳥はピチュピチュとかなんか楽しそうに鳴いている。
 実に麗しい朝の光景だ。
 目の前にぶら下がる大量の謎の黒いぼんぼんと亜鉛の効果、それを脚立に座って黙々と量産する弟子の姿がなければの話である。
 レオンハルトは自らの寝室の惨状を見てベットの中で盛大にため息をついた。
「何をやっているんだ、君は」
「あ、おはようございます」
 師匠の目覚めに気づいた弟子は嬉しそうに目を細めて笑う。小首をかしげて振り返った拍子に髪が揺れて柔らかなハニーブロンドが陽の光を反射した。
 その光景はたいそう良い。
 マカ サプリ見た目だけは一級品の弟子がとても美しいのは眼福で素晴らしいのであるが。
「何を、やっているんだ、君は」
 レオンハルトは再度ゆっくりと区切りながら弟子に問う。
 それにああ、と軽くうなづくと彼女は実に真剣に自明の理を語るのがごとく堂々と告げた。
「おまじないです」
 レオンハルトはすんでのところで舌打ちを飲み込んだ。
 それなりに出来のいいはずの弟子はどうにもこの『おまじない』とやらに傾倒しており、時々こうしてレオンハルトには理解しがたい珍妙な行動にでる。
(業務に従事している間は問亜鉛 の サプリ題ないのだが)
 ため息と共に布団を避け、ベッドに腰掛けた。
 彼女はレオンハルトの指示には忠実だ。修行だって真面目にこなす。しかしちょっと放っておくとこれである。
「今度は一体なんのおまじないだ」
「幸運のおまじないです」
「幸運?」
「はい」
 美しい弟子は楚々と近づいてくるとレオンハルトの髪を丁寧にすきながら、本日の服を示してみせた。
向かって右側は私用の際に着る礼服、左側はいつもの正装である軍服である。
 2つハンガーにかけて並べて提示されたそれを見て、今日は再び教会へ行かなくてはならないことを思い出しレオンハルトは向かって左側を無言で指で指し示す。それに彼女は軽くうなづくとその服を手に取り着替えを手伝い始めた。
 問題ない。本当に、業務に従事している間は実に文句のつけようのない仕事っ亜鉛 サプリぷりである。
 『おまじない』さえなければ。
 こんな非合理的なことはやめろ、と一刀両断しようとしてレオンハルトは口を開き、
「レオン様の今日がきっと良い日でありますようにと思いまして」
 すんでのところで口をつぐんだ。
 これである。
 これのせいで未だにレオンハルトは弟子の奇行をやめさせられないのであった。
 ミモザはそんなレオンハルトの心中など察さずテキパキと準備を進めている。最後の仕上げにハンカチをそっとポケットへと入れられた。
「………」
 レオンハルトは知っている。そのハンカチにもびっしりと『おまじない』の文言が刺繍されているのを。
もはやその犠牲者はレオンハルトの所有するハンカチの8割を超えていた。10割に達する日も近いに違いない。
(まぁ、誰が悪いかと言えば俺が悪い)
 一言やめろと言えばやめるのだ、ミモザは。
 ハンカチにしても一応刺繍をする際に報ゴーヤ チャンプルー告は受けていた。その時に咎めなかったレオンハルトの責任である。
 まぁ別に大して困ることもないし、と内心で言い訳をする。
 せいぜいがハンカチを人に見られた際に気まずい程度のことである。
 食事の支度をしに食堂へと足早に向かうミモザの後ろをゆっくりと歩きながら、レオンハルトは今日のハンカチを取り出して眺めた。
 そこには古代語で『どうか風も波も日の光も、貴方に優しくありますように』という祝詞が丁寧に刺繍されていた。

 教皇の執務室の窓からは柔らかな光が差し込んでいた。それは女神の描かれたステンドグラスを優しく照らし出し、色のついた光を地面へと映し出す。
「申し訳ありませんね、レオンハルト君。連日呼び出してしまいまして」
「いいえ」
 レオンハルトは優しく微笑むオルタンシアに簡潔に首を横に振ると報告書を差し出した。彼はそれを受け取り中身をパラパラと見ると「確かに」と頷く。それは昨日のミモザが行った野良精霊退治の報告書であった。昨日教会を辞した後にわざわざ自宅まで伝令が来たのだ。いわく『報告書の提出を明日の昼までにして欲しい』と。
(まぁ、方便だろうなマカ)
 目的は別にあるのだろうとレオンハルトは察する。こんな報告書の提出など急ぐ理由が欠片もない。レオンハルトと2人きりで話したい用事があったのだろう。
 レオンハルトとオルタンシアはそれなりに長い付き合いである。レオンハルトがまだ騎士ではなく精霊使いであった頃、その才能を見いだし騎士になるようにと勧めたのがオルタンシアなのだ。
 興味がなさそうに、しかし一応用件を聞くために立ち去ることをせずその場に留まるレオンハルトに、彼は苦笑した。細いすみれ色の瞳がきゅっと更に細まる。
「そう嫌そうな顔をしないでください。まぁ怒られそうな気はしていますが」
「そんな、俺が貴方に怒ることなどありえません」
 レオンハルトの優等生然とした返事にオルタンシアは気まずげに頬をかいた。
「これを見てもそう言えますか?」
 どさどさどさ、と音を立てて机に分厚い冊子のようなものが積まれる。目線で中を確認してよいかを尋ねるとオルタンシアは「どうぞ」と手のひらを向けて促した。
 レオンハルトは一番上に積まれた冊子を開ける。
 すぐに閉じた。
 一応他の用件も混ざっていないかと一縷の望みをかけて他の冊子の中身も一通り確認する。
「オルタンシア聖下」
「ふふふふ、いやぁ、申し訳ありません」
 怒られそうなどと言っておきながら、その顔に浮かぶ笑みはどこか楽しげだ。
「お見合亜鉛い、受けていただけませんか?」
「お断りします」
 間髪入れない返答だった。そのままレオンハルトはすばやく身を翻す。
「では俺はこれで失礼します」
「いやいやいやいや、待って待って待って待って」
 オルタンシアは慌てて身を乗り出すとレオンハルトの服の裾を掴んだ。
「頼みますよ、話だけ、話を聞くだけでいいですから」
「ひとまず聞きましょうか。どういった理由があって俺にこれを?」
 オルタンシアは真面目な顔になった。そのまま深刻そうに手を組んで告げる。
「いやね、結婚をすることで君の生活にも張りとゆとりと充実感がー…、待って待って待ってください、まだ帰らないで!」
 レオンハルトはとりあえず足を止めると痛む頭を抑えてため息をついた。
 その息は重々しい。
「そのような気遣いは不要です。ご存知でしょう。俺はそういったことが不得手だ」
「まぁそれは知っていますが、こういうのは慣れだと思うのですよ。それに正直、誰かを選ばねば今の面倒な状態はずっと続きますよ」
 『面倒な状態』の心当たりに思い当たってレオンハルトは危うく舌打ちをしそうになる。自宅の執務室には貴族の令嬢からの縁談の打診や交流会の誘いが大量に積んであった。そのレオンハルトの反応にオルタンシアは苦笑する。
「君には貴族より平民の女性の方が合うと思うのです。ですので、教会騎士団の女性騎士はどうかと」
「………」
 貴族がレオンハルトを取り込みたがっているように、教会側もレオンハルトを引き込みdha epaたがっている。正直レオンハルトはオルタンシアのことは仕事人として尊敬している。とても優秀な方だ。これまで色々と世話になったこともある。だから教会寄りのスタンスを取っているという部分もあるのだ。しかしそれとこの話は別である。
 レオンハルトは、自身が誰かから愛されているという確信を得たことがない。
 幼い頃に一度カーラからは愛されているのではと思ったことはあった。しかし彼女は結局自分と自分の息子のためにレオンハルトのことを切り捨てた。それを責めるつもりはない。実に適切な対応であったと思う。レオンハルトが逆の立場であったなら迷わずそうするだろう。しかし彼女とレオンハルトの関係性がその程度であったことは確かな事実である。
 好意を伝えられたことはある。情熱的に求められたことも尊敬されたこともある。しかしそれは全てレオンハルトの持つ能力と地位、名声に対するものであって、レオンハルトというどうしようもない人間に対するものではなかった。
 今回の釣り書きの女性達も同様だろう。もしかしたらレオンハルトがこういう人間性の持ち主であることを知らず、聖騎士として愛想良く振る舞っている時の姿しか知らない可能性もある。そんな人間が妻としてそばにいるなど全くもってぞっとしない話だった。
 もしレオンハルトが怪我や病気で役立たずになった時、きっとそばには誰も残らないだろうとレオンハルトは確信している。それはしょうがないことだ。だってレオンハルトにはそういう人間関係しか築けないのだ。
 人と関わるのは疲れる、相手の都合に合わせるのは時間がもったいない、腹を割って話すなど気持ちが悪い。
 そんな人間を大切に思う人などいない。
(い亜鉛 の サプリや、もしかしたら)
 彼女ならば違うだろうか。レオンハルトのことを好きと言った少女。泣きそうな顔で恩人だと言った。役に立ちたいと言い、いまだに挫けずレオンハルトについて来て、レオンハルトがどんな態度を取ろうが失望するそぶりを見せない彼女ならば。
 レオンハルトはハンカチの入ったポケットを無意識に握りしめる。
 彼女ならば、レオンハルトが役立たずになった後もそばに居続けてくれるだろうか?
(愚かな思考だ)
 レオンハルトは自身のあまりにもらしくない考えに頭を振る。
「申し訳ありませんが、貴方の頼みでもこのような話は受けられません」
「……そうですか」
 深く自分の思考へと潜り込むようにしながら少しうわの空でそう告げるレオンハルトのことを、オルタンシアは探るような冷静な眼差しで見つめていた。
ゴーヤ チャンプルーdha epa dhaマカ と は亜鉛

 何が起きポリ ペプチド

 何が起きたのか分からなアントシアニンかったマカ
 ちりちりと何かが焼けこげているような熱と臭気に包まれながら、それを呆然と見上げる。
 熊達の首から上が吹き飛んでいた。
「そのまま伏せていろ」
「ひぇっ」
 声と共に熱波が頭上を掠める。おそるおそゴーヤ チャンプルーる顔を上げると、残りの熊達の首も跳ね飛ばされているところだった。
「……くびちょんぱだ」
 どさどさと音を立てて首なしの遺体が目の前に積み上がる。
「無事か?」
 その悪夢のような光景を一瞬で作り上げた人物は、状況にそぐわぬ落ち着いた声でのんびりと聞いてきた。一応疑問形はとっているがその口調は無事を確信亜鉛 の サプリしている。
「……レオンハルト様」
 そこにはまごうことなき最強の精霊騎士の姿があった。

「どうしてここに……」
「うん?時々様子を見に来ると言っただろう」
 差し出された手をとり立ち上がる。どうやら彼は忙しい仕事の合間を縫ってミモザの様子を見に来てくれたようだった。
 てっきりミモザのことなどもう忘れてしまったか相手をするのが億劫になってしまったかと思っていたので驚く。その表情からこちらの気持ちを察したのだろう。レオンハルトは少々気分を害したように眉を顰めた。
「別に忘れていたわけでも投げ出したわけでもない」
「え、へアントシアニンへへ、もちろんです。そんなこと思ってませんよ!」
「まったく…、まぁ、出していた課題はきちんとこなしていたようだな」
 ミモザの服から出ている筋肉のついた腕や足を見て、「そこは褒めてやろう」と鷹揚に頷いた。
「そこに着けたんだな」
  ふと気がついたように彼が言う。視線を辿るとそれはミモザの首元、レオンハルトにもらった黄色い宝石のついたリボンに向いていた。
「ああ」と頷いてミモザは遠い目になる。大変だったのだ、色々と。
 最初は見えないように服の中、腕や足につけようとした。なぜならこんな高価そうなものを持っていれば母や姉に何かを言われることは必至だったからだ。
 しかしこの魔導具、どうやらこの宝石部分を隠してしまうと効果がないらしかった。そのためなんとか目クロム立たず宝石が隠れない場所を模索したが、そんな場所は思いつかなかったのである。
 仕方なくレオンハルトを真似して髪につけようとして、髪が短くて断念した。次に腕につけたがいつ汚れるか壊してしまうかとハラハラしてしまい落ち着かず、最終的に落ち着いたのが首にチョーカーのように巻くという現状である。
 当然のことながら、母には「そんな高そうなものどうしたの?」と心配げに聞かれ、姉には「いいなぁ、わたしもそういうオシャレなの欲しい」と詰め寄られた。
 それに対してミモザは「誕生日プレゼントにもらった」「これあんまり高くないよ!宝石じゃなくてイミテーションだって」で無理矢理押し通した。実は春生まれでレオンハルトに出会う1ヶ月前に12歳になったばかりだったミモザは「少し遅めの誕生日プレゼント」と言い張った。相手に関しては「時々遊んでくれる近所のお兄さん」だと母にだけこっそりと告げた。納得はしていないようだったがそれ以上は話したがらないミモザに母はひとまず様アントシアニンの効果子を見ることにしたらしい。姉はあまり高価な物ではないと聞いて欲しがるのをやめた。元々レオンハルトが着けていただけあって男性向きのデザインのため好みじゃなかったのだろう。
「えっと、他につける場所が思いつかなくて……」
 しかしそれを言っても仕方がないのでミモザは前半部分だけを割愛して伝えた。
 レオンハルトはそんなミモザの様子に気づいていないわけではないのだろうが、「ふうん」と気のないふうに流す。
 そして手を伸ばしてリボンの位置をちょいちょいと直し始めた。どうやら熊とやり合っている間にズレていたらしい。それだけでは直らなかったのか、彼は一度結び目を解いて綺麗に巻き直してくれた。
 巻き直すために顔が近づき、長い藍色のまつ毛が伏せられているのが間近に見える。
「よし。ああ、よく似合っているな」
 巻き終わったのかそのまま顔を上げて彼が微笑んだ。
「……はぁ、どうも」
(ドアップに耐えうる美形すごいな)
 そして紳士である。初対面の時は垂れ流しになっていた黒いオーラが今は見えないため、さらに美形に拍車がかかりその顔はきらきらと輝いて見えた。
 リボンに手で触って確認するとミモザが巻いた時よりもずっと綺麗に結ばれているように思う。
「前dha epa回会った時、落ち合う場所を決めていなかっただろう。君と初めて会った場所に行けばいいかと思っていたら、大量の野良精霊が村に向かって走っているじゃないか。放っておくと障りがありそうだったからそいつらを片付けながら様子を見に来たら君がいたんだ」
 そのまま素知らぬ顔で彼は話題を戻した。惚けていたミモザは一瞬話題についていけずぱちぱちと瞬く。そんなミモザには構わず「まさかこの森でもこんなことが起きるとはな」とレオンハルトは続けた。
「この森で『も』?」
 その言葉に引っかかりを覚えてミモザは首をひねった。それを横目でちらりと流しみて「ああ」と彼は頷く。
「数はそう多くないが他の場所でも同様の事例が見られていてな。なんの前触れもなく局地的に狂化個体が大量発生するんだ。その対応と原因調査でなかなか手が離せなかった」
「原因、わかったんですか?」
 彼はその質問には答えず肩をすくめてみせた。わからなかったということだろう。
(ゲームの状況と似てる)
 主人公のステラが最終的に聖騎士の地位を賜ることになる事件。あれは確かボス精霊が狂化したことによる暴走を止めるというものだったはずだ。そしてその前兆は主人公が故郷を旅立った頃からすでに見られていた。
 この3つ目の熊はその前兆のうちの一つだ。
(ゲームが始まる前からすでに前兆があったのかな)
 もしくは本当に展開が早まってしまっているのか。
 いずれにしても、ゲームでマカ サプリその原因が語られていたのかどうかすらミモザには思い出せなかった。
「随分と頑張ってくれていたね」
「え?」
 思考の海にもぐっていたミモザはその声に我に返る。見上げるとレオンハルトは微笑んだ。
「君がここで抑えてくれていたから俺が間に合った。君がいなければ村に被害が出ていただろう」
「そんなことは……」
「あるさ。謙遜は美徳だが卑屈は害悪だ。自身の功績は素直に誇りなさい」
 そう言って背中を叩く手は力強く、ミモザを明るい方へと後押しするようだ。
「あ、りがとう、ございます」
 胸が熱くなる。涙が溢れそうでミモザは俯いた。
 努力を認められるということがこんなに得難いことなのだと、生まれて初めて知った気がした。
「さて、俺はもう少し奥の方を調べてみるつもりだが、君はどうする?」
「ご一緒させてください!」
「足を引っ張るようなら置いていくぞ」
 意気込むミモザにレオンハルトは笑顔で釘を刺す。
 わりと本気の声音だった。

 結論から言うとまるで原因となるようなものは見つからなかった。
 先ほど暴れ回っていた熊達が寝ぐらにしていたのであろう巣穴は見つかったのだが、レオンハルトによるとその巣穴自体にも周辺にも特に狂化に繋がるような不自然な点は見当たらないらしい。
「基本的には野良精霊が狂化することは非常に少ないんだがな」
「そうなのですか?」
「ああ、通常狂化というのは人間の感情に引っ張られてなるものだ。抑圧されたストレスが爆発する形で起こる。しかし野生動物はストレスが加えられても抑えるということをせずその場で威嚇という形で発散するものだ亜鉛。よって狂化しにくい」
「それは…、野生動物でも追い詰められるような状況に長くさらされれば起きるということでしょうか」
 ミモザの鋭い指摘に意外そうにひょい、と眉を上げてレオンハルトは頷く。
「そうだな。そう考えてもらっていい。多くは自然災害や人間が住み家に踏み入り荒らすことで起こる。しかしこの場所は平和そのもので災害などが起こった痕跡も森が開拓された様子もない」
 これは他の場所と同じくこれ以上探っても何も出ないだろうな、とレオンハルトはぼやいた。
「それって……」
 言いかけたミモザに、皆まで言うな、と彼は手を振る。
「推測の域を出ん。迂闊なことは言うものではないよ」
 そのセリフが彼もミモザと同じ可能性を思い浮かべているのだと物語っていた。
 天災でないのならばこれはきっと人災だ。レオンハルトが何件も調査していずれも痕跡がないというのならば、それは意図的にその痕跡を隠蔽しているとしか思えない。
 誰かが人為的に狂化を起こしている。
 単純に人知れず虐待などを行った結果として偶然狂化が起こっているのならばいいが、狂化を起こすことを目的としていた場合は厄介と言うより他にない。
「まぁ、この話はここまでだ。時間もないし本題に入るとしようか」
「本題?」
 首を傾げるミモザに「何のために俺がここに来たと思っている」と彼は呆れたように言った。
「君の修行をつけるためだろう」
「あ」
 すっかり頭から抜けていた。そんなミモザに彼は再びため息をつくと、
「ところで自己紹介を忘れていた。俺はレオンハルト・ガードナーという。守護精霊の名はレーヴェ。君の名前は?」
 となんとも今更なことを聞いてきた。
「えっと、有名なので存じています。ミモザと、この子dha epaはチロです……」
 ミモザもすっかり忘れていたので人のことを言えなかった。
クロムの効能サプリメント マカクロムクロムの効能

「ミモザ、どうしマカ と は

「ミモザ、どうしてこんなことをするの?」
 悲痛な表情でステラはそクロムの効能う叫んだ。視線亜鉛の先には瓜二つの少女がいる。しかしその顔はステラとは違いどこか硬質で人を見下すような冷たい目をしていた。
 その瞳は、紅色に染まっている。
「どうして?本当にわからないの?」
 彼女は呆れたように首を振った。
dha epa何度も言ったのに!何度も何度も何度も何度も!お姉ちゃん!貴方はやり過ぎたの!!」
「やり過ぎたって、一体何をっ」
「僕が間違ってるって思ってるんでしょ、自分は正しいと思ってる!」
 ミモザは涙をはらはらと流しながら笑った。
「だから僕の言うことを無視するんでしょ?」
「無視なんてしてないわ、ミモザ!お願い!お姉ちゃんの話を聞いて!!」
 ミモザは首を振る。何度も、何度も。
ポリ ペプチド「……もう遅いよ」
「ミモザ?」
「お姉ちゃん、あのね、……っ!?」
 そう言った瞬間、ミモザの口から血が溢れ出た。
「ミモザ!!」
「なん、で……?」
 その瞳は驚きと焦燥で満ちている。彼女が地面に倒れ伏すと鮮血は口からだけでなく、背中からも流れていることがわかった。
 背後から切り付けられたのだ。
 ステラ達は辺りを見渡したがどこにも人影はない。
「ああ」とミモザは絶望の吐息を溢した。
「貴方も、僕を切り捨てるのですね、……様」
「ミモザ!?ミモザ!!」
 ステラが駆け寄り体を抱えるが、その体はもう熱を失い始め、意識は消えクロムていた。
 ぱたり、とミモザの腕は地面へと落ちた。

 そこでミモザはガバッと布団から跳ね起きた。
「え、し、死んだっ!」
 いや、正確には死んでいないが。
 死んだのはゲームの中の『ミモザ』だ。
(思ったより意味深な死に方してたな)
 てっきりもっとこう、悪いことしやがってー、うりゃあ、サクッ、みたいなあっさりした死に方かと思っていた。
「っていうかもしかして黒幕みたいのがいる?」
 思わずチロに確認すると、チロも夢を共有していたのだろう、もっともらしく頷く。
「チチッ」
 殺意高めの相棒が、誰だか分かり次第殺してやろうぜ、と言ってくるのはいつものことなので今は横に置いておく。
(一体誰に『ミモザ』は殺されたのだろうか?)
 いつも肝心なところがわからない。しかしゲームのミモザは何者かに裏亜鉛 サプリ切られた様子だった。つまり、ミモザには仲間がいたのだ。
(何繋がりの仲間かはわからないけど)
 ゲームのミモザの行動を可能な限り思い起こしてみる。
 ミモザは嫌がらせキャラだ。そのミモザの仲間ということは、つまり主人公達の行動をよく思っていない人間が他にもいたということになる。
 しかしミモザの嫌がらせを思い起こしてみても、正直いまいちピンとこない。
 ミモザの嫌がらせは最初は学校の卒業試合でステラに敗北し、それに対して嫌味を言うところから始まる。そこから道中でステラ達に対し「そんなに野良精霊をたくさん狩るなんて酷い」とかいちゃもんをつけてステラから魔導石を奪ってみたり、試練の塔に着いた際に「そんなんじゃ中には入れられない」などと言って喧嘩をふっかけてきたりする。
 正直序盤の嫌がらせなど大した行為ではない。後半になるほど戦いを挑んでくる回数こそ増えるが、ミモザは雑魚キャラなので経験値稼ぎ要員として扱われていたように思う。
 うーん、とミモザは首を捻った。亜鉛 サプリ
「もしかして僕って重要人物だったり?」
 言ってみただけだ。
 チロはさぁ?というように首を傾げてみせた。
クロムの効能亜鉛の効果

「構えないのですか亜鉛の効果

「構えないのですか?」
 ジアントシアニンの効果ーンは不思議そうにミモザにそう問いかけた。ミモザはそれにふふん、と余裕の表ゴーヤ チャンプルー情を返す。
「先に言っておきます。ジーン様、降参するなら今のうちですよ」
 オルタンシア教皇聖下は言った。『強い精神的ショック』を与えろと。
 つまり本人の元々の性質や精神アントシアニンを刺激により呼び覚ませばいいということだ。
 それはミモザの得意分野である。
「………同じセリフを返しておきましょう」
 ジーンはわずかに警戒するように目を細めた。そしてこれ以上の話し合いは不要と言わんばかりに剣を構えて見せる。
 それを見てとって、ミモザは一歩前へと進み出た。
「ジーン様」
 そしてその場で軽くくるりと一回転した後、可愛らしくスカートをつまむ。
 小首をかしげてみせた。
「僕のような可愛いらしい金亜鉛 サプリ おすすめ髪美少女に、暴力を振るうのですか?」
「うっ」
 途端に彼が葛藤するように動きを止めた。
 にやり、とミモザは笑う。
 これが秘策である。
 何もなんの理由もなく、こんな動きにくい格好をしてきたわけではないのだ。
 ミモザは容赦なく攻撃を続ける。
「武器も持っていない金髪美少女相手に」
「う、くぅ……っ」
「ほらほら、スカートですよー、ヒラヒラですよー」
「う、うう……」
 もう一押しだ。相手は相当弱っている。
 ミモザは最終兵器を出すことにした。
「ジーン様……」
 こっそりと隠し持っていた目薬をさす。目もとがうるうるといい感じに湿った。
「あなたはそんな酷いゴーヤことはなさいませんよね?」
 上目遣いでぶりっこポーズをとる。
「………くっ」
 ジーンはがくり、と地面に膝をついた。
「僕の中の非モテ男子が……っ、例え相手がミモザさんだろうと金髪美少女に暴力は良くないと訴えている……っ!!」
「失敬な」
 ミモザは素早く駆け寄ると膝をついたジーンに容赦なく手刀を叩き込んだ。
 ジーンがぱたり、と音を立てて倒れる。
 ミモザはそんなジーンのそばで両手の拳を構えてスタンバイした。頭の中ではカウントダウンが開始する。
 ワン、ツー、スリー。
 脳内で勝利のゴングが鳴り響く。
「アイアム、ウィナー!」
 ミモザは構えていた拳を天高くへと突き上げて勝者のポーズを取った。
 ミモザ、大勝利である。
「………もう少し女の子と遊ばせるべきなのかしら」ゴーヤ
 その弟子のていたらくを見ていたフレイヤが、思案するようにそうつぶやいた。

「何やってるんだ、あいつは……」
 それを見ていたマシューは呆れたようにぼやいた。
「まぁまぁ、そう言ってやるなよ」
 そんなマシューにガブリエルが声をかける。
「お前さんも今にそんなことは言ってられなくなるさ」
 そう言って彼はジェーンの肩を促すように軽く押した。ジェーンはその理知的な瞳を悲しげに伏せると、何かを決心したかのように顔を上げ、前へと進み出る。
「マシュー」
 そうして静かに口を開いた。
「わたしは、貴方を助けるために鬼になるわ」
「………? 一体何を……」
 訝しげに目を細める彼に、ジェーンはバックから何かを取り出した。それは一冊の本である。
 そこには幼い文字で『にっきちょう』と書かれていた。
 マシューは顔色を変える。
「そ、それは……っ」
「貴方の妹さんに事情を話して借りてきたのよ。マシュー、わたしは今からこれを……」
 ジェーンの瞳がひたり、と真剣にマシューを見据えた。
dha epa dha「音読するわ」
「や、やめ……」
 止めようとするがもう遅い。ジェーンは本を開いた。
「おとなりにすむライラちゃん、きょうもとてもかわいいです。しょうらいけっこんしてくださいとおねがいしたら、いいよといってくれました」
「ぐあああああっ!!」
 マシューは耳を塞いで叫ぶ。しかしジェーンは続ける。
「きょうライラちゃんがだれかとあるいているところをみました。ライラちゃんにだれかをきくと、こまったかおでカレシだといいました。カレシってなんだろう?」
「や、やめ、やめて……」
「しょうらいはライラちゃんとおおきなおうちでしろいいぬといっしょにくらしたいです。おしごとはみみずをとるおしごとをします」
「ひいいいいいっ」
 その光景を見てガブリエルはつぶやいた。
「えぐいなー」
 ミモザもそれには同意だ。
 子どもの頃の淡い思い出を人前で暴露されてわなわなと震えるマシューにミモザは同情しつつ、他人事として見守った。
 ちなみにこの作戦の提案者はミモザである。
「きょうおかあさんにカレシってなにってきいたら……」
「や、やめてくれぇ!!」
 たまらずマシューが白旗をあげた。
「……戻る気になったかしら?」
「なった! なったから!!」
 そこまで叫んでゴーヤはっ、とマシューは目を見張る。
「俺は、どうして……。今までなにを……?」
「解けたみたいだな」
「解けたみたいですね」
 その様子を見てレオンハルトとミモザは頷く。
 ふぅ、とミモザは汗を拭う仕草をして物憂げにため息をついた。
「とても尊い犠牲でした……」
 主に成人男子としての尊厳とかプライドとか。
「君だけは敵に回したくないな」
 無表情に淡々と、レオンハルトはそう言った。
dha亜鉛ゴーヤ

 その後のレマカ

 その後のレオンハルトの行動は迅速だった。すぐに4人とミモザをマカ サプリ引き連れてそれぞれの家へと向かい事情を亜鉛 サプリ おすすめ説明し、主犯が自らの弟であることをアベルの取り巻きの家族へと謝罪した。そしてまだミモザへの謝罪は行われておらず、反省の意思が低いことを伝え、よくよく指導してくれるように、といい含めた。
亜鉛 の サプリ それぞれのご家族は二度目だったこともあり、恐縮した様子でミモザに謝ってくれた。
 そうして1人ずつ家へと帰していき、最後はアベルを残すのみとなった。ミモザとレオンハルトとアベルというなんとも微妙な組み合わせで家を訪ねる。
 アベルの家とミモザの家はなんとお隣同士である。隣といっても田舎あるあるでものすごく遠く、畑と牧場を挟んだ上での隣である。まぁ、それゴーヤ チャンプルーでも隣は隣である。
 ミモザの家は村の一番西端にある。その手前がアベルの家である。さわやかな空色の屋根にクリーム色の壁。庭には家庭菜園と色とりどりの花が咲き誇る美しい家である。庭の手入れがよくされているのが見ただけでわかる。
 レオンハルトは終始渋っていたアベルの腕を掴んで引きずるようにしながら、その家の扉をノックした。
「はーい、どなた?」
 凛とした明るい声がする。おそらく彼女はアベルが学校から帰るのを待っていたのだろう。エプロンをつけて昼食の香りをただよわせながら玄関に出た。
 明るい橙色亜鉛の効果の髪に理知的な青い瞳。髪を編み込んでお団子に結い上げた美しい女性だ。
 その普段は明るい表情が、来客のただならぬ様子を見て曇る。
「レオンくんとミモザちゃん?一体どうしたのかしら?」
「カーラさん、このような形になってしまって申し訳ない。大事な話があってきました」
 そう丁寧な口調で告げると、レオンハルトはアベルのことを地面に跪かせるようにカーラの前へと投げ出した。
「アベル……?あんた……」
「母さん、違うんだ、俺……っ」
「アベルがミモザくんのことを傷つけました」
 その言葉にハッと彼女はレオンハルトのことを見上げ、ついでミモザの顔の傷を見て取ったのか表情を歪めた。
「友人3人とともに彼女を取り囲んで石を投げつけ、髪を引きちぎるという亜鉛 サプリ おすすめ暴行を加えたようです」
「……なっ!?」
「違う!」
 思わず反射で叫んだのであろうアベルを、レオンハルトとカーラ、計3つの目が見下ろす。
「何が違うんだ、言ってみろ」
「お、俺は、別に!暴行だなんて……、そんなつもりじゃ……」
 その視線に怯んだのかアベルはもごもごとそれより先の言葉は続けられず言いごもる。
 レオンハルトの深いため息に、アベルは身を震わせた。
「じゃあどんなつもりだったと言うんだ。まさかその行為で彼女が喜ぶと思っていたわけでもあるまい」
「それは、だって…っ」
「だって、なんだ?お前は明確な悪意を持って、彼女に危害を加えた。どんな言い訳を並べ立てたとて、その事実は揺るぎない」
 アベルは顔を真っ赤に染め、耐えきれなかったように叫んだ。
「それはこいつが生意気……っ!」
「もうやめて……っ!!」
 しかしそれは別の悲鳴じみた声に遮られた。見るとカーラは苦しむように頭を抱えマカ、俯いている。その目からはぽたり、ぽたりと涙がこぼれ落ちていた。
「もう、やめて……」
「母さん……」
「やっぱり血は争えないのかしら」
 その目は失望感に満ち、遠くを見つめている。
「それを言われては俺の立つ瀬もありませんが」
 苦笑しながら言われた言葉にカーラは弾かれたように顔を上げる。
「ごめんね、レオンくん。そんなつもりじゃ……」
「いえ、わかっていますよ。大丈夫です」
 どうやら2人にしかわからない話があるらしい。カーラは気を取り直すようにアベルを見ると、その前に膝をつき目線を合わせた。
「アベル、ねぇ、アベル。なんでこんなことをするの。前回の時あんた反省したって言ってたじゃない。嘘だったの?」
「それは……」
「あんた母さんにも先生にもミモザちゃんにも嘘をついたの」
「嘘をついてるのはミモザだ。俺は窓ガラスは割ってない!」
「あんた、何言ってるの」
 アベルの決死の叫びに、しかしカーラは目を見張った。
「誰が窓ガラスの話なんてしたの。ミモザちゃんに怪我をさせた話をしてるのよ」
「……っ」
 アベルは唇を噛みしめる。カーラdhaはそんな息子の様子に力無く首を振った。
「アベル、わたしはね、もしあなたがミモザちゃんと同じ目に合わされたらそれをした相手が憎いわ。死んでしまえばいいとさえ思うかもしれない」
「……っ!?」
「あんたのしたことはそういう行為よ。そういう最低なことなの。わからないの?」
 カーラはアベルの肩を掴む。その瞳には焦燥があった。
「ねぇ、わからないの?アベル」
「……母さん」
「わたしはもう、あなたがわからないわ。一生懸命育ててきたつもりだった。愛情を持って、真っ直ぐ生きてくれたらと。でももうわからないのアベル。どうしたらいいのかがわからない。あんた、一体どうしたらまともになってくれるの?」
「か、母さん!」
「カーラさん」
 そっと、レオンハルトはカーラの背中を慰めるようにさすった。そして残酷に言い放つ。
「アベルはおそらく病気です」
「お、俺!病気なんかじゃ……」
「普通の健常の人間は理由もなく暴力を振るったりなどしない。それは明らかに異常な行為だよ、アベル。
風邪を引いたら医者にかかるように、今回の件も専門家を頼るべきだと俺は思います。カウンセリングを受けさせましょう。更生のために。いい先生を探します」
「……レオンくん」
 不安げに見上げるカーラに、レオンハルトは力強く頷サプリメント マカいてみせた。
「アベル自身の将来もですが、これ以上被害者を出さないことを第一に考えるべきでしょう」
「それは、入院させるってことかしら?」
 アベルは息を呑む。しかしレオンハルトは首を横に振った。
「それは最終手段です。まずは通院でいいでしょう。それでどうしようもないなら入院させるしかありませんが。学校側に協力を仰いでアベルが暴力的な衝動を抑えられない様子がないかどうかなど見張ってもらいましょう。こう言ったことはちゃんと環境を整えて徹底的にやらないといけない」
 そこでアベルへと向き直る。
「アベル。お前もいいね。お前に治療の意思がなければどうにもならん。苦しいとは思うが俺も協力を惜しむつもりはない」
「俺、病気じゃないよ」
 アベルは途方にくれたように言った。自分の意思に反して進んでいく話についていけないのだ。
 しかしレオンハルトはその言葉を言い逃れと捉えたのか追撃の手を緩めなかった。
「ではお前は正常な状態にも関わらずなんの罪悪感もなしに暴力を振るったということになる。そちらの方がよほど悪い。そうなのか?アベル。お前は生まれつき暴力的な行為が好きな人間なのか?」
 問われてアベルは力無く首を横に振った。もう何も言えない様子だった。それに対してレオンハルトはやっと態度を軟化し優しく微笑み、なぐさめるように肩を叩く。
「まずは自分が異常な行動を取っていること、それを自覚するところから始めよう。大丈夫ゴーヤ。必ず良くなる。そうすれば心の底から申し訳ないことをしたとちゃんと反省し、謝罪することができるようになるだろう」
 アベルは操られた人形のように無気力に首を縦に振った。レオンハルトもそれに同意するようにしっかりと頷き返す。
「頑張っていこうな」
 そして立ち上がるとミモザの隣へと移動し「じゃあカーラさん。俺はミモザくんを家に送ってご家族に謝罪をしてきますので」と告げた。
 それにカーラは焦ったようにエプロンを外しながら「わたしとアベルも一緒に……」と身を乗り出す。
 しかしその言葉をレオンハルトは手で制し、首を横に振ることで断った。
「今のアベルの様子では謝罪などしても上べだけになってしまうでしょう。それでは先方にかえって失礼だ。まずは俺1人で謝罪に伺います。カーラさんはアベルのことをよろしくお願いします」
「……ごめんね、迷惑をかけちゃって」
「なにを言うんです。家族でしょう。俺はそのつもりでしたが違いましたか?」
 カーラはその言葉を噛みしめるように俯いた。
「いいえ、違わないわ、ありがとう」
 そしてミモザへと向き合う。その瞳はもういつもの理知的な光が戻ってきていた。
「ミモザちゃん、本当にごめんなさい。きちんとアベルのことは更生させます。あなたにも近づかせないようにするからね。本当にごめんなさい」
 あまりにとんとん拍子に進む急転直下の状況に、ほぼ空気と化して流れを見ていただけだったミモザは首をぶんぶんと横に振ることしかできなかった。
アントシアニン亜鉛の効果クロムアントシアニンの効果

 さて、第dha epa dha

 さて、第一王子アズレン・アルタイル・アゼリアはステラの攻略対象のうちのマカ サプリ1人である。
 ただし、『バッドエンドの扱いの』とアントシアニンいう注釈がつく。
 これには三つ理由がある。
 一つ目はこのアズレン王子が『誰も攻略できなかった際に救済措置』として結ばれる相手だからである。実はこのアズレン王子、ゲーム中に仲を深めるようなイベントは亜鉛存在せず、お話の中にちょこちょこ登場する脇キャラである。通常の乙女ゲームでは条件を満たせず誰も攻略できなかった場合は誰とも結ばれないエンドが存在したりするが、このゲームではその際にお情けとしてこのアズレン王子と結ばれるのだ。つまり何もせずにだらだらしていると結ばれるお相手ということである。
 二つ目はこのアズレン王子、婚約者がいてそのお相手マカ サプリが正妃に内定している。つまりステラは側妃として迎えられるのである。これは両思いを目指すプレイヤーとしては気に入らないだろう。
 そして三つ目、これはーー
 音楽とともに2人の人物が入場してきた。1人は細身の女性である。紫がかった銀髪を緩やかに結い上げ深い翡翠色の垂れ目をした、たおやかな女性である。彼女は群青色の美しいドレスを身に纏い、物静かな風情で立っていた。
 そしてその隣には金髪碧眼のマッチョがいた。
「ふんっ!」
 おもむろにそのマッチョがマッスルポーズを取ると胸元のボタンがブチィッアントシアニンと音を立てて弾け飛ぶ。見事な大胸筋が露出した。
 健康的に日焼けした肌は何かのオイルを塗っているのかテカテカしている。
「皆の衆、本日はよくぞ集まってくれた!」
 マッチョは別のマッスルポーズへと姿勢を変えた。
「今日ここで!私はエスメラルダを婚約者とすることを皆に誓おう!!」
 その満面の笑みを浮かべる口で、白い歯がきらりと光る。
 しばらく会場のみんなは沈黙した。その後我に返ると自分達の役割を思い出し、盛大な拍手をした。
「ありがとう、ありがとう」
 にこにことマッチョこと、アズレン王子が手を振る。
 ーーこれが三つ目の理由。王子は筋肉キャラだった。
 今日って王子の婚約披露宴だったのか、とミモザはやっと状況を理解した。

 ホールには穏亜鉛 サプリ おすすめやかな音楽が流れていた。皆それぞれ歓談したり、食事や飲み物を口に運んだりとその場の空気を楽しんでいる。
 王子達へと挨拶は一組ずつ呼ばれて行うらしく、ガブリエルは「呼ばれたから行くわ」とオルタンシア教皇が呼ばれたタイミングでいなくなってしまった。
 ぼんやりと眺めているとこちらに駆け寄ってきた若い使用人が「次です」と囁いて王子の元へと先導するように歩き始めた。
 当たり前のようにレオンハルトが腕を差し出すので若干「僕も行くのか……」と内心思いつつその腕に手を添えてミモザも歩いて着いていく。
 隣を歩くその顔を横目でちらりと見上げると、一応その表情は穏やかな笑みを浮かべていたが、目が死んでいた。
(……苦手なんだろうなぁ)
 その表情を見て悟る。基本的にはローテンションな人だ。あのようにハイテンションな人は不得手なのだろう。ちなみにミモザは人付き合い全体がゴーヤ チャンプルー不得手だが、ハイテンションな人は嫌いではない。
 というよりはあの立派な筋肉が気になる。
(どうやってあそこまで育てたんだろう……)
 ぜひ教えてもらいたいものだ、と思うがそんな不敬は許されないだろう。
「おお!よく来たな!レオンハルト!!」
 あれこれと考えていると、まだその目前まで辿り着いていないのに馬鹿でかい声が鼓膜を叩いた。
「お前の顔が見れて私は嬉しいぞ!!」
「……俺もです。殿下」
 距離にして5mはありそうな遠くから叫ばれてレオンハルトは一瞬嫌そうにしながらもすぐに笑みを取り繕い、足早にその目の前へと馳せ参じる。
 そのまま騎士の礼を取るのに、ミモザも慌てて真似しようとして思いとどまった。
(危ないっ)
 今はドレスを着ているのだと思い出し、すんでのところで淑女らしくカーテシーをして見せた。
 レオンハルトの付けてくれた教師は淑女としての作法も色々と教えてくれたが、所詮は付け焼き刃、油断するとうっかり忘れてしまう。
 こっそり冷や汗をかいていると「おお!」と頭上から歓声が聞こえた。
「それが亜鉛 の サプリ噂の弟子か!!くるしゅうない!面をあげよ!!」
「はっ」
 レオンハルトが顔を上げるのに合わせてミモザも上げる。目の前で見る筋肉の塊はなかなかに迫力があった。身長こそレオンハルトの方が高いものの、筋骨隆々と盛り上がったその体躯はその肉感ゆえに圧迫感がすごい。心なしか彼の周辺だけ温度が2、3度高い気もする。
 思わずまじまじと見つめてしまうミモザに、彼はその無礼を咎めることなくにこりと笑った。
「私に何か気になるところがあるか?」
「筋肉が……」
「うん?」
「とても美しいと思いまして」
 彼はぽかんとした後、弾けるように笑い声を上げた。
「そうか!!そういった感想はなかなか稀だ!」
「殿下、笑いすぎです」
 側で控えていたスキンヘッドにサンタひげをした男性が静かに首を横に振って言う。彼は宰相のオーティスだと先ほどガブリエルが教えてくれていた。その淡い水色の瞳は呆れている。
「名は何と言う」
 宰相を無視して続けられた言葉にミモザは慌てる。そういえば名乗るのもまだであった。
「失礼致しました。レオンハルト様の弟子のミモザと申します」
「うむ!ミモザか!!先ほどはなかなかの余興であった!!」
「は?余興……?」
 溌剌とよくわからないことを褒めるアズレンに、レオンハルトは渋い表情で「やはりあれは殿下の差し金でしたか」と告げた。
亜鉛 サプリ おすすめ「あれ?」
「先ほど君のことを睨んでいる女性がいただろう」
 レオンハルトの言葉にああ、と思い出す。確かに2人ほど目についた。彼女達がアイリーンとセレーナという名の伯爵令嬢なのだと、やはりガブリエルが教えてくれたのは記憶に新しい。
「あの2人は犬猿の仲で有名でな。余程のことがない限りは2人そろって同じパーティーに呼ばれることはない。わざと呼んだんだ、ここにいるアズレン殿下が」
 思わずアズレン殿下の顔を見ると彼はにやりと笑った。
「あの2人はレオンハルトを取り合っていつも派手な喧嘩を繰り広げているのだ」
 その言葉にミモザはレオンハルトの顔を見る。彼は眉間に皺を寄せたまま黙っている。
「悪趣味ですよ、殿下」
 代わりに宰相がぼそりと苦言を呈した。
「いやぁ、見事な流れであった!2人の喧嘩からのミモザ嬢の登場!!まるでよく出来た喜劇だ!いやいやあそこまで真に迫った表情は劇場では見られんな!」
「殿下」
 咎める宰相に王子は「いいではないか!」と呵呵と笑った。
「我々王族は国民を守るための防衛システムのようなものだが、多少臣下をからかうくらいは許してもらわねばな!政務をする気もなくなるというものだ!!」
「不謹慎です」
 宰相は渋面だ。
「いやしかしミモザ嬢。貴方もなかなか良い筋肉だ。普段はどのようなトレーニングを?」
 気まぐれな気性の持ち主なのか、彼は唐突に話題を変えた。見事なマッスルボディの持ち主にふいに筋肉を褒められて、ミモザは思わずぱっと頬に朱を散アントシアニンらす。
「え、えっと、殿下のトレーニングには敵わないかと思われますが、一応筋トレは一通り……」
 もじもじと告げる。
「なるほど、いやしかし実用的な筋肉だ。トレーニングだけではあるまい」
「えっと、そのう、鈍器を少々振り回す程度でしょうか」
「鈍器!素晴らしい!私はよくバトルアックスを振り回しているぞ!!」
「素敵です」
 ミモザは大真面目に頷いた。2人の間には筋肉をとおして通じ合う、信頼に似たなんらかの感情が生まれつつあった。
「のう」
 しかし思わず握手をしかけた2人の間にずずい、と割り込む声がする。そちらを見ると婚約者であるエスメラルダがミモザをじっとりと睨んでいた。
「のう、そち、今のは聞き間違いかの」
 彼女はゆっくりと数歩前に出ると威圧するようにミモザに顔を近づける。
「わらわの勘違いでなければ、今そなたはわらわの将来の夫をたぶらかしたかの?」
 氷のような視線である。ミモザは震え上がった。
「め、めっそうもないです!」
「ほう?ではどういうつもりじゃ」
「そ、その、素晴らしい筋肉の持ち主なので、憧れと申しますか……」
 その返答に彼女はその整った眉根を寄せた。
「むぅ、まさかこのような変態筋肉だるまに興味のあるおなごがおるとは……、盲点じゃった」
「今変態筋肉だるまって言いました?」
 宰相が尋ねるがそれは無視された。
「まさかそなた、我が将来の夫が好みだなどと申すまいな」
 ミモザはぶんぶんと首を横に振る。しかし彼女は納得できないらしい。そのままぐいぐいとミモザに詰め寄る。
「では、どのようなおのこが好みじゃ。もうしてみぃ!」
「え、えーと、」
 ぐるぐると思考が空転する。結果、一番最初にに思い浮かんだクロムの効能相手は、
「れ、レオン様です!」
 だった。
 エスメラルダはむぅ、と唸ると「我が将来の夫とはまるで違うようじゃな」と頷いた。
「ではまぁ、許してやろう」
「あ、ありがとうございます」
「しかしゆめゆめ忘れるでないぞ。我が将来の夫に手を出してみよ」
 彼女は夫の隣へとゆっくり戻るとミモザを見下ろして胸を張った。
「そなたのことは、ほっぺたをぐりぐりする刑に処す」
「は、はぁ」
 思ったより可愛らしい刑だ。
「焼けた鉄での」
「絶対に手を出しません!!」
 前言撤回、えげつない刑だった。
「はっはっはっ!すまんな、ミモザ嬢。我が将来の妻は少々嫉妬深いのだ!!」
 すすす、と彼女は殿下に近づくとそのまま彼の肩へとしなだれかかった。
「そなたがわらわにつれないのが悪いのではないか」
 その顔は恋する乙女そのものだ。
「よしよし!可愛いやつめ!はっはっはっ!」
 快活にそう言い放った後、アズレンは面白がるようにミモザとレオンハルトを見てにやりと笑った。
「しかしまぁ、おかげでめずらしい奴の面白い顔が見れた。感謝するぞ、ミモザ嬢」
「面白い顔?」
 首を傾げるミモザの横で、最初に話して以降はずっと無言で佇んでいたレオンハルトは誤魔化すように咳払いをした。
亜鉛 の サプリクロムゴーヤマカ と は

 何が起きたのゴーヤ チャンプルー

 何が起きたのか分からなかった。
 ちりちり亜鉛 サプリ おすすめと何かが焼けこげマカ サプリているような熱と臭気に包まれながら、それを呆然と見上げる。
 熊達の首から上が吹き飛んでいた。
「そのまま伏せていろ」
「ひぇっ」
 声と共に熱波が頭上を掠める。おそるおそる顔を上げると、残りの熊達の首も跳ゴーヤね飛ばされているところだった。
「……くびちょんぱだ」
 どさどさと音を立てて首なしの遺体が目の前に積み上がる。
「無事か?」
 その悪夢のような光景を一瞬で作り上げた人物は、状況にそぐわぬ落ち着いた声でのんびりと聞いてきた。一応疑問形はとっているがその口調は無事を確信している。
「……レオンハルト様」
 そこにはまごうことなき最強の精霊騎士の姿があった。

「どうしてdhaここに……」
「うん?時々様子を見に来ると言っただろう」
 差し出された手をとり立ち上がる。どうやら彼は忙しい仕事の合間を縫ってミモザの様子を見に来てくれたようだった。
 てっきりミモザのことなどもう忘れてしまったか相手をするのが億劫になってしまったかと思っていたので驚く。その表情からこちらの気持ちを察したのだろう。レオンハルトは少々気分を害したように眉を顰めた。
「別に忘れていたわけでも投げ出したわけでもない」
「え、へへへ、もちろんです。そんなこと思ってませんよ!」
「まったくdha epa…、まぁ、出していた課題はきちんとこなしていたようだな」
 ミモザの服から出ている筋肉のついた腕や足を見て、「そこは褒めてやろう」と鷹揚に頷いた。
「そこに着けたんだな」
  ふと気がついたように彼が言う。視線を辿るとそれはミモザの首元、レオンハルトにもらった黄色い宝石のついたリボンに向いていた。
「ああ」と頷いてミモザは遠い目になる。大変だったのだ、色々と。
 最初は見えないように服の中、腕や足につけようとした。なぜならこんな高価そうなものを持っていれば母や姉に何かを言われることは必至だったからだ。
 しかしこの魔導具、どうやらこの宝石部分を隠してしまうと効果がないらしかった。そのためなんとか目立たず宝石が隠れない場所を模索したが、そんな場所は思いつかなかったのである。
 仕方なくレゴーヤオンハルトを真似して髪につけようとして、髪が短くて断念した。次に腕につけたがいつ汚れるか壊してしまうかとハラハラしてしまい落ち着かず、最終的に落ち着いたのが首にチョーカーのように巻くという現状である。
 当然のことながら、母には「そんな高そうなものどうしたの?」と心配げに聞かれ、姉には「いいなぁ、わたしもそういうオシャレなの欲しい」と詰め寄られた。
 それに対してミモザは「誕生日プレゼントにもらった」「これあんまり高くないよ!宝石じゃなくてイミテーションだって」で無理矢理押し通した。実は春生まれでレオンハルトに出会う1ヶ月前に12歳になったばかりだったミモザは「少し遅めの誕生日プレゼント」と言い張った。相手に関しては「時々遊んでくれる近所のお兄さん」だと母にだけこっそりと告げた。納得はしていないようだったがそれ以上は話したがらないミモザに母はひとまず様子を見ることアントシアニンにしたらしい。姉はあまり高価な物ではないと聞いて欲しがるのをやめた。元々レオンハルトが着けていただけあって男性向きのデザインのため好みじゃなかったのだろう。
「えっと、他につける場所が思いつかなくて……」
 しかしそれを言っても仕方がないのでミモザは前半部分だけを割愛して伝えた。
 レオンハルトはそんなミモザの様子に気づいていないわけではないのだろうが、「ふうん」と気のないふうに流す。
 そして手を伸ばしてリボンの位置をちょいちょいと直し始めた。どうやら熊とやり合っている間にズレていたらしい。それだけでは直らなかったのか、彼は一度結び目を解いて綺麗に巻き直してくれた。
 巻き直すために顔が近づき、長い藍色のまつ毛が伏せられているのが間近に見える。
「よし。ああ、よく似合っているな」
 巻き終わったのかそのまま顔を上げて彼が微笑んだ。
「……はぁ、どうも」
(ドアップに耐えうる美形すごいな)
 そして紳士である。初対面の時は垂れ流しになっていた黒いオーラが今は見えないため、さらに美形に拍車がかかりその顔はきらきらと輝いて見えた。
 リボンに手で触って確認するとミモマカ サプリザが巻いた時よりもずっと綺麗に結ばれているように思う。
「前回会った時、落ち合う場所を決めていなかっただろう。君と初めて会った場所に行けばいいかと思っていたら、大量の野良精霊が村に向かって走っているじゃないか。放っておくと障りがありそうだったからそいつらを片付けながら様子を見に来たら君がいたんだ」
 そのまま素知らぬ顔で彼は話題を戻した。惚けていたミモザは一瞬話題についていけずぱちぱちと瞬く。そんなミモザには構わず「まさかこの森でもこんなことが起きるとはな」とレオンハルトは続けた。
「この森で『も』?」
 その言葉に引っかかりを覚えてミモザは首をひねった。それを横目でちらりと流しみて「ああ」と彼は頷く。
「数はそう多くないが他の場所でも同様の事例が見られていてな。なんの前触れもなく局地的に狂化個体が大量発生するんだ。その対応と原因調査でなかなか手が離せなかった」
「原因、わかったんですか?」
 彼はその質問には答えず肩をすくめてみせた。わからなかったということだろう。
(ゲームの状況と似てる)
 主人公のステラが最終的に聖騎士の地位を賜ることになる事件。あれは確かボス精霊が狂化したことによる暴走を止めるというものだったはずだ。そしてその前兆は主人公が故郷を旅立った頃からすでに見られていた。
 この3つ目の熊はその前兆のうちの一つだ。
(ゲームポリ ペプチドが始まる前からすでに前兆があったのかな)
 もしくは本当に展開が早まってしまっているのか。
 いずれにしても、ゲームでその原因が語られていたのかどうかすらミモザには思い出せなかった。
「随分と頑張ってくれていたね」
「え?」
 思考の海にもぐっていたミモザはその声に我に返る。見上げるとレオンハルトは微笑んだ。
「君がここで抑えてくれていたから俺が間に合った。君がいなければ村に被害が出ていただろう」
「そんなことは……」
「あるさ。謙遜は美徳だが卑屈は害悪だ。自身の功績は素直に誇りなさい」
 そう言って背中を叩く手は力強く、ミモザを明るい方へと後押しするようだ。
「あ、りがとう、ございます」
 胸が熱くなる。涙が溢れそうでミモザは俯いた。
 努力を認められるということがこんなに得難いことなのだと、生まれて初めて知った気がした。
「さて、俺はもう少し奥の方を調べてみるつもりだが、君はどうする?」
「ご一緒させてください!」
「足を引っ張るようなら置いていくぞ」
 意気込むミモザにレオンハルトは笑顔で釘を刺す。
 わりと本気の声音だった。

 結論から言うとまるで原因となるようなものは見つからなかった。
 先ほど暴れ回っていた熊達が寝ぐらにしていたのであろう巣穴は見つかったのだが、レオンハルトによるとその巣穴自体にも周辺にも特に狂化に繋がるような不自然な点は見当たらないらしい。
「基本的には野良精霊が狂化することは非常に少ないんだがな」
「そうなのですか?」
「ああ、通常狂化というのは亜鉛人間の感情に引っ張られてなるものだ。抑圧されたストレスが爆発する形で起こる。しかし野生動物はストレスが加えられても抑えるということをせずその場で威嚇という形で発散するものだ。よって狂化しにくい」
「それは…、野生動物でも追い詰められるような状況に長くさらされれば起きるということでしょうか」
 ミモザの鋭い指摘に意外そうにひょい、と眉を上げてレオンハルトは頷く。
「そうだな。そう考えてもらっていい。多くは自然災害や人間が住み家に踏み入り荒らすことで起こる。しかしこの場所は平和そのもので災害などが起こった痕跡も森が開拓された様子もない」
 これは他の場所と同じくこれ以上探っても何も出ないだろうな、とレオンハルトはぼやいた。
「それって……」
 言いかけたミモザに、皆まで言うな、と彼は手を振る。
「推測の域を出ん。迂闊なことは言うものではないよ」
 そのセリフが彼もミモザと同じ可能性を思い浮かべているのだと物語っていた。
 天災でないのならばこれはきっと人災だ。レオンハルトが何件も調査していずれも痕跡がないというのならば、それは意図的にその痕跡を隠蔽しているとしか思えない。
 誰かが人為的に狂化を起こしている。
 単純に人知れず虐待などを行った結果として偶然狂化が起こっているのならばいいが、狂化を起こすことを目的としていた場合は厄介と言うより他にない。
「まぁ、この話はここまでだ。時間もないし本題に入るとしようか」
「本題?」
 首を傾げるミモザに「何のために俺がここに来たと思っている」と彼は呆れたように言った。
「君の修行をつけるためだろう」
「あ」
 すっかり頭から抜けていた。そんなミモザに彼は再びため息をつくと、
「ところで自己紹介を忘ゴーヤれていた。俺はレオンハルト・ガードナーという。守護精霊の名はレーヴェ。君の名前は?」
 となんとも今更なことを聞いてきた。
「えっと、有名なので存じています。ミモザと、この子はチロです……」
 ミモザもすっかり忘れていたので人のことを言えなかった。
亜鉛 サプリゴーヤクロムの効能サプリメント マカ

 今、レオンハルトゴーヤ

 今、レオンハルトは最大の危機に直面していた。dha
 それはいつもの業務のはずだった。野良精霊の異常な大量発生が生じdha epa dhaたため、それを退治しに来たのだ。落ち込み気味だったミモザも調子を取り戻させるためには良かろうと連れてきてみれば、そこにはーー、
 うぞうぞとうごめく、黒光りする例の虫が大量にひしめいていた。
 何故か森の窪地に大量発生し亜鉛の効果ている『ゴ』から始まる4文字の虫の姿に、レオンハルトは鎮痛な面持ちになると顔を手で覆った。
 
(死にそうな顔色だなぁ)
 そんな師匠の様子を隣に並んで一緒にその光景を見下ろしながら、ミモザは見守っていた。
 さもありなん、と思う。虫が得意なミモザですら若干気持ち悪いほどの量である。嫌いなレオンハルトに至っては言うまでもないだろう。
 レオンハルトの心情は察するにあまりゴーヤある。
 やっと気を取り直したのか、レオンハルトはふぅ、と小さく息をつくと、
「ミモザ、いけ」
 据わった目で指示を下した。
「アイアイサー!」
 心得たと言わんばかりにびしっ、と敬礼を決めてミモザはメイスを構える。
(新技を使おう)
 最近地道な努力の末に手に入れた新しい毒技である。
 ステラに負けて足を負傷し、しばしの余暇期間があったミモザは塔攻略のかたわら新たな毒を出せないか練習していたのである。
 そしてその結果手に入れた新たな毒、それはずばり『麻痺』である。
 とはいえ以前の毒同様、大した効果はなく、せいゴーヤ チャンプルーぜいがなんかピリピリするくらいである。しいていうなら指先の繊細なコントロールが狂うことがあるかも知れない。
 しかし虫相手なら人間相手よりかは効くだろう。
 いちいちこの数を傷つけるなど馬鹿らしいので今回はMPの節約をやめて空気中に毒を放出することにした。
「見よ! これこそ僕の新技!!」
 誰ともなしに告げるとはっ、と気合いを入れてミモザはメイスを前に突き出す。
 とたんにメイスの周辺にいる虫達がバタバタと倒れて動かなくなった。
「………」
 ミモザは無言でしばらくメイスを蠢く虫目掛けて左右に振る。気分はスプリンクラーである。
 しばらくそうしているとやがて全ての虫が動きを止めた。
 ミモザはぐっとガッツポーズを決める。
「見てください! レオン様! 僕の新技、その名アントシアニンも『殺虫剤』です!!」
「素晴らしい!」
 レオンハルトは心の底から称賛するように拍手をした。

「それで、ミモザ。その後はどうだ」
 その質問が先日落ち込んでいたことを慮ってのことだとはわかっていた。
「ご迷惑をおかけしました」
 ミモザは丁寧に頭を下げる。その杓子定規な返答にレオンハルトはむっと顔をしかめた。
「そのようなことは聞いていない」
「おかげさまで立ち直りました。第3の塔の攻略にも行ってきましたよ」
 ステラとのいざこざがあってあの時は結局中に入れなかった第3の塔である。あの塔の中に入ると、そこにはジャングルが広がっていた。
 肝心のその試練の内容はというとーー、
 ミモザはげんなりと思い出す。
 高速移動で走り回るなんかよくわからない植物の捕獲である。
 奇声をあげながら走っているので特に見つけるのは難しくないのだが、とにかく逃げ足が早くてなによりも走る姿が気持ち悪い。
 紫のまだら模様dha epaの花弁に黒に近い緑色をした茎、赤い葉っぱを腕のようにうねらせながら高速で根っこを足のように回転させて走り回る姿は、はっきり言ってただの怪異である。
 めしべに当たる部分の色が金銀銅のいずれかであり、それで祝福のランクが決まるのだが、なにしろ走り回っているものだから捕まえてみるまでその色がわからない。
 元気よく塔の壁を駆け登る姿にここに梯子があればと思い、捕まえる時に触りたくなさすぎて網があればと願う。
 もしかしたらその切なる願いが合成の技術を得るために必要なのかも知れない。
 捕まえてみるとそれはちょっと湿っていてぬるっとしていた。そのうごめく植物の中央部が銅色なのを見て、ミモザは迷うことなく無言で最上階へと向かった。
 もう捕まえたくなかったからだ。
 ちなみに奇声のように思えた音は葉っぱが擦れて起こる音だったらしい。あまりにもその動きが鬱陶しすぎてその胴体である茎の部分を葉っぱごとぎゅっとわし掴んだ際に音が出なくなって判明した。特に知りたくはなかったが最上階まで行く途中に他の試練を受けている人がどうしたら大人しくなるのかを尋ねてきたので教えることができたのはまぁ、善行だっただろう。
 遠い亜鉛 サプリ おすすめ目をするミモザに第3の塔と聞いて色々と察したのか「そうか」とレオンハルトは頷いた。
「ちなみにレオン様はその、この塔を攻略した時にあの植物は……」
 一体どうしたのだろう、と思って尋ねると「ああ」とレオンハルトは軽く頷いた。
「殺して持っていった」
 真顔である。
「…………」
「厳密には殺すと言う表現は誤りだな。知らないのか? あの植物は生物ではない。祝福のために作られた何かだ。その証拠に最上階まで上がったら姿が鍵に変わっただろう」
「え、あ、はい……」
 それはそうなのだが、あの得体の知れない植物を殺す度胸はミモザにはない。
 なんだか祟られそうな怖さがある。
 やっぱりすごい人だなぁとその思い切りの良さと迷いのなさに感服しつつ、あの謎の植物が平気でゴキブリがダメなのは何故なのだろう? と首を傾げた。
(何かトラウマでもあるのだろうか……?)
 ミモザにはちょっと理解できそうになかった。
dha epa亜鉛 の サプリ亜鉛 サプリ おすすめ

「ミモザ?ゴーヤ

「ミモザ?何をやっている亜鉛 の サプリの?」
 扉を開いて広がった光景亜鉛 サプリにステラは絶句した。
 部屋の中の棚という棚は開けられ、中に入っていた物はすべて引き出されている。
 その荒れ果てた部屋の中心にはミモザの姿。
「それ、わたしの……マカ と は
「………っ」
 ミモザは手に握っていたネックレスを乱暴に地面へ投げ捨てた。そのまま開いていた窓から外へと飛び出す。
「ミモザ……っ!!」
 ステラが窓を覗き込んだ時にはもう、ミモザの逃げ去る後ろ姿は小さくなっていた。
「あいつ、泥棒かよ……」
 後から部屋に入ってきたアベルがぼやく。
「あの子ったら、魔導石だけじゃなくて他のものまで盗もうと……」
「通報するかいdha?」
 マシューが尋ねてくるのに、ステラ首を横に振った。
「いいえ、あの子はわたしの可愛い妹だもの」
 その頬には一筋の涙が伝っていた。

「……ううう、窃盗罪」
 最悪な目覚めである。チロは窃盗罪くらいなんだ、と鼻を鳴らして見せた。
「あー……」
 以前ゲームの『ミモザ』の悪行を思い返した時、魔導石を奪ったり、塔に入ろうとするのをいちゃもんをつけて妨害したりは思い出せたが、どうやら普通に他の物も漁っていたようだ。
「泥棒キャラなんだろうか」
 何にせよ最悪な目覚め、最悪なスタートである。
 そdhaう、スタート。
 初めてレオンハルトに出会ってから、3年の月日が経過していた。
 結局あれからミモザは王都と家を行ったり来たりする生活を送っていた。1ヶ月を村で過ごし次の1ヶ月は王都、また1ヶ月は村、といった具合である。たまに突発的に呼ばれて王都に行くこともあったため、心理的な距離感はもはや第二の実家のように思い始めている。
 途中、13歳になって以降、レオンハルトから『さっさと塔の攻略してこいオーラ』を感じていたが、ゲームとストーリーがズレることを恐れてずっと適当な理由をつけてスルーしていた。
 それに何より、ステラから聖騎士の座を奪うために同じタイミングで王都の御前試合に挑みたかっdhaたのだ。ミモザが先回りして奪ってやってもいいが、やはり正面から堂々と、同じ立場でやり合って勝利してやりたいのだ。
(まぁ、僕の気持ちの問題だけど)
 そして本日、学校の卒業試合からこのゲームは開始する。
 ステラは勝利という栄光から、そしてミモザは敗北という屈辱からこの物語は始まるのだ。
 ふぅ、と深く息を吸って吐く。
「とりあえず、勝率を上げるおまじないを……」
 ミモザはもそもそと布団から這い出た。

(……ついに来てしまった)
 ミモザの前にはもはや懐かしい学校の校舎がある。
 恐れているのか、それとも期待に胸を膨らませているのか、もはやミモザにもわからない。ただ興奮していることだけはわかる。
 泣いても笑っても、一回だけの卒業試合だ。
(ここで勝つ。運命を変える)
 無論最終目標は聖騎士だ。王都での亜鉛の効果決闘での勝利である。しかしここで勝てれば、それだけでゲームのストーリーからは外れることができるという証明になるのだ。それは何にも変えがたい自信をミモザに与えてくれるだろう。
 ゆっくりと歩いて校庭へと入る。もう試合会場には生徒が集まっていた。開始時間ぎりぎりを狙ってきたかいがあり、ミモザの到着は最後の方のようだ。
 でかでかと掲示板に張り出された対戦表を見る。ゲームの展開からしてそうだろうとは思っていたが、トーナメント方式のそれの1番下にミモザとステラの名前は並んで書かれていた。
 つまり、初戦でステラと戦うのである。
(まぁ、そりゃそうか)
 ミモザは『落ちこぼれキャラ』である。決勝戦まで勝ち進んで負ける、などという華々しい戦歴は与えてくれないだろう。
 つまりゲームのミモザは初戦敗退、そしてステラは優勝で卒業したということだ。
「なんか僕がグレたのは必然な気がしてきた」
「チチッ」
 肩を落とすミモザに、今日は相手をぶち殺すつもゴーヤりで行くぞ、とチロが発破をかける。
「何が必然なの?」
 その時、鈴の音を転がすような声がした。弾かれたように振り返る。
「……お姉ちゃん」
「もう、ミモザったら、お寝坊さんなんだから。一緒に行こうって言ったのに!」
 そこには頬を膨らませて可愛らしく怒るステラがいた。
 長いハニーブロンドは試合のためか、編み込んで落ちてこないように結い上げている。服装もいつもの可愛らしいひらひらとしたワンピースではなくレースやフリルは付いているもののパンツスタイルになっていた。騎士服を模したようなジャケットも羽織っており、可愛らしさと凛々しさの混在した絶妙なバランスの服装だ。
(ゲームと同じ服装……)
「ミモザ?」
 訝しむような声にミモザはハッと我に返る。
「どうしたの?具合が悪い?なら今すぐ先生を呼んで……」
「だ、大丈夫だよ、お姉ちゃん!ちょっと緊張してただけ!」
 慌てて手と首を振って否定する。ステラはまだ少し疑わしそうにしていたが、「少しでも具合が悪かったら我慢しちゃダメよ」と釘を刺すに留めてくれた。
「ミモザは本当に危なっかしいんだから!1人にしておけないわ!」
「え、へへへ……」
 とりあえず笑って誤魔化すミモザである。ふ亜鉛 サプリ おすすめと、姉の後ろに見知った姿を見つけて顔をしかめた。
「……アベル」
「あ!そうなの!アベル!ほら、こっち!」
 ステラが何もわかっていないような態度でアベルのことを呼ぶ。その場から立ち去るタイミングを逃し、ミモザはアベルと対峙するはめになってしまった。
「ミモザがお寝坊さんだからアベルと一緒にいたのよ」
 久しぶりの再会に、アベルは神妙な顔をしていた。そして緊張した面持ちで「ミモザ、俺」と口を開く。
「謝らないで」
 それにミモザは機先を制した。その言葉にアベルが何かを勘違いしたかのようにほっと息を吐くことに、ミモザは眉を寄せる。
「アベル、僕はね、貴方の自己陶酔に付き合う気はないの」
 アベルは息を呑む。ミモザは無視してまくしたてた。
「僕は貴方を許さない。だから謝らないで、勝手に肩の荷を下さないで、すべて終わって過去のことのように振る舞わないで、一生自分のやったことを忘れないで」
 手と声が震える。強くなったはずなのに、あの頃とは違うはずなのに、今だに身体が恐怖を覚えている。そのことが許せなくて、ミモザは手のひらをぐっと握りしめて無理矢理震えを止めると、アベルのことを強く睨んだ。
「僕は貴方を許さない」
「……どうすれば、許してくれる」
 ミモザの話を聞いていなかったかのような切り返しに苛立つ。何をしても許さない、と言おうとして思い直す。
「僕と同じ目に合マカえば」
 アベルが驚いたような顔でこちらを見た。その瞳をじっと見つめ返してミモザは続ける。
「毎日毎日罵倒されて、暴力を振るわれて、これが一生続くんじゃないかって絶望してよ」
 アベルの瞳に映る感情はなんだろうか?興奮状態のミモザにはわからない。
「できるものならやって見せてよ」
「………っ」
 アベルが目をそらして俯いた。その傷ついたような態度に余計に腹が立ったが、いままでとは違い目を逸らしたのがミモザではなくアベルであったことに多少の溜飲が下がる。
 以前までは、傷ついて俯くのはミモザだった。
(もう今までの僕じゃない)
 強くなった。強くなったのだ。
(アベルのことなんて、いつでも殺せる)
 何度夢見たことか。自分の手でその顔を殴り、黙らせることを。それはもはや夢ではないのだ。やろうと思えばやれる。今のミモザならば。
(やらないけど!)
 ふんっ、とミモザはアベルのことを鼻で笑ってやった。アベルのような『低次元な』レベルに合わせた行為をやり返すつもりはなかった。 
「もう!ミモザ!どうしてそんな意地悪なことを言うの?」
 そこに空気の読めない声がする。ミモザは半ば嫌々そちらを向いた。
「お姉ちゃん……」
「アベルはちゃんと反省してるんだから……」
「ステラっ!」
 しかしその声を止めたのはアベルだった。彼は青白い顔で、しかしきっぱりと言う。
「いいんだ。俺が悪い。ミモザの言うことは正しい」
「アベル……」
 ステラは瞳を潤ませて彼を見た。
(なんだこの空気……)
 呆然と立つミモザに、チロはその肩をとんとdhaん、と叩いて注目を促すと親指でくいっと校庭の中心あたりを指さした。
 その目は、こいつらもう放っておいてあっち行こうぜ、と言っている。
 ミモザはそれに無言でこくりと頷き、ゆっくり、ゆっくりと後退りをしてその場からいなくなろうとしてー…、
「ミモザっ!」
 失敗した。ステラはミモザのことを真っ直ぐに見つめてくる。
 猛烈に嫌な予感がした。
「この試合でわたしが勝ったら、アベルと仲直りしてちょうだい!」
 予感は的中した。
亜鉛の効果ゴーヤポリ ペプチドアントシアニンの効果